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サッカーと語学の本質は同じ 富永雄輔(株式会社VAMOS 代表取締役)

2014.11.18
富永雄輔

「サッカーも語学もうまくなるプロセスはすべて同じだと思っていて。天才を除くと、基本的には反復練習しかない。反復練習を気持ちよくさせてくれる指導者がいて、間違ったことを反復しなければうまくなると思うんですね」

 サッカーと語学の共通点をこのように語るのは、東京・吉祥寺にある進学塾VAMOSの代表を務める富永雄輔さん。塾の経営の傍ら、サッカー選手に英語やスペイン語の指導も行っている。

 大のマドリディスタである富永さんのルーツはスペインにある。父の仕事の関係によってマドリッドで幼少期を過ごし、レアル・マドリーの本拠地サンチャゴ・ベルナベウでサッカーと出会った。

「僕が子供のころは、ウーゴ・サンチェスとエミリオ・ブトラゲーニョの2トップが大好きで、真似ばかりしていましたね。そこから、小学校低学年から高学年になるときにスペインでも『キャプテン翼』が始まって、僕にとって日本のサッカーは『キャプテン翼』で、生のサッカーはリーガ・エスパニョーラという感じでした」

 スペインでサッカーのとりことなった富永さんが日本に帰ってきたのは1993年。ちょうど「ドーハの悲劇」があった年だ。だが、スペインで暮らしていた11歳の少年にとって、「ドーハの悲劇」はさほどリアリティーを持てなかったという。

「失点した瞬間は鮮明に覚えていますけど、そこまでの流れもいまいちよく分からないでポッと見たので、『あぁ、日本もワールドカップの予選に出ているんだ』というくらいでした」

「結果が露骨に出ることが好き」

 その後、進学した京都大学時代には、スペイン、アルゼンチン、イタリア、イングランド、ドイツ、フランスを訪れ、現地でサッカー観戦を楽しんだ。

「サッカーが好きだったので、時間があるときにはよく行って見ていました。言葉にもともと自信があったのと、向こうで生活していた経験があって知り合いも多かったので。今も時間があれば、なるべく向こうの試合は生で見るようにしています。やっぱり、日本のサッカーは楽しみ方も違うし、雰囲気も違うし。そういった意味で向こうのサッカーを生で見るのは大好きですね」

 大学卒業後は民間の企業に就職したが、肌に合わず退職。その後、2006年に小学生・中学生・高校生・帰国子女を対象とした進学塾VAMOSを設立した。

「大学卒業後に民間の企業に就職したんですけど、やっぱり合わないというか違うなと感じた。自分の中では特にやりたいことがあったわけではないんですけど、面白そうなことをやりたいと思って。僕はすごく単純な性格で、結果が露骨に出ることが大好きなんです。塾の仕事は偏差値を上げて合格させるという分かりやすいサイクルが2、3年で動く。それは恐怖でもあるけれども、そういった意味では大好きなんですね」

「レアル・マドリーで日本人が活躍するのを見たい」

 塾は富永さんの性格が最も生きるフィールドだったのだろう。年々合格実績を挙げてきたVAMOSは業界から高い評価を得るまでに成長した。最近ではメディアに取り上げられる機会も増加し、多数のキャンセル待ちを抱える状況だという。その中で、新たな事業として2011年にVAMOS INFINITOを発足させた。

「塾の仕事が順調にいっている中で、サッカーに対する関心が強くなって。VAMOSという教育のコンテンツを生かして、回りの仲間とやっていくのが一番いいだろうと思いました。立ち上げた理由は、レアル・マドリーで日本人が活躍するのを見たいというところですね」

 VAMOS INFINITOはアスリートの語学教育や海外生活補助、プロモーションなどを行う。この事業を始めた裏には、語学のスペシャリストなりの考えがあった。

「賛否両論あり、選手によって考え方があると思いますが、海外でプレーする選手は、現地の言葉をしゃべれないと良いプレーはできない。しゃべれないからといって、全くプレーできないとは思いません。ただ、確率論として、しゃべれる選手が8割成功するとして、しゃべれない選手は3割くらいの可能性になってしまうのかなと」

「語学をやる時のポイントは“覚えた”“できた”」

 海外でプレーする日本人選手が増加し、語学の重要性がこれまで以上に高まっている今、国内でプレーする選手たちの語学に対する姿勢は変わってきている。事実、富永さんもその意識の高さには驚いているという。語学の習得はハードルが高いと思われがちだが、「サッカーと語学の本質は同じ」だと考えている。

「反復練習のカリキュラムを楽しくきちんとこなせばうまくなると思うし、それはサッカーも語学も変わらないです。ただ、サッカーと語学は別のものだと捉えている人が多いのも事実。僕はこれほどまで同じものはないと考えています」

 サッカー選手だけでなく、一般のサッカーファンの中にも語学を学ぶことで、よりサッカーを楽しもうとする人たちが増えている。富永さんは現在、「サッカーキング」を運営している株式会社フロムワン主催のスペイン語講座やポルトガル語講座を担当し、彼らの熱の高さを日々感じている。

「語学を学ぶ際には、“引き算”でやってほしくないですね。『あれができない』って言ってほしくないんです。語学をやる時のポイントは“覚えた”“できた”でいい。“分からない”とか“覚えられない”とかできなかったことを気にする必要はないんです。“足し算”でいいので、すごく簡単なことだと思います。1日1個単語を覚えれば、年間で365個覚えられますよね。この記事を読んだその時から始めたいと思った人はすぐ始めればいいと思います。あと、キレイな発音や文法だけがゴールではないです。学ぶ本人にとってたどりつきやすいゴールがあると思うので、気軽に始めてもらいたいです」

 語学を学ぶということは、単に語学力を身につけるだけではない。語学を通してその国の文化に興味を持ち、旅行に行ってみたい、料理を食べてみたいと思うキッカケにもなり得る。「語学は人生の新しい扉を開く鍵になる」と語学の可能性を語った富永さん。その視線の先には、自身の教え子たちが海の向こうで活躍している姿を明確にイメージできている。

インタビュー・文=梶山大輔(サッカーキング・アカデミー
写真=小林浩一(サッカーキング・アカデミー

●サッカーキング・アカデミー「編集・ライター科」の受講生がインタビューと原稿執筆を、「カメラマン科」の受講生が撮影を担当しました。
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サッカーキング・アカデミー

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