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東洋大の「新・背番号10」仙頭啓矢…“トラウマ”のPKを克服し、真のエースへ

2016.06.07

今季から背番号10をつけてプレーしている仙頭 [写真]=平柳麻衣

 苦手なPKで今季6得点目をマークした。4日、JR東日本カップ2016第90回関東大学サッカーリーグ戦前期リーグ第10節で、東洋大は関東学院大学と対戦。スコアレスで迎えた27分、東洋大学のエース、仙頭啓矢は自ら獲得したPKのