2015.11.15

成長を続ける京都橘のエース岩崎悠人「同点にされた時は正直焦った」

文・写真=Noriko Nagano

 第94回全国高校サッカー選手権京都大会決勝戦の試合後、次々とやってくる報道陣の質問に安堵の表情で答えたFW岩崎悠人。飛び級でU-18日本代表に入り注目を集める京都橘高校の2年生エースだ。岩崎は2年連続で決勝戦の舞台に立った。

 勝てば、4連覇となる一戦。対戦相手は2年前の決勝戦で顔を合わせた洛北高校。洛北は準々決勝で強豪の東山高校をPK戦の末に倒し、自信をつけて勝ち上がってきた。洛北の前田尚克監督は決勝に向け「岩崎には先にボールを触らせるな。彼がボールを持っても、絶対に下がらずに向かっていけ」と選手たちを送り出していた。

 岩崎はマークされる中で、今大会4試合全試合でゴールを決めて、エースとしてチームの勝利に貢献。パスの出しどころを抑えられ、やりたいプレーをさせてもらえない中でも、ファイナルの大舞台でしっかりと先制ゴールを決めてリードを奪った。26分、岩崎はMF内田健太からの縦パスで裏に抜け出すと、DFを振り切り、出てきたGKをかわして、体をうまくひねって左足を振り抜きゴール。応援席にまっしぐらに走ってチームメイトと喜んだ。「イメージ通りにできた。去年より、心の部分が成長していた」と岩崎が語ったとおり、勝負強さが出たシーンだった。岩崎の余裕あるプレーには、昨年1年生で決勝の舞台を経験していたことが大きかった。

 試合後、岩崎は「去年はボールだけしか見えなかったのが、今日はそこまで見えた」と離れた先を指差した。昨年は、3年生ばかりの中で試合に出場。「3年生が応援してくれている。ミスしたらダメだと思った。この舞台なので、すごく緊張した」と振り返った。

 だが、今年の決勝戦のスタメンは、洛北が全員3年生なのに対し、京都橘は3年生が3人、残りは2年生と1年生がそれぞれ4人ずつの若いメンバーとなり、引っ張っていく立場になった。

 次第に雨足が強くなる中で、洛北は選手交代をしながら反撃。洛北の前田監督は選手たちに「最後まで走り切れ」と声をかけた。洛北の勢いは止まらず、数多くのセットプレーのチャンスを作って、流れを呼びこんだ。

 すると76分、左CKのチャンスに洛北のエースのFW貴舩陸が打点の高いヘッドで飛びこみ、同点弾を決めた。

「残り3分くらいで同点にされたときは正直焦った。まさか、失点するとは思っていなかった。この年代の甘さが出たんじゃないかな。でも、みんなから『やろう、やろう』って声が出た。そこは夏に比べて成長した。夏の東山戦では残り5分で決められ、焦って『全部俺がやる』って気持ちになってしまった。今日は最後まで自分を持ってやれた」(岩崎)

 岩崎は攻撃がうまくいかないと、イライラして自分一人で何とかしてしまおうとするところがあった。そこを米澤一成監督がうまくコントロールし、東山戦からは自分でもコントロールできるように成長していた。

 試合は両エースの得点で1-1とし、両チーム譲らず延長戦に突入した。延長戦で岩崎はゴールネットを揺らせたが、胸トラップをした時にハンドとなってノーゴール。「ハンドをした時にはブーイングが起こった。決勝の舞台は独特の雰囲気がある。相手もガツガツくるチームで、応援の声も大きかった」(岩崎)

 試合は延長戦でも決着がつかずPK戦にもつれこんだ。バックスタンドを埋めた応援団が見守る中、100分を戦い終えた選手たちにさらなる緊張感が襲う。

 先攻の洛北は最初のキッカーが外し、京都橘に有利に運ぶかに思われたが、PK戦のために投入された洛北GK神田翔一郎が、一本目を阻止して期待に応え、イーブンとなった。

 カウントは2-2。張り詰める中、岩崎は4人目のキッカーとしてペナルティーマークに向かった。この時岩崎の耳に届いていたのは、相手応援団の声。「蹴るときに『そいつを止めろ』って声が聞こえた」と語った岩崎はPKを決めると、右手でこぶしを握りしめた。

 計り知れないプレッシャーの中、その後、互いに3人が外し、9人目のPKを京都橘のGK矢田貝壮貴が阻み、その直後、DF田中悠太郎が決めて6-5となり、京都橘が4連覇を達成した。

 岩崎はU-18日本代表でのアジア予選(AFC U-19選手権バーレーン2016予選)で3週間チームを離れ、選手権が始まる1週間前に帰って、器用にチームに溶けこんでいた。岩崎は代表から戻ると、その経験をチームメイトに還元し、チームに取り入れる。チームを離れてもそれを感じさせないパーソナリティ。

「他の選手が『代表ばっかり行って』という風になっていない。岩崎が代表に行くことをみんなが誇りに感じてくれている。代表に行っても、チームのことを気にしている、そういう子」(米澤監督)

 決勝の舞台でPKをセーブした矢田貝もまた、代表帰りの岩崎にその経験を根掘り葉掘り聞き、シュート力を上げて帰ってきた岩崎とのシュート練習に挑む日々を過ごしていた。

「4連覇できたのは、上の代の子がやってきてくれたこと。彼らの代を称えたいと思うし、今回は、今の代で全国にいけることを誇りに思う」(米澤監督)

 伸びしろの大きさを感じさせる岩崎。エースと共に成長を続ける京都橘の全国でのパフォーマンスが楽しみだ。

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