2018.01.04

速攻と飛び道具で5発大勝もチームの軸は堅守…上田西、連続完封で深めた自信

上田西は長野県勢41年ぶりのベスト8進出を果たした [写真]=瀬藤尚美
京都サンガF.C.を中心に取材するサッカーライター

 得点が決まるたびに観客席からは歓喜と驚きの入り混じった声援が沸き上がり、それを受けた選手たちは躍動感を増していく。第96回全国高校サッカー選手権大会3回戦。大会前は初戦突破が焦点となっていた上田西(長野)は、5-0という圧巻のゴールラッシュで帝京大可児(岐阜)を破って3回戦を突破。長野県勢としては第55回大会の松本県ヶ丘高校以来、じつに41年ぶりとなるベスト8進出を果たした。

 チームの土台となるのはハードワークに支えられた堅守だ。初戦の京都橘戦でも見せた全員が献身的に走り続けるプレーをこの日も披露し、ポゼッションや打開力に秀でた帝京大可児に自由を与えない。4-1-4-1の相手に対して、初戦の3-4-3から4-3-3へと布陣を変えてミラーゲームに持ち込む策も功を奏した。白尾秀人監督は「相手の(前線)3枚の流動性や左サイドの11番(久保藤次郎)のスピードを考えたら、3バックでは厳しいかなと思った」と狙いを説明。マンツーマンが基本となる守備では各選手がマッチアップする選手に粘り強く対応し、押し込まれた場面でもゴール前で身体を投げ出してシュートを防ぎ続けた。5得点に注目が集まりがちだが、2試合連続完封勝利が選手たちに自信を与えている。

 そうして耐えた後に繰り出す逆襲がカウンターとセットプレーだ。ボールを奪えば、時間をかけずに縦へボールを送り込む。頭と左足による見事な2得点で勝利を引き寄せたエースの根本凌や、決勝点となるPKを獲得した初戦に続いて交代出場で大仕事をやってのけた田中悟らFW陣は、前線の起点作りやゴールへ向かう推進力でチームに貢献している。そしてセットプレー。40分に追い風を利用した直接FKで先制点を決めた丸山圭太の左足や、驚異的な飛距離のロングスローを投げる田嶌遼介は注目だ。特に田嶌の存在は普通ならなんてことない位置のスローインが相手の脅威となる、まさに飛び道具。共通するのは、とにかく敵陣深くへとボールを送り込むこと。多少強引でも、相手がもっと嫌がるエリアへ持ち込むことが攻撃パターンとなっている。

 チームのベースは守備なだけに、次々と追加点が決まっていく展開を受けて丸山は「どうしちゃったんだろうな」と驚きを隠せない様子だった。さらに「自分が思っている以上の力を出せている。何が起こるか本当にわからない」と言葉を続けた。いくつかある高校年代の全国大会の中でも選手権は特別だ。短期間で選手やチームが劇的な変化を見せることは、過去の大会でもあった。彼らが大舞台で、これまでにない成長曲線を描いていたとしても不思議ではない。白尾監督は「もしかしたら10回中、2回しか勝てない相手だったかもしれない。でも、その2回で勝つためにどうするのか。チームワークや自分のやるべきことを徹底することがうちのサッカー」とチームの軸を再確認した。

 強豪校のような伝統や華麗な技術はなくとも、自分たちにできることを見定めてチャレンジャー精神を発揮するチームは大会の旋風となっている。準々決勝の相手は明秀日立。勝って歴史を塗り替える――。選手たちは次なる目標をしっかりと見据えていた。

取材・文=雨堤俊祐

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