2017.01.03

遠野MF千田夏寅、昨年の東福岡戦を経て成長を遂げたゲームメーカー

遠野の10番、千田夏寅 [写真]=梅月智史
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取材・文=松尾祐希(提供:ストライカーデラックス編集部)

 岩手県勢としては9年ぶりの初戦突破を目指した遠野は、序盤から千田夏寅を中心に長短のパスを使い分けながら相手陣内へと侵入。ゴール前に迫りながらもなかなかネットを揺らせなかったが、前半32分に阿部亮太が五嶋一樹のクロスボールに飛び込む。後ろに下がりながらもヘディングで合わせて均衡を破ると、直後の35分にも裏へ抜け出した佐々木琢光が加点。後半こそ相手に押し込まれる時間帯があったが、最後まで守備陣は崩れず3回戦進出を決めた。

 2年生ながら昨年も選手権に出場した遠野の千田夏寅。そのときは1回戦で大会を制した東福岡に敗戦した。何もすることができず、奇しくもこの試合と同じ地、フクアリで悔しさを噛み締めることになった。

 あれから1年。千田は中盤の底から成長した姿を披露した。長短織り交ぜたパスで好機を演出し、得点には絡まなかったが司令塔として役割を全う。「技術的な部分で成長したのは全部縦に入れてしまうのではなく、落ち着いて回りを見た上で横とか斜め前にボールを動かせるようになったこと」と本人が語るように、1年前とは比べものにならないプレーを全国の舞台で見せた。

 昨年と比べて大きく成長を果たした千田だが、自身を変えるきっかけになったのは東福岡のボランチ・鍬先祐弥と対峙したからだ。「ボランチの鍬先はサイドチェンジの質とかボールを奪う能力が高かった」と昨年の冬を振り返る背番号10は、新チームが立ち上がると自身が苦手としていたキック精度の強化に着手。「練習メニューはあまり変えていないのですが、レベルの基準を自分の中で変えた。鍬先のキックを見たので、そのレベルで常に練習をやってきました。特にサイドチェンジのボールスピードなどを自分なりに意識してやった」と本人が語るように、全国レベルを肌で感じた経験は日頃のトレーニングに生かされた。そして、技術面を向上させるべく、居残り練習も敢行。「壁がグラウンドにあるので、40分ぐらいボールを繰り返し蹴っていました。新学年になってからはずっとやっていた部分」(千田)という地道な積み重ねはいつしか自信に変わり、「自分の武器がキックの部分になった」というレベルにまで昇華した。

 昨年に味わった悔しさをバネに大きな成長を遂げた千田。最後に今大会で東福岡と対戦してみたいかを聞くと、「それはあるけど、まずは目の前の一戦に集中したい」と答えた。謙虚に答えた彼の姿勢こそが、成長を支える礎なのかも知れない。「(初戦を戦って)場に慣れたので、明日はもっとできると思います」と語った彼の活躍に期待は高まるばかりだ。

(試合後コメント)
遠野
長谷川仁監督
前半はいい形で攻められた。ただ、後半はだいぶ押し込まれる時間があったのですが、(勝利ができたので)ホッとしています。(前半は)立ち上がりは長いボールを蹴ることを指示していて、そこからリズムをつかめるかどうかがポイントだった。あとは10分過ぎからボールを丁寧に繋いでいこうと話していたので、20分ぐらいまでは得点を取れなかったのですが、前半のうちに1点取れたのでよかった。

10番 千田夏寅
試合をやっていく中で相手が間延びしてくる時間があると感じていた。でも、チーム全体でそれを分かっていたので、その時は相手にボールを持たせればと思っていた。(後半は相手に押し込まれる中でゴール前に)蹴り込まれてきつい場面があった。ただ、シュートを打たれるところもあったのですが、スライディングで身体を張って無失点に抑えられたので自信になる。

松山北
12番 串部太一
(他の3年生が夏で引退した中でのプレーだったけど)試合で自身のプレーをやり切った。いつもであれば足がつって交代してしまうのですが、今日はなかなかそうならなくて最後まで大丈夫かなと思っていた。交代してしまったので、足がつるまではやりたかったなと感じる。でも、こんなにいいところでサッカー人生最後のプレーができてよかったなと思います。

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