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【2022年大会】ソレッソ宮崎が“得意の形”で九州王者に!【JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN九州】

2022.03.31

 「2022 JA全農杯 全国小学生選抜サッカー IN 九州」が26、27日に福岡県の筑後広域公園で開催された。

 「JA全農杯 全国小学生選抜サッカー」は8人制サッカーの全国的な普及のために始まり、今年で20年目を迎えた。九州の代表を決める今大会は、各県大会を突破した代表2チームの計16チームがトーナメント方式で争い、決勝に進んだ2チームが全国大会への切符を手にする。参加選手は小学5年生以下で、試合は前・後半20分の計40分で行われた。

 大会初日の26日は準々決勝まで行われ、今宿サッカークラブ(福岡)、福岡西フットボールアカデミー(福岡)、ソレッソ宮崎(宮崎)、太陽スポーツクラブU-12(鹿児島)の4チームが準決勝に進出。前回王者のサガン鳥栖U-12は準々決勝で太陽スポーツクラブに敗れてベスト8敗退となった。

 春の陽気に満ちた27日は準決勝から再開され、昨年準優勝の福岡西フットボールアカデミーを3-1で破った太陽スポーツクラブと、今宿サッカークラブに2-1で勝利したソレッソ宮崎がそれぞれ決勝に駒を進めた。試合後には、涙でピッチに倒れ込む選手もいたが、そこに手を差し伸べて健闘を称える選手もいた。清々しい天気の下、選手たちの勝負への強い気持ちや対戦相手へのリスペクトが際立った。

 決勝に進んだソレッソ宮崎は立ち上げ2年目だが、団結力があるチーム。前田悠介監督は、「みんな仲が良くて、チームの輪を感じる。サッカーが好きで集まっていて、やっぱり気が合うので、こういう舞台に立ってもチームワークで戦っていける良さがあると思う」と選手たちの絆を明かした。

 一方の太陽スポーツクラブは選手の主体性を大事にしている。会場では選手たちだけで話し合うシーンが目立った。坂口周平監督は、「サッカーを通して自分で考えて発言する力を培ってほしい。まずは選手たちで話させて、最後に修正すべきところは修正する。自分たちで考えるだけで変わってくるので、そこは意識させています」と説明した。

 20度近くまで気温が上昇した決勝では、両チームによる熱戦が繰り広げられた。先に試合の主導権を握ったのはソレッソ宮崎。「選手たちは走れるし、元気がいい集団。引いて構えても良さが出なので、前からプレスをかけるところは徹底させた」と前田監督が言ったように、アグレッシブな戦いを見せる。攻撃では「ドリブルとセンスはピカイチで頼りになる選手」と監督も称賛するキャプテンの川畑蒼空を中心に相手ゴールに迫った。

 試合が動いたのは17分、ソレッソ宮崎が序盤から数多く得ていたCKでゴールをこじ開けた。キッカーの上野琥生がピンポイントのボールを入れると、中央の税所暖矢が頭で合わせて先制点を奪った。「税所はセットプレーが強み。上野がいいボールを上げてくれるので、信じて飛び込んだ」(前田監督)。得意の形で決め切った税所も「ヘディングで決めることが多かったので、決勝でもうまく決められて嬉しかった」と納得の一撃だった。

 先制を許した太陽スポーツクラブは、相手の圧力を前に思うようなプレーを出せず、1点ビハインドで試合を折り返した。ハーフタイムもまずは選手たちで話し合い、最後に指揮官が「どんどんチャレンジしよう!」と発破をかけて送り出した。奮起した選手たちは後半の立ち上がりから積極的にゴールを目指し、キャプテンの江田國将が「一番の強み」という強烈なシュートを打ってチームを勢いづけた。

 後半も激しい攻防が続き、1点を追う太陽スポーツクラブは交代策や江田を前線に上げて打開を図るなど、最後の最後まで奮闘。だが、惜しくもゴールに届かず、0-1で敗れた。準優勝に終わり、キャプテンの江田は「とても悔しい。次に宮崎と当たるときは勝てるように頑張りたい」と早くもリベンジを誓った。

 坂口監督は「能力はある子たちだけど、劣勢になった時に力が発揮できなかったのは実力不足だと思うので、そこはいい経験ができた」と前向きに語り、「背後を狙うところや崩しの部分は課題。崩せなかった時にボールを運ぶ力や一対一の対人のところも含めて、個の力の育成が大事だと思う」と成長を目指す。

 一方のソレッソ宮崎は追加点こそ決められなかったが、試合前にキャプテンが言った「全員で戦って最後まで走り続けよう」という言葉をチーム一丸で体現。前半の1点を守り切り、初優勝に輝いた。キャプテンの川畑は、「全員で勝ち切った試合だったのでとても嬉しい」と喜び、「(個人的には)ドリブルで抜ける部分はあったけど、点を決められなかった。まだまだ成長して全国大会で頑張りたい」とさらなる闘志に火をつけた。

 前田監督は、「チャレンジャー精神をしっかり持って挑めた。子供たちがよく頑張ってくれた」と選手たちを称え、「守備に関しては全員が頑張ってくれたし、この大会ですごく成長してくれたポイントだった」と振り返った。そして全国大会を見据えて、「日頃の感謝を伝えられるようなゲームをしたい」と語った。

 九州での激闘は幕を閉じたが、約1カ月後には日本一決定戦が待っている。決勝を戦った両チームは、5月に神奈川県の日産スタジアムで開催される「JA全農チビリンピック2022 JA全農杯全国小学生選抜サッカー決勝大会」に出場する。

 太陽スポーツクラブの江田は、「とてもいい会場でできるので楽しみ。強い相手とも戦えるので勝てるように頑張ります」と意気込んだ。ソレッソ宮崎の川畑は、「チームにはどんな相手にも絶対に負けないという気持ちがある」と自信を語り、「全員で優勝を勝ち取れるように頑張りたい」と日本一に向けて決意を強めた。

取材・文=湊昂大

全国9地区で開催される『JA全農杯全国小学生選抜サッカー』の模様は@zennoh_sportsにてTwitter速報を実施。

チビリンピック2024

By 湊昂大

Kota Minato イギリス大学留学後、『サッカーキング』での勤務を経てドイツに移住して取材活動を行う。2021年に帰国し、地元の広島でスポーツの取材を中心に活動中。

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