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【2022年大会】ベガルタ仙台ジュニアが3連覇! 準優勝の会津サントスFCも健闘【JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN東北】

2022.03.09

決勝第2ピリオドで決勝点となるゴールを放ったベガルタ仙台ジュニア浅井桐哉(3年)

 3月5日、6日の両日、『JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN東北』が福島県相馬市の相馬光陽サッカー場にて開催された。

 東北6県の4種委員会から推薦された2チームずつ、計12チーム(1チーム出場辞退)の3~5年生(大会開催時)が参加。5月3~5日に神奈川県横浜市で開催される『JA全農杯チビリンピック2022 JA全農杯全国小学生選抜サッカー決勝大会』の東北ブロック予選も兼ねており、各チームとも東北王者の座と、地域代表として2チーム参加できる全国の舞台を目指した。

 試合は8人制、12分×3ピリオドで行われる。第1ピリオドと第2ピリオドで選手を全員入れ替えなければならず、第3ピリオドは自由に交代ができる。成長著しい小学生年代の多くの選手に出場機会を与えることができる仕組みであり、チームとしての総合力も問われる。

 まずは5日の予選リーグで、3チームずつの4グループに分かれ、総当たりで対戦。各グループの上位2チームが6日からの決勝トーナメントに進出し、そのトーナメントを勝ち上がり決勝に進出した2チームが5月の決勝大会に出場する。グループ3位のチームも最終日にフレンドリーマッチを行うなど、多くの試合経験を積むことができた。

 今年の東北地方は降雪が多かった上、コロナ禍の影響で各自治体から練習の自粛を求められた地域もあり、思うような準備ができなかったチームも多かった。S・K(七郷・蒲町)SC(宮城県2位)の宮城秀夫監督は「大会前は全く練習ができず、この大会で久しぶりにボールに触りました」と語る。そういった状況でも集まったチームは自分たちの力を存分に発揮し、元気はつらつとしたプレーをたくさん見せてくれた。

 予選リーグ、決勝トーナメントともに白熱した試合が行われたが、決勝に駒を進めたのは、過去2大会連続優勝しているベガルタ仙台ジュニア(宮城県1位)。予選リーグで大敗を喫したが、決勝トーナメントでは準々決勝で五戸すずかけSC U-12(青森県1位)に1-0、準決勝で向中野FC(岩手県1位)に5-0と、試合を重ねるごとに調子を上げて、今年も決勝の舞台に立った。各種全国大会の常連で、2013年の決勝大会では優勝経験もある。巧みなパスワークからゴールに迫り、GKも含めて全員が攻守両方に積極的に関わるチームだ。

 もう1チームは、そのベガルタ仙台ジュニアに予選リーグで4-0と大勝した会津サントスFC(福島県1位)。決勝トーナメントでは準々決勝で盛岡太田東サッカー少年団(岩手県2位)に2-0、準決勝でモンテディオ山形ジュニア村山(山形県1位)に2-1で勝利。サイド攻撃に強みがあり、守備も粘り強さが見られた。Jリーグクラブのアカデミーチームを2つ倒して3大会ぶりに決勝の舞台へと駒を進めた。

 14時30分、いよいよ決勝が始まった。第1ピリオドから両チームが激しくゴールを目指すと9分、ベガルタ仙台がゴール前で攻撃の圧をかけ、こぼれ球を佐藤三悟(5年)がゴールに押し込んだ。第1ピリオドは、ベガルタ仙台が1-0とリードを奪った。

 しかし第2ピリオドでは、「1ピリで点が取れなくても2ピリで点が取れる」と会津サントスのキャプテン塩田蒼斗(5年)が語る通り、両サイドのアタッカー益子琉斗(5年)と小林央聖(4年)が鋭い縦への突破から決定機をつくっていく。そして6分、左サイドからのクロスボールを小林がヘディングで押し込み、会津サントスが同点に追いついた。

 それでも予選リーグで完敗した悔しさを晴らそうと意気込んで臨んだベガルタ仙台は9分、石野陽翔(5年)の縦パスに浅井桐哉(3年)が飛び出すと、3年生とは思えぬ落ち着きでGKとの1対1を制してゴールを奪い、ベガルタ仙台が再度2-1と突き放した。

 第3ピリオドは、お互いにゴールを奪おうと懸命に戦ったが、両チームの守備陣が踏ん張りを見せ、このまま試合終了。2-1でベガルタ仙台が勝利し、3大会連続5回目の優勝を飾った。

 先月就任したばかりのベガルタ仙台・永井篤志監督は「自分が何かをしたわけではなく、選手たちが自ら危機感を持ってやってくれました」と、予選リーグでの大敗を選手たちが糧にしたことを強調。「昨日サントスさんに負けて、どうなるんだろうと思いましたが、システムと人を変えて、チームのストロングを出せました。今日は戦ってくれましたし、ボールに強く行けました」と、予選リーグからの修正もうまくできたという。

 キャプテンの小澤春太(5年)が「負けた試合の時よりも一人ひとり明るく声を出していこうと意識しました」と語った通り、試合中もベンチからピッチ上の選手たちを鼓舞する声や、アドバイスを送る声がたくさん聞かれた。小澤は「みんなをまとめて引っ張っていけるようなプレーをしたいですし、日本一を目指します」と、9年ぶりの決勝大会優勝を目指す。永井監督も「全国で戦うためには全員の個々のレベルアップが欠かせません。そこをつなぐのが自分の役目だと思っています」と、監督として臨む初めての決勝大会に向けて意気込んだ。

 惜しくも準優勝となったが、健闘を見せた会津サントスの須藤裕貴監督は、「準決勝と決勝は相手がすごく良いチームで、思うように目指しているボール保持ができない時間帯もあって、難しいゲームでした」と、試合を振り返ったが、ベガルタ仙台とモンテディオ山形という2つのJリーグアカデミーチームに勝利できたこともあって、「選手も手応えをつかめた部分があると思います」と手応えも口にした。

 そうした中で、「ビハインドの状況で失点すると良い部分が出せなくなるので、状況判断をやり続けられるようにしたい」と、今後の課題を語った。キャプテンの塩田は「一人ひとりの良いところを毎試合発揮できました。東北で決勝まで行けて良い感じだったので、全国でも良い成績を残したいです」と意気込む。須藤監督も「2018年は1勝もできなかったので、今年は勝ちたい」と、まずは全国の舞台での1勝を目指すという。

 特に6日は暴風が吹き荒れる悪コンディションだったが、選手たちは風にも負けず、素晴らしいプレーを随所で見せた。ベガルタ仙台、会津サントス両チームの決勝大会での躍進と、参加チームの選手たちが今後ますます成長し、夢に向かって全力で突き進むことを期待したい。

取材・文=小林健志

 全国9地区で開催される『JA全農杯全国小学生選抜サッカー』の模様は@zennoh_sportsにてTwitter速報を実施。

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