2013.06.05

U-21欧州選手権 2013 イスラエル

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今大会は最多5度の優勝を誇るイタリアを筆頭に、スペイン、イングランド、オランダ、ドイツと、過去に欧州制覇を果たした強豪が集結。かつてないほど、ハイレベルな戦いが予想される今大会を制するのはどの国か。各国の未来を担うスター候補のプレーに注目だ。

6月5日

グループ   キックオフ   試合会場
グループA イスラエル 2-2 ノルウェー ネタニア
グループA イングランド 0-1 イタリア テル・アビブ

6月6日

グループ   キックオフ   試合会場
グループB スペイン 1-0 ロシア エルサレム
グループB オランダ 3-2 ドイツ ペタク・チクヴァ

6月8日

グループ   キックオフ   試合会場
グループA イングランド 1-3 ノルウェー ペタク・チクヴァ
グループA イタリア 4-0 イスラエル テル・アビブ

6月9日

グループ   キックオフ   試合会場
グループB オランダ 5-1 ロシア エルサレム
グループB ドイツ 0-1 スペイン ネタニア

6月11日

グループ   キックオフ   試合会場
グループA イスラエル 1-0 イングランド エルサレム
グループA ノルウェー 1-1 イタリア テル・アビブ

6月12日

グループ   キックオフ   試合会場
グループB スペイン 3-0 オランダ ペタク・チクヴァ
グループB ロシア 1-2 ドイツ ネタニア

6月15日

    キックオフ   試合会場
準決勝 スペイン 3-0 ノルウェー ペタク・チクヴァ
準決勝 イタリア 1-0 オランダ ネタニア

6月18日

    キックオフ   試合会場
決勝 スペイン 2-4 イタリア エルサレム

グループA

イスラエル

ルゾン監督就任後の成績は24試合で9勝8分け8敗。数字だけを見れば上々だが、内容には不安が残る。オランダに2戦2敗、ドイツとイングランドにも敗れるなど、格上に勝てていないのだ。U-21欧州選手権への出場も07年大会の1度だけで、その時は、1ゴールも奪えず全敗で敗退している。今大会はキャプテンのビトン、ベン・ハルシュ、タワティハ、ゴルサという4人のA代表経験者を招集し、ベストメンバーをそろえたものの、国外でプレーしている選手はアルトマンのみと、選手層の面でも他国との実力差は否めない。イタリア、イングランド、ノルウェーという強敵と同居した今回も開催国とはいえグループステージ突破は限りなく難しいミッションだろう。

イングランド

 4大会連続でファイナルトーナメントに進出を果たした常連国で、今大会も優勝を狙えるだけの陣容を整えた。メンバーの多くは既にプレミアリーグで活躍しており、世界最高峰と言われるリーグで日々ハイレベルなプレーに接している選手が多いことは、チームにとって大きなプラスになるはずだ。とりわけ注目なのは、リヴァプールで主軸を担うヘンダーソン。2010年からU-21代表に名を連ねる早熟で、2011年のU-21欧州選手権にも出場している。彼以外にも、クライン、コーカー、ザハ、マクエークランなど、才能豊かな逸材を擁しており、ピアース監督が豊富な手駒をどのように生かすかが、84年大会以来の欧州制覇を実現するポイントになる。

ノルウェー

 かつては選手全員がバイキングの子孫だった時代もあったが、現在のメンバーはシン(インド系)、エラブデラウィ(モロッコ系)、ベリシャ(アルバニア系)、イブラヒム、(ソマリア系)、キング(ガンビア系)など、ヨーロッパ一の移民国家、ノルウェーならではの顔ぶれとなった。今予選ではイングランド、ベルギーと同居する厳しいグループを勝ち上がり、フランスとのプレーオフでは初戦を落としながらも、ホームで5ゴールを奪って大逆転勝利を挙げるなど、実力は強豪国に見劣りしない。チームにとって最大の強みである団結力を発揮すれば、98年大会以来となる大舞台でサプライズも巻き起こせる可能性は十分ある。

