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【大学サッカー/注目選手】東洋大GK沖野泰斗…“いじられキャラ”の努力家

2015.11.09

文・写真=當麻彰紘(スポーツ東洋)

 サッカーの守備における最後の砦、ゴールキーパー。今シーズンから背番号1を背負い、その任務を担うのが沖野泰斗だ。

 今では東洋大学の守護神として君臨する沖野だが、サッカーを始めた頃はFWだったという。GKに転向するきっかけとなったのが中学時代。「クラブチームを受けたときに、なぜかキーパーで受かって何となく始めちゃった」という実にひょんなきっかけだった。東洋大に入学後は2年次に3試合ながら1部リーグの試合を経験した。しかし、浅沼優瑠(現Y.S.C.C横浜)の牙城を崩すことはできず、レギュラーとして出場機会をつかんだのは今シーズンに入ってからのことだった。その今シーズンはここまでほぼ全試合で先発出場を果たしており、188センチの長身を活かしたセービングやハイボール処理でチームを安定させている。リーグ戦での失点17(第17節終了時点)は2部で2番目に少ない数だが、これも沖野の活躍なしには語ることはできない。勝負強さも随所に発揮されており、アミノバイタルカップの国士舘大学戦では苦手とするPK戦で2本連続のスーパーセーブ。東洋大初の総理大臣杯出場の立役者となった。この夏、多くの強豪校やプロチームとの対戦機会を得たことは、沖野がGKとしての自信をつけるきっかけにもなった。

 GKを見る際には派手なセービングなど守備面に目が行きがちだが、彼はキックを長所として挙げた。右足から放たれる力強いキックは大学生では屈指の飛距離を誇る。今年の後期リーグに入ってからはそのコントロールにも磨きがかかり、攻撃の起点となっている。キックの他には「メンタル」に自信を持つと言う沖野だが、本人曰くチーム内では“いじられキャラ“なのだそう。「みんなにからかわれても動じないように」することでメンタルが鍛えられているという。勝負強さの秘訣には、チームメートにいじられて鍛えられた、打たれ強いメンタルがあるのかもしれない。もちろん“いじり”には「愛がある(笑)」ということなので安心してほしい。そんな沖野にGKの魅力はと尋ねると、「他のポジションよりも経験だったり練習量だったりで、一番人と差をつけられる」と答えてくれた。好きな言葉として挙げた「練習は嘘をつかない」も、この魅力から生まれてくるものであろう。

「支えてくれた人の分までがんばりたい」。沖野は常々このような言葉を口にする。東洋大の選手としてプレーできるのはあと⑤試合と残りわずかだ(10月17日現在)。その中で、「自分たちが背中を見せながら結果として1部を(後輩に)プレゼントできたら」と話す。しかし、彼が目指す先はそれだけではない。プロサッカー選手として日本を、そして世界を代表するようなGKを目標に日々努力を続けている。達成が難しい目標かもしれない。しかし、確かな自信を持ってこれらを語ってくれたこの男ならやってのけてしまいそうな、そんな気配が漂う。サムライブルーの背番号1は、“いじられキャラ”の努力家が背負う。そんな未来を夢見ても良いのではないだろうか。

沖野 撮影者=當麻彰紘

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選手のプロフィールはスポーツ東洋のホームページ(http://sports-toyo.com/news/detail/id/2859)をご覧ください!

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