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【2022年大会】レノファ山口が昨季王者を下して初優勝!【JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN中国】

2022.04.05

 「2022 JA全農杯 全国小学生選抜サッカー IN 中国」が4月2日、3日に鳥取県鳥取市のヤマタスポーツパークで開催された。

 今年で20年目を迎えた「JA全農杯 全国小学生選抜サッカー」は、小学生を対象とした8人制サッカーの大会。中国地方の代表を決める今大会は、開催県の鳥取県から4チームと、その他の各県から2チームずつ、合計12チームが参加し、決勝に進んだ2チームに全国大会の出場権が与えられる。試合は12分×3ピリオドで行われた。

 大会初日は3チームずつ4グループに別れて予選リーグが行われ、各組首位チームが翌日の決勝トーナメントに進出した。グループAは鳥取KFC U-12(鳥取)、グループCはレノファ山口FC U-12(山口)、グループDはサンフレッチェ広島F.Cジュニア(広島)が駒を進めた。グループBは、前回王者で昨年度の全国大会も制したオオタフットボールクラブ(岡山)が“抽選”の末に突破。予選リーグでFCツネイシU-12(広島)と成績が同じだったが、運の強さも見せてベスト4の座をつかんだ。

 晴れ空に肌寒さが混じった2日目は、準決勝でオオタFCとレノファ山口がそれぞれ接戦を制して全国大会への切符を手にした。オオタFCは鳥取KFCに1-0で、レノファ山口はサンフレッチェ広島に1-0で勝利。決勝はオオタFCとレノファ山口の対戦に決まり、2大会連続同カードとなった。なお、3位決定戦はサンフレッチェ広島が7-0で鳥取KFCに完勝し、3位入賞を果たした。

 決勝は前線から積極的にプレスをかけるオオタFCと、後方からしっかりビルドアップをするレノファ山口の対決となった。立ち上がりはオオタFCが勢いよくプレスをかけて相手を圧倒する。開始2分、ゴール前で福田翔太が相手のパスをカットして絶好のチャンスを迎えたが、シュートは惜しくも相手GKのビッグセーブに阻まれた。5分にも高い位置で相手ボールを奪ったが、チャンスを活かせずに惜しい時間が続いた。

 逆に序盤の硬さがほぐれてきたレノファ山口は、山本良太監督が「きちっと自分たちのサッカーをするところ、プレッシャーの中でもボールを保持するところは徹底させました」と言ったように徐々に良さが出てくる。9分、右サイドの兼國央暉が絶妙なクロスを入れると、中央の岸本圭二郎がシュートを打ったが、これは左ポストに嫌われる。それでも、ファーポストに詰めていた松原希誠が押し込んでゴール。「味方が打ったボールに最後まで詰め切れたので良かった」と松原の狙い通りの得点で先制に成功した。

 この先制点でレノファ山口が勢いづいた。「みんな緊張してあまり動けていなかったから、1点入って安心して自分たちのプレーができていた」とキャプテンの白井遥空が振り返るように、先制後はプレーに硬さが消えて積極的に攻め込む。対するオオタFCも、追う展開となった中で王者の意地を見せる。第2ピリオドに入って高い位置でボールを奪うと、森春輝が豪快なミドルシュートを叩き込んで1-1の同点。試合は振り出しに戻り、緊迫感が高まった。

 だが、先制点で自信をつけたレノファ山口は同点に追いつかれても揺るがなかった。「僕たちがゴールを取れると思っていたので、まだ気持ちは落ちていなかった」(松原)。その言葉通り、第2ピリオドに再びリードを奪う。河内啓夢が味方のミドルシュートのこぼれ球をしっかり押し込んで2-1の勝ち越しに成功した。

 さらにレノファ山口は第3ピリオドに河内のアシストから西村幸途が追加点を決めてリードを2点に広げると、試合終盤には山本涼雅が強烈なミドルシュートを突き刺してダメ押しゴール。試合を決めるゴールを挙げた山本は、スタンドに向かって「大」のパフォーマンスを披露する。「ケガをしているダイスケのためにやりました」と仲間への想いも忘れなかった。

 このまま試合は終了し、レノファ山口が4-1でオオタFCに快勝。前回大会の雪辱を果たして初優勝を飾った。4点目を決めた山本は、「去年も出場してオオタに敗れていたのでリベンジできて良かった」と1年越しの勝利を味わい、白井キャプテンは「みんなでつかみ取った優勝なので本当に嬉しい。去年の6年生が勝てなかった相手に勝てて、とても自信がついた」と喜びを噛み締めた。

 勝負の鍵は先制点と気持ちの部分だった。レノファ山口の山本監督は、「先制点を取れたので、追いつかれてもいくらかは余裕があったと思う。先に点を取られていたら、逆の展開になっていたかなという印象です」と紙一重の決勝だったという。オオタFCの大田修平監督は、「受け身になってしまった。第1ピリオドの入りは良かったけど、決めるところを決め切れずに先制されてしまった。そこから追いついたところまでは気持ちがつながっていたけど、その後は気持ちの部分で差がついたと思う」と振り返った。

 優勝を果たしたレノファ山口は“声”で目立った。決勝の試合前には一際大きい声を出してチームの熱量を上げ、試合中も盛り上がるところは思いっきり盛り上がる。賑やかなチームの印象だったが、山本監督は「真面目なチーム」だったという。

 「選手たちは大人しくて真面目なので、どうにか殻を破らせるようなことを今までずっとやってきた。半年ぐらい前までは全然声が出なくて、無理矢理でも声を出させた感じだったので、それがいい形になったと思う」。選手たちが声を上げ、お互いを盛り上げることで実力を最大限に発揮できた。自分たちの殻と強力なライバルという壁を破っての初優勝だった。

 激闘を演じた両チームは中国地方代表として、5月に神奈川県の日産スタジアムで開催される全国大会で日本一を目指す。レノファ山口の白井キャプテンは、「1カ月しかないので、ここでまたみんなで気持ちを引き締めてやっていきたい」と切り替え、松原は「しっかり一戦一戦に集中して勝てるように頑張りたい」と意気込んだ。去年は山口県内の新型コロナウイルスの影響で全国大会を辞退したため、山本監督は「去年の6年生が辞退になってしまったので、その分まで目一杯やってきたい」と2年分の想いを背負って戦う。

 全国連覇を目指すオオタFCの大田監督は、「今日の決勝みたいな試合だったら悔しさだけ残ると思うので、全国ではしっかり出し切りたい。また1カ月しっかり仕上げて、成長してほしい」と全国大会を見据え、キャプテンの細川龍之介は、「僕たちも優勝に向けて今日の敗戦を活かして頑張りたい」と前向きに語った。

取材・文=湊昂大

全国9地区で開催される『JA全農杯全国小学生選抜サッカー』の模様は@zennoh_sportsにてTwitter速報を実施。

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By 湊昂大

Kota Minato イギリス大学留学後、『サッカーキング』での勤務を経てドイツに移住して取材活動を行う。2021年に帰国し、地元の広島でスポーツの取材を中心に活動中。

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