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<選手権フォーカス>【野洲】今年は一味違う“セクシーフットボール” 団結力で臨む

2016.12.25

野洲の団結の中心にいる主将・川瀬相 [写真]=森田将義

“セクシーフットボール”の異名を持ち、華麗なパスワークや個人技を駆使したサッカーが代名詞の野洲高校だが、第95回全国高校サッカー選手権大会に臨むチームはいつもと少し毛色が違う。キャプテンのDF川瀬相が「今年はチームワークがめっちゃ良い」と胸を張るように、上手さ以上にチームとしての“輪”が目を引くのが今大会の野洲だ。

 崩しのスタイルも個ではなく、チームとしてのもの。昨年はFW村上魁、MF林雄飛の2枚看板を押し出した攻撃を展開したが、今年のテーマは「複数人でのドリブル」。ドリブルを仕掛ける選手に対してサポートを徹底し、グループで相手ゴールに迫る攻撃に磨きをかけた。また、インターハイ予選の準決勝で綾羽に敗れてからは、「人間性が表れる」という表現で意識改革を求められた守備にも変化が生まれた。「ヤンチャなやつは多いけど、サッカーに対しては真剣にやる」(川瀬)今年の代が見せる「全員攻撃、全員守備」はいつもの野洲と違った楽しみがある。

 ピッチ外でのまとまりの良さは戦いに繋がっており、川瀬を中心にチームが団結。学年差関係なく、下級生が上級生とフレンドリーに話せるのも特徴で、MF江口稜馬、FW高取誠隆らが2年生ながらもノビノビとしたプレーができるのもピッチ外での関係性が活きているからだろう。選手権予選の決勝では綾羽に3-2で夏のリベンジを達成し、2年連続での選手権出場を決めた。過去10年で出場権を掴んだのは実に7回。チーム一丸となって、「滋賀といえば野洲」という構図をきっちり守ったことは大きな自信となっている。

 戦いの舞台を全国に移す今後は聖和学園に1-7で敗れた昨年のリベンジが期待される。川瀬が「昨年は動きが硬かったし、聖和の勢いに飲み込まれてしまった。7失点の重みや責任を感じて、今でも試合のビデオを見てしまう。でも、その悔しさがあったから、県予選の決勝で綾羽に勝つことができたと思う。仲間を信じて良かった」と振り返るように、大敗を経て今年のチームは輪に磨きがかかったのは確かだろう。“セクシー”対決として注目を集めた昨年と同様に、今年も関東第一高との開幕戦を引き当て、周囲の関心も高い。いつもと“少し違う”チーム力の野洲を披露する絶好のチャンスだ。

取材・文=森田将義

By 森田将義

育成年代を中心に取材を続けるサッカーライター

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