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高校サッカーを「突き抜けたチーム」へ…昨年の悔しさから真の“強さ”を手にした市立船橋

2016.08.03

市立船橋は3年ぶり9度目のインターハイ制覇を果たした [写真]=吉田太郎

 昨年の市立船橋高校は非常に強いチームだった。MF椎橋慧也(現ベガルタ仙台)やFW永藤歩(現モンテディオ山形)を擁し、他にも4人の日本高校選抜欧州遠征メンバーを送り出している。全国2冠を達成した東福岡高校含めて誰もが「強い」と認めるチーム。だが、結果はインターハイが全国決勝で、全国高校サッカー選手権大会も全国3回戦でいずれも東福岡にPK戦で敗れて頂点には手が届かなかった。

 だが、今年のインターハイは、「強い」市立船橋が全国制覇も成し遂げた。流通経済大学付属柏高校との千葉ライバル対決となった決勝は、「前の動き出しと後ろのはっきりとしたクリアとか、中盤の攻防では相手が上回っていた」(朝岡隆蔵監督)という内容。前線から攻守においてパワーをかけてくる流経大柏に苦しめられた。前半終了間際に左足首の負傷を抱えるFW村上弘有が「決勝までみんなに連れてきてもらったので、やらないと」という気迫の一撃で先制したあとも相手の勢いを削ぐことはできなかった。

 我慢強い守りで決定機を作らせなかったが、後半終了間際には連続でセットプレーを与えるなどピンチの連続。だが、アディショナルタイムにセンターバック原輝綺が準々決勝に続いて再びゴールライン上でのスーパークリアを見せるなど堅守と勝利への執念で上回って1-0で勝ち切った。

 昨年の経験者であるセンターバック杉岡大暉主将や原、MF高宇洋らを残す今年、ベースの戦い方は変わらない。攻撃でも守備でもイニシアチブを取れる多様なチームになった。加えて頂上へ登り切るための力となったのは昨年の悔しさ。高は「『絶対に同じ景色は見たくない』と思っていたので、日々の練習から勝負強さというのは意識してやってきました」と説明する。昨年以上に持っていた「勝たないと評価されない」、「チームのために戦う」の思いが今夏、結実した。

 目標は高校サッカーを「突き抜けたチームに」なること。5度の選手権優勝など輝かしい栄光を持つ名門は「市船に新たな歴史を」(杉岡)の信念を持って次の勝利にこだわる。

文=吉田太郎

By 吉田太郎

サッカー専門媒体を中心に、主に育成年代の取材活動を展開。

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