2016.12.19

「強い筑波」を証明…8発圧勝でインカレ制した筑波大、新潟DF早川史哉の意志を継いで

優勝を喜ぶ筑波大の選手たち。北川は早川のユニフォームを身につけた [写真]=平山孝志
サッカーキング編集部

「強い筑波」を証明する――。今年で創部120年の歴史を誇る伝統校としてのプライドだけではない。筑波大学には、第65回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)でのタイトル獲得に懸けるもう一つの理由があった。

 18日に行われた日本体育大学との決勝戦。この日も筑波大のベンチには、アルビレックス新潟のユニフォームが飾られていた。背番号は「28」。同校OBで、昨季は主将を務めた新潟DF早川史哉のものだ。6月13日に早川が急性白血病を患っていることを発表して以降、筑波大蹴球部の部員たちは、応援基金の立ち上げなどをとおして精力的に支援活動を行ってきた。

 ピッチ外での活動はもちろんだが、彼らが早川に何よりも届けたかったのは、サッカーにおける結果=タイトル獲得だ。昨季、初めて関東大学2部リーグを戦った筑波大は、早川を中心にチーム一丸となり、熾烈な昇格争いを制して1年での1部復帰を遂げた。そして早川が卒業した今年、彼の背中を追って成長した後輩たちが1部の舞台で躍動した。夏の総理大臣杯で全国大会に出場すると、JR東日本カップ2016第90回関東大学リーグ戦は2位でフィニッシュ。今年最後の大会であるインカレでは、決勝で日体大を8-0と寄せ付けず、13年ぶり9回目の戴冠を果たした。

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 日体大戦後のインタビューに応じた筑波大の小井土正亮監督は、質問に答え終えた後、「一つだけ」と言葉を付け加えた。

「我々と昨年一緒に戦った仲間が今、新潟で戦っています。彼に声援を、彼にパワーを、というつもりでしたが、彼からパワーをもらったと思っています。今日会場に来た方々、テレビをご覧の皆さんも、新潟で戦ってる早川史哉をぜひ応援してほしいと思います」

 早川とともにプレーした経験のある選手たちも、それぞれ胸の内を明かした。ゲームキャプテンを務めた吉田直矢は、早川に優勝を報告できることが「何よりうれしい」とコメント。大会得点王でMVP賞を受賞した中野誠也は、瞳を潤ませながら語った。

「早川さんは24時間中ずっと病気と戦っているけど、自分たちは1日のうち90分を戦えばいいだけ。逆に早川さんから勇気をもらっているので、感謝しているし、自分たちは結果を出すしかないと思っていた。早川さんのために取れた優勝だと思う」

 セレモニー後の記念撮影でチームを代表して早川のユニフォームを着用したのは、3年生のFW北川柊斗。早川は「ずっと仲良くしてくれて、いろいろと相談にも乗ってくれる」という親しい先輩だ。決勝戦が今大会での初スタメンとなった北川は、後半だけでハットトリックを記録する大活躍でベストFW賞を受賞。「(早川に)『優勝したぞ!』と伝えたい」と笑顔を見せた。

 筑波大の戦いはここで終わりではない。選手たちは試合後、早くも先を見据えていた。DF鈴木大誠は「このままで来年も勝てるとは全く思っていない。自分自身もチームとしてももっと成長していかなきゃいけない」と気を引き締める。

 中野は「まだ始まりにすぎない。来年こそはリーグも大臣杯もインカレも取れるように、今から気合いを入れ直して取り組んでいきたい」と抱負を述べた。

 大学日本一の座に輝いても謙虚な姿勢を貫くのは、2部リーグを戦った昨季、1部昇格を目標にするのではなく、「強い筑波」の再起を誓い、1部で優勝争いができるチーム作りに取り組んできたからこそ。その中心にいたのが、キャプテンとしてチームをまとめ、個々の成長のためにも努力を惜しまなかった早川だった。苦悩の時期にも下を向かず、向上心を持って取り組み続ける。早川の意志を継ぐ筑波大の選手たちは、昇格1年目で日本一という目標を見事に実現させた。その姿は、闘病生活が続く早川へ、恩返しの意味を込めた“エール”となったはずだ。

「今日も闘おう。早川史哉と共に」。その合言葉を胸に戦う筑波大蹴球部は今後、さらなる躍進を果たすだろう。今回のタイトル獲得は、新時代を築く第一歩に過ぎない。早川とともに目指した「強い筑波」を証明するため、ひたむきに歩み続ける。

文=平柳麻衣

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