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FC東京DF小川諒也が振り返る流通経済大柏高校3年時の夏「ほぼ“4部練”で一日中ずーっとグランドにいました(苦笑)」

2015.07.26

インタビュー=安田勇斗 写真=山口剛生(Agence SHOT)

 FC東京期待の左サイドバック、小川諒也は中学時代からの徹底した走りこみにより、プロでも通用する持久力を手に入れた。また、高校時代にセンターバックやFW、左サイドMFを経験することで、視野やプレーの幅を広げた。「全体練習後にFKやクロスの練習を50本から100本はやっていた」努力家が、自身の原点を振り返る。

いろいろなポジションを経験することで、ポジションごとの気持ちや考えもわかりました

――中学時代に所属していたチームについて教えてください。
小川 Forza’02というクラブで、パスを回したりといった何か特徴があるというよりは、勝ちに行くチームであり、戦うチームでした。レベル的には全国大会に出られるかどうかというところでしたね。

――そのクラブを選んだきっかけは?
小川 小学校時代の先輩が所属していて、セレクションに誘われて受けました。合格できなかったら中学校のサッカー部に入ろうと思ってましたけれど、何とか合格することができました。

――当時からポジションはサイドバックだったのでしょうか?
小川 いいえ、小学校の時はいろいろなポジションを経験しました。センターバックとかボランチとか、それとFWもやりましたし、真ん中のポジションが多かったですね。サイドバックになったのはForza’02に入ってからです。中1の時に左利きというのを買われて起用されるようになりました。

――サイドバックにコンバートされた時の率直な気持ちは?
小川 最初はちょっと嫌でしたね(苦笑)。小学校時代は真ん中のポジションでやっていたのに、このチームでは真ん中にいい選手がいるから、自分をサイドにしたとも思えたので。

――それを受け入れられるようになったきっかけなどはありますか?
小川 日本代表の長友(佑都/インテル)選手や内田(篤人/シャルケ)選手が、チームの中心としてプレーしているところを見てからです。攻守にわたって活躍していて、サイドバックもいいなと思うようになりました。

――その中学時代を経て、流通経済大柏高校に進学にしました。
小川 小5の時に初めて見た選手権で、当時流通経済大柏高に在籍していた大前元紀(清水エスパルス)選手が活躍していたんです。それを見て「流通経済大柏高校は、強いな」というイメージを持っていた中、その流通経済大柏高校から声をかけていただき、行くことを決めました。

――他の高校からも声はかかったんじゃないでしょうか?
小川 関東や東北の強豪校などからも声をかけていただいたのですけれど、大前選手の印象が強くて同じ高校に行きたい気持ちが強かったですね。やっぱり選手権は憧れの舞台でしたし、そこで活躍する選手はカッコ良かったので。

――本人とは会いましたか?
小川 何回か高校に来ていただいた時に。サインをもらって、一緒に写真も撮ってもらいました(笑)。

――高校時代はまたいろいろなポジションで起用されていましたね。
小川 そうですね。最初は左サイドバックでしたけれど、高2になって試合に出始めた時はセンターバックでした。高3の時はセンターバックとサイドバックのどちらかだったのですけれど、インターハイ予選で負けてしまい、チームを変えていく中でFWもやりましたし、選手権の時は左サイドハーフでした。

――それだけ変わると心境的に複雑では?
小川 正直に言うとサイドバックで勝負したい気持ちもありましたけれど、そこはチームのためにやるべきことをやらないといけないので。それにいろいろなポジションを経験することで勉強になることもありました。例えばFWを経験することで、DFにやられて嫌なことがわかりましたし、ポジションごとの気持ちや考えもわかりました。

――当時からその考えを持てたのでしょうか?
小川 実は榎本雅大コーチに一度相談したんです。「左サイドバックがやりたいです」って。そうしたら、「FWから見たディフェンスを学んでみろ」と。実際、そのおかげでいろいろな経験できて良かったです。

――現在FC東京でDF登録なのは、左サイドバックへのこだわりがあるからでしょうか?
小川 そうですね。自分のポジションで勝負したいので。

――高校時代から左足のキックが注目されていましたが、自分が思う一番の武器は?
小川 左足のキックと身体能力の高さが自分でも持ち味だと思ってます。

――ちなみに高校時代、練習は厳しかったですか?
小川 相当厳しかったです(苦笑)。インターハイ予選で負けた時は特にキツかったですね。夏休みに大会に出られなくなったので、3部練習をやってその後に走りがあったり……。

――3部練ですか!?
小川 はい(笑)。朝、昼、夕方に練習して、それが終わったら走り。それを10日間続けてやりました。ほぼ“4部練”で一日中ずーっとグランドにいましたね(苦笑)。

――10日続くことは事前に知ってたんですか?
小川 知っていました。厳密には5日練習して、1日オフ、それからまた5日連続という感じだったのですが、予定表を見た時は何かの間違いかと思いました(笑)。「3部練? 2部練の間違いじゃないの?」って。ただ、そういう厳しい練習を乗り越えたおかげで選手権にも出られたので、今思えば良かったのかなと思います。

――ちなみに高校時代に何か特別な練習などはしていましたか?
小川 プレースキッカーだったので、全体練習後にFKやクロスの練習を50本から100本はしましたね。

――1人で?
小川 そうですね。自分は1人でやりたいタイプなので。ボールを10個ぐらい持ってきて、壁を置いて。時々GKが手伝ってくれたりしました。

――高校時代の練習の中で、今でも活かされているトレーニングなどはありますか?
小川 Forza’02と高校時代に共通して言えることですが、とにかく走りこんだので、それはFC東京でも活かされてるかなと。キャンプなどでもついていける、というか、自分が先頭を走ってるぐらいです。それも含め、厳しい練習の中でメンタル面は鍛えてもらったと思います。

――プロを意識し始めたのはいつですか?
小川 高校に入った時からプロになりたいとは思ってましたが、高校から直接はさすがに無理だと思ってたので、大学に行ってそこからかなと考えてました。その気持ちが変わってきたのは高2になって試合に出始めて、少しずつ周りから注目されてからですね。選手権の後にメンバーが入れ替わり、自分たちの代になってその想いは強くなりました。

――FC東京加入はどういう経緯で決まったのでしょうか?
小川 1年生最後のイギョラカップという大会で、全員1年生のメンバーで優勝したんです。その時から自分のことを見てもらっていたようで、直接自分が声をかけてもらったのは高3の夏です。FC東京の夏のキャンプに参加できて、すごく刺激を受けました。その後に正式にオファーをいただき、契約することになりました。

――最後にプロを目指す学生プレーヤーにアドバイスをお願いします。
小川 自分も試合に出られない時期がありました。それでもいつチャンスが来るのかわからないので、どんな時でもくさらず、常に本気で取り組んでほしいですね。高校生って遊びたい気持ちもあるだろうし、難しい時期だと思うんです。でも、そこでがんばることができればその先にもつながるはずなので、一所懸命がんばってほしいです。


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