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帰ってきた前橋育英の長身点取り屋 得意の会場で2得点も監督は「もっとできる」

2017.01.01

試合後、スタンドの声援に笑顔で応える前橋育英FW馬場拓哉 [写真]=鷹羽康博

取材・文=平野貴也(提供:ストライカーデラックス編集部)

 前回選手権でともにベスト8入りした2チームの対戦は互角の展開だった前半終了間際、前橋育英が積極的に抜け出しを図っていた飯島陸が裏へ出て、一度は止められたが自ら押し込んで先制。後半、明徳義塾は竹内優太が起点となり、大田陸のスピードを生かして反撃。しかし、前橋育英が投入した馬場拓哉に勝負を決められてしまった。馬場は後半13分に抜け出しからループシュートで追加点を奪うと、5分後にも右サイドから飯島が入れたアーリークロスで抜け出し、ダメ押しの3点目を奪った。

 帰って来た長身スーパーサブが勝負を決めた。「お前は、この会場、得意だろう? 決めて来いよ」とチームメイトに送り出されて2得点を挙げたのは、前橋育英FW馬場拓哉だった。前回大会では、同じ会場で通算2得点。初戦で大津を相手にアディショナルタイムの決勝弾をたたき込み、3回戦の帝京第三戦でもゴールを挙げた。いずれもフクダ電子アリーナでの試合だった。

 180センチを超える長身ストライカーは、3年生になった今季、主力として輝くはずだった。しかし、山田耕介監督が「やっと間に合った」と話したように、馬場は公式戦にほとんど出られなかった。夏前にヘルニアで腰を痛め、インターハイは出場しないままにチームが県予選の1回戦で敗退。選手権予選も体調不良で参戦できなかった。最後の舞台に間に合い、スーパーサブとして2得点。馬場は「速さはないし、ポストプレーもうまくない。でも、ずっとFWをやって来ているので、ゴール前の迫力とか点を取ることが自分の武器」と話す。まだ本調子ではないため先発には復帰していないが、得点力のある馬場の戦列復帰により、前橋育英は、前線に貴重な駒が増えた形になっている。

 6月から9月までは、ボールを蹴ることも、トップチームの練習に参加することもできなかった。不在の間にチームが良い結果を出したときは焦ったが、刺激を受ける部分もあった。負けてはいられない。リハビリ期間は、憧れのルイス・スアレスらFWだけでなく、ほかのポジションの選手の映像も見てイメージを膨らませた。スアレスを見て気づいたのは、相手の動きを見て確かめておくこと。この日も試合前はスアレスの映像を見ていた。自身の1点目は、前に出た相手GKの背後を突くループシュート。「冷静に相手を見てループというアイデアが生まれたのは、映像のおかげかもしれない」と笑顔を見せた。苦しんで来た1年の最後は、自分の力で勝ち上がる。年明け1月2日の2回戦は、インターハイ王者の市立船橋と対戦する。決戦の場は、馬場が得意とするフクダ電子アリーナだ。

(試合後コメント)
【前橋育英】
山田耕介監督
立ち上がりは明徳義塾さんがロング、ミドルの縦パスを入れてきたので、跳ね返してセカンドボールを拾った。しのげば、ポゼッションでこっちのペースになるはずだと選手には話していた。馬場は6月くらいから腰を痛めていて、やっと間に合った。まだ、7~8割の出来。もっとできる。

24番・人見大地
チームで点が取れて良かった。相手のCBはフィジカルが強かった。馬場とは下級生のころからポジション争いのライバル。互いに高め合ってきた。2トップで並ぶことがあったら、やってやろうという話をしていた。今日は(馬場)拓哉が点を取ったので、次は自分が取れるように頑張りたい。

18番・馬場拓哉
リードしていたけど、1点では苦しかったので、2、3点目を取ることが自分の役割だった。しっかりと果たせて良かった。1点差と2点差は違うし、そこから3点差もまたメンタルへの影響が違う。息の根を止めると言うと言い過ぎかもしれないけど、そういう感じで点が取れて良かった。

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