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慶應一家育ちのDF井上大が語る、最後の早慶定期戦への想い「笑って終わりたい」

2016.07.05

 今季の慶應義塾大学で副将を務めるのが井上大だ。「学生サッカーが最後というのもあって、必ずタイトルを獲りたい」と話す井上。前期を終えた関東大学サッカーリーグの結果には全く満足していない。また、7月6日には最後の早慶サッカー定期戦を迎える。大一番を控え、今何を思うのか。井上の胸中に迫った。

取材=吉田遼平(慶應スポーツ)

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――今季ここまでを振り返って下さい。
井上 チームとしては問題な成績だと思います。優勝という目標を掲げている中で5位という結果で、前半戦の自分たちの戦いぶりは不甲斐なかったと思います。攻撃にしても守備にしても、自分たちがどういう形で攻めていけばいいのか、守ればいいのかという形がなかったことが一番の反省点であり、この順位になってしまった原因だと思います。

――順天堂大学戦からはゲームキャプテンを務めることになりました。
井上 もうとにかくあとがなかったし、自分がゲームキャプテンになってチームの雰囲気が変わらなければ、監督のこの大きな決断も意味がなくなってしまうと思いました。とにかく、練習から自分たちがどう戦わなければいけないのかを確認し合いながら、練習するように心がけました。

――宮地元貴主将にどう声をかけましたか?
井上 特にかけた言葉はありませんでした。ただ、元貴は元貴なりのサッカーでの役割があると思っていました。それは、球際の部分や中盤での競り合いです。それが、前期の前半は元貴自身もなかなかできていなかったので、まずは元貴が自分のプレーに集中してほしいと思っていました。

「必ずタイトルを獲りたい」


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――2年生から試合に出るようになりましたが、当時と比べて今変わった点はありますか?
井上 いい意味で余裕が出たかなと。2年生の時は、相手の右サイドにすごく速い選手や今プロで活躍している選手が何人もいてビビってしまって、球際の部分で強くいけなかったり、自分にボールが入ったときにすぐに前に蹴ってしまったりしていました。すごく中途半端で慌てたプレーが多かったです。3年の後期くらいから相手を見てプレーできるようになりました。その中で自分の左足を生かしたサイドチェンジやフィード、近くにつけるパスっていうのを自分の判断で選択できるようになっているので、そこが一つ替わった点です。あとは、守備の部分で一対一の対応に自信が持てるようになりました。それこそ2年生の時は速い相手に対して、簡単に突破を許してしまうシーンが多かったんですけど、今は落ち着いて相手のスピードを殺して、自分の間合いに持ち込んでボールを奪うということを実践してできるようになりました。

――心境の変化などはありますか?
井上 すごくあります。2年生の時や去年は、とにかく自分が試合に出て活躍したいという思いがありました。4年になった今は自分が学生サッカーが最後というのもあって、必ずタイトルを獲りたいという思いがますます強くなっています。

――特にこの時に変わったという印象に残る試合を挙げるとしたら?
井上 2年のアミノバイタル杯で青山学院大学に負けた試合と去年の早慶定期戦は僕の中ですごく印象に残っています。

――デビュー戦は覚えていますか?
井上 1年生のリーグ戦第3節で、開幕戦からメンバーに入れてもらっていて、チームはなかなか勝てていない状況で専修とやった試合でデビューしました。その時は、長澤(和輝)とか北爪(健吾/ともに現ジェフユナイテッド千葉)とか、仲川(輝人/現横浜F・マリノス)、下田(北斗/現湘南ベルマーレ)がいて専修の黄金世代でした。その中に自分がポンと入れられて、何もできなかったことを覚えています。

――井上選手は熱いプレーヤーなのかクールなプレーヤーなのかどちらですか?
井上 冷静に判断することは心掛けているんですけど、勝負事で気持ちが前に出過ぎてしまうのはなんとなくあるので、そこをみんなは熱いって言っているのかなと思います。

――憧れている選手や目標にしている選手はいますか?
井上 すごく自分が目標にしている選手は、バルセロナなどで活躍したエリック・アビダルという選手です。攻撃と守備のバランスがすごく良くて、シンプルに好きで憧れているのは中村俊輔選手です。左足のキックとかバンバン攻撃に絡むところが憧れています。

――前半と後半でキャプテンマークを変える理由を教えてください。
井上 あれは、僕は知らなかったんですけど歴代の主将はみんな赤をつけていて、赤しかないと思っていたんです。でも、ゲームキャプテンになって渡されたのが赤、青、オレンジの三種類で赤は歴代つけられてきたからボロボロだったんです。青とオレンジはまだ誰も使っていなかったので、新しいものを使いたいなと思って二色使っています。特に深い理由はないです。

――今ではゲン担ぎのようなものですか?
井上 そんなでもないです。新しい色がもし入ってくれば、すぐそっちにいきます(笑)。

――ご自身の応援歌については?
井上 最初はちょっと安いなと思いました(笑)。みんな口ずさんでくれたり覚えやすいので、初めて来た人も覚えてくれるしすごくありがたい応援歌だと思っています。

――応援してくれるたくさんの部員がいるが、チームへの想いを教えて下さい。
井上 僕はまず、両親が慶應OB、OGで父が体育会で母が應援指導部でした。そういう意味で、昔からこの慶應に憧れていたので、今その組織の一員として試合にも出られている立場にいることはすごくありがたいと思っています。ただ、4年生になって、まだまだチームの未熟な部分や足りていない部分がサッカーの面でもそうでない面でもたくさんあります。そこをしっかり全部詰めて、リーグ優勝という結果を勝ち取れるようにまだまだやらなければいけないことが多いのかなと思っています。

「去年の定期戦に負けた時は涙が止まらないくらい悔しくて、こんな思いは二度としたくないと思った」


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――早稲田への意識はありますか?
井上 僕は結構あります。慶應一家だったので、自分が慶應ではなくても、早稲田大にはネガティブなイメージがあったということが一つと今までのリーグ戦や定期戦での早慶戦で負けた時、いつもより悔しいという気持ちがありました。去年の定期戦に負けた時は涙が止まらないくらい悔しくて、こんな思いは二度としたくないと思ったので、今年は絶対に勝ちたいと思っています。

――早慶戦の思い出を教えて下さい。
井上 2年生の定期戦と3年生の定期戦はどちらもすごく悔しかったです。特に3年生の時は、相手に高校の同期が2人出ていて、彼らにすごく活躍されて負けてしまったのでとにかく悔しかった。それと、2年生の後期のリーグ戦は逆にすごく嬉しかったことを覚えています。何年間も早稲田に勝てていなかった中で、当時のキャプテン(増田湧介)が劇的なミドルシュートを決めて、みんなで守り切って勝つことができました。あの時はチーム力も技術的にも早稲田が上回っていたと思うんですけど、最後は気持ちでいったという試合でした。もちろんサッカーの部分で早稲田を圧倒することは大事ですが、ベースの“戦う”という部分は負けてはいけないということを感じました。今年はリーグ戦では勝利したがまず、早稲田の調子が悪かったので正直、早稲田はもっと強いと思います。ただ、自分たちのサッカーを上手く展開できたことは収穫になっています。いいイメージがあの早稲田戦でできたので、今後みんなであの試合を思い出しながらやっていきたいです。

――最後の早慶定期戦ですが、楽しみな点と力強い意気込みをお願いします。
井上 楽しみな点は最後ということで、大観衆の中で試合ができることです。あと高校の同期と定期戦で戦うことも最後だから彼らをひざまずかせるくらい圧倒して、笑って終わりたいと思います。

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