イタリア

 過去5回の優勝を誇るが、最後に大会を制したのは04年。2年前には本大会出場を懸けたプレーオフでベラルーシに敗れる屈辱も味わった。昨夏、監督に就任したマンジャは、代表チームのコーディネーターを務めるサッキの協力の下、4-4-2のシステムを導入してチームに活気を蘇らせた。大会参加資格を持つエル・シャーラウィとバロテッリは欠場するものの、ヴェラッティとデストロのA代表経験者を招集できたことはチームにとって大きなプラス要素。とりわけ、ヴェラッティ、インシーニェ、マローネと実力者を擁する中盤は大会屈指の陣容で、洗練されたテクニックと創造性を有した2列目から、どれだけチャンスを生み出せるかが、王座返り咲きのカギとなる。

グループB

スペイン

 A代表でプレーする選手も複数名いるスペインが大本命であることは間違いない。A代表がユーロ08、2010年南アフリカ・ワールドカップ、そしてユーロ2012を制し、各年代別代表もタイトルを“独占”。スペインの強さは下の世代から次々と逸材が輩出されることにある。今回のメンバーもデ・ヘア、モントージャ、チアーゴ、ムニアインら、前回大会の優勝メンバーに加え、テージョやイスコなど、今シーズン、クラブレベルで活躍した実力者を招集。ロンドン・オリンピックで不発だった、FWロドリゴが予選トップの11ゴールを挙げるなど、陣容に穴は見当たらない。ロペテギ監督率いる“ロヒータ”(U-21スペイン代表)は、欧州王者のタイトルだけをその視界にとらえている。

オランダ

 A代表のファン・ハール監督から、参加資格を有するすべて選手の招集許可を得たポット監督はストロートマン、クラーシ、ファン・ライン、マルティンス・インディら、12人のA代表経験者を招集。更に、クラブで急成長した18歳のフィレーナやデ・パイといったU-19代表の主力もメンバーに加えるなど、望み得る最高の陣容を整えた。課題を挙げるとすれば、A代表のレギュラーがいない前線で、特に1トップのデ・ヨンクはボルシアMGで不発だったため得点源として機能するかは未知数。更に、今回は文字どおりの“オールスター”が集まっただけに“オランダ症候群”とも言える内部抗争の問題も懸念されている。初戦のドイツ戦でつまづけば早期敗退の可能性も。

ロシア

 大会史上稀に見る“死の組”に入ったピサレフ監督は、A代表の攻撃の軸であるザゴエフを招集。これまでのU-21代表はフィジカルと規律に定評のあるチームだったが、相手守備陣が予期できないようなプレーをする創造性に欠けていただけに、ザゴエフのメンバー入りですべてのピースがそろったとも言える。ただし、チェコとのプレーオフで3ゴールを記録した絶対的エースのスモロフが所属するアンジでほとんど出場機会を与えられておらず、トップフォームを失っていることは大きな不安要素。R・マドリーの下部組織で成長した快足ウイングのチェリシェフとファンタジスタのザゴエフ、“違い”を見せられる2人の活躍がグループ突破の絶対条件となる。

ドイツ

 予選10試合を9勝1分けという好成績でトップ通過。しかも10試合で記録したゴール数は予選参加国中最多の39、失点は参加国中最少の9と抜群の強さを発揮した。楽なグループに組み込まれていたのは事実だが、ホルトビーを軸としたU-21ドイツ代表が終始安定した戦いを披露したことは確かである。更に国際舞台でのドイツの勝負強さには定評があり、オランダ、スペイン、ロシアと強豪のそろったグループBにあっても、決勝トーナメント進出の本命であることは間違いない。ただしホルトビーを欠いたU-21イタリア代表との親善試合では攻撃の機能不足を露呈するなど、FW陣のコンディションにも不安が残る。攻撃陣の整備が急務の課題と言えるだろう。