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【大学サッカー/注目選手】ヘディングには絶対的自信、ユーティリティー性も備える駒澤大の長身DF伊勢渉

2015.10.26

文・写真=酒井伸

「自分が勝負できるのはヘディング」。試合後に笑顔で答えたのは、駒澤大学1年生ルーキーのDF伊勢渉(神戸国際大附属高校出身)だ。

 JR東日本カップ2015第89回関東大学サッカーリーグ戦で初出場となった第13節の流通経済大学戦では、「サッカー人生初」のFWで先発し、2-1の勝利に貢献した。

 今季4試合目の出場となった第19節の中央大学戦では、本職のセンターバックで出場。30分に左サイドからの低く速いクロスをヘディングでクリアすると、43分には相手ロングボールを184センチの長身を活かして跳ね返した。60分には、1点ビハインドの中央大は188センチのFW岩渕諒を投入。自分より身長の高い相手にも動じることなく対応し、堂々としたプレーを見せた。

「味方に有利な裏への跳ね返しを心がけている」との言葉どおり、76分には相手クリアをヘディングでMF平野篤志につなげる。すると、平野が縦に抜けだし、GKのファウルを誘発してPKを獲得。伊勢のワンプレーが2点目の起点となり、守備だけではなく攻撃でも存在感を示した。

 試合後、センターバックでは2試合目のコンビとなったDF宮坂瑠は「自分がカバーに回り、競りあいが強い相手や背が高い相手には伊勢が行けるよう常に心がけてプレーした。彼を信じてプレーできた」と、振り返った。

 それに対して伊勢は、「自分は特別すごいことができるわけではない」と語りつつ、「身長が高いので、自分が勝負できるヘディングの部分をしっかりやろうと思っている。跳ね返すプレーには絶対に負けない」と、自信も口にした。

 試合を決定づけたい駒澤大は82分、MF種岡岐将に代えてDF嶋谷昇大を投入。「粘り強いプレーや高さで勝負ができる。最後まで戦いぬく気力やスタミナがあり重宝する選手」と秋田浩一監督が期待を寄せている伊勢は、その後はポジションを一つ前に上げ、ボランチでプレー。DFラインより前でボールを跳ね返すことを求められての起用だった。采配は的中し、伊勢は上下左右のあらゆるところに現れ、相手ロングボールを跳ね返し続けた。そして、駒澤大の無失点勝利に貢献した。

「4年生と1日でも長くサッカーがしたい」と、残り3試合に向けて意気込んだ伊勢。力強くアグレッシブなプレーは、ロングボールを多用してフィジカルで相手を圧倒する駒澤大サッカーの象徴だ。全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)プレーオフ圏内の第6位順天堂大学に勝ち点3差に迫った駒澤大はこの後、神奈川大学、桐蔭横浜大学の下位チームとの2連戦、最終節には順天堂大と激突する。

 駒澤大は2005年以降リーグ優勝から遠ざかり、2011年には2部降格も経験した。今シーズンもタイトルは厳しいが、伊勢を始めとした若手の台頭は復活の足がかりとなるかもしれない。今後は、粘り強くユーティリティー性あふれる伊勢が駒澤大復活に向けた立役者になっていくことを期待する。

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