2012.06.17

川上翔平(FC東京U-18)「素晴らしいサッカーセンスを持った小柄なレフティー」

ユース年代を中心に日本中だけでなく、世界へも飛び回っている“ユース教授”が、注目&オススメの選手を紹介します。今回はFC東京U-18に所属するMF川上翔平選手です。

文・写真=安藤隆人
 
川上翔平
(FC東京U-18/2年/MF)

 
 
 164センチ65キロという小さな体から、とてつもなく強烈かつ正確な左足で相手の急所を射抜く。豊富な運動量で中盤を駆け回り、終盤になってもその精度が落ちることがないのだから、相手にとっては脅威以外の何物でもない。
 
 現在、高校2年生。高円宮杯プリンスリーグ関東1部に降格し、1年でのプレミア復帰を狙うチームにおいて、彼の存在感は非常に大きい。
 
ボランチとアウトサイドの双方を器用にこなす。ボランチに入れば的確な状況判断能力と危機察知能力で、攻守のつなぎ役として大黒柱のMF野沢英之をサポートしながら自らも前に仕掛ける。サイドでは高いアップダウン能力を発揮し、左足から正確なクロスやセンタリングを供給し、時には鋭いカットインから強烈なシュートを放つ。プレースキックを任されれば、自慢の左足から放たれたボールが鋭い放物線を描いてチャンスを生み出す。
 
 今年3月のサニックス杯ではU-17日本代表に選出。同年代のタレントたちに囲まれる中、周りに生かされるプレーをしながら、チームメートを生かすプレーも意識し、細かなポジショニングに注意を払う彼の姿があった。決して派手ではないが、いなければ困る存在―。それこそが彼の特徴である。
 
 大黒柱の野沢を欠いた川崎フロンターレU-18とのプリンス関東1部開幕戦では相手に先制を許す苦しい展開となったが、川上は冷静に中盤でセカンドボールを拾い、すぐさま前線へチャンスボールを供給。1-1で迎えた50分には一気に前へ仕掛け、自慢の左足で逆転ゴールをたたき込んだ。その後もパスやドリブルで積極的なプレーを披露し、74分にはPKを獲得。これを自ら決めて、勝利を決定付けた。
 
 チームは第2節柏レイソルU-18戦、第3節山梨学院大附属高戦、第4節桐光学園高戦と3連敗を喫して低迷したが、結果が出ない中でも攻撃面では結果は出せていた。そして第5節の市立船橋高戦でそれまで無敗だった相手に3-1で勝利を収めると、第6節では横浜F・マリノスユースに4-0で圧勝。ようやく勢いを取り戻したと見ていい
だろう。
 
 復調のきっかけとなった市立船橋戦の先制点は、彼の強烈なシュートが相手GKに弾かれたことで生まれたものだった。豊富な運動量を誇り、攻撃の起点になれて、アシストもでき、自らもフィニッシュまで持ち込める。川上翔平の存在感はこれからますます増していくだろう。
 

【プロフィール】
安藤隆人(あんどう・たかひと)
1978年2月9日生まれ。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、サッカージャーナリストに転身。ユース年代の取材のために全国行脚を繰り返し、海外取材も精力的にこなす。今年1月には、これまでの自身の歩みと、取材を通して共に成長してきた本田圭佑、岡崎慎司、香川真司らとの歩みを一冊の本にまとめた『走り続ける才能たち 彼らと僕のサッカー人生』を出版。Numberや日経ビジネスアソシエにも寄稿。