2013.10.01

サッカーメディア業界で未来を切り開くポイントは? サッカーメディア業界セミナーリポート

 Webの台頭、TwitterやFacebookなどのソーシャルネットワークの普及により、急速に進化を遂げるメディア業界。従来からのマスメディア、雑誌はどうするべきか? 去る9月29日、「サッカーメディア業界を志す学生・社会人が学んでおくべき3つのポイント」(主催:サッカージャーナリスト養成講座)がフットボールプラザにて開催された。

 講師を務める『サムライサッカーキング』前田拓編集長は、雑誌を取り巻く環境を中心に講義を進める。雑誌メディアは、相次ぐ休刊と週刊誌が月刊誌や隔月刊に変わるなど苦境に立たされている。それは、サッカーを発信するメディアも例外ではない。「出版物は文化を担うものであり、文化の豊かさを示している」と語る前田編集長は、生き残るためには他誌との差別化を図る必要があると指摘する。より付加価値を持った雑誌は、まだまだ伸びる可能性を秘めている。2002年日韓ワールドカップから約10年がたち、歴史があっても淘汰される時代を肌で感じる現場の声に、参加者は真剣な眼差しで耳を傾けていた。

 差別化を図り内なる競合誌に打ち勝っても、外からやって来た新たなwebメディアの存在はさらに強敵だ。web上にリアルタイムで流れる情報は速報性と手軽さを武器に、広く浸透し重宝されている。本を読む人は珍しい存在になり始め、スマートフォンに目を向ける人々が普通の風景だ。雑誌がwebに勝つ方法はあるのだろうか? だが前田編集長は「対立するものではない」と話す。各メディアの利点と欠点を理解し、特性を生かすことで共存の道は開けてくる。そして雑誌にしかできないことで活路を見いだせると説く。さまざまなメディアの組み合わせで相乗効果を生み出し、発展していく転換期に突入していた。

 多数のメディアが競合し、より創意工夫が必要となったサッカーメディアは新時代を迎えている。だが、雑誌もwebも提供する商品は情報発信だ。そしてそれは、人間が行っている。新時代を迎えてもメディアに携わる人間には、従来と変わらない「情報をつかみ伝える能力と技術」が必須だ。だが、それはあくまで最低条件。必要な能力を備え、新たな成長を生み出す構想力を持つ人材に業界は魅力を感じ求めている。「新時代を構想していくのは、新しいデジタルメディアの感覚を持つ新時代を担う若者」。前田編集長は参加者への期待の言葉を送り講義は終了。その後も、参加者は前田編集長と様々な会話を交わし、トークセミナーは幕を閉じた。

文=佐藤 功(サッカージャーナリスト養成講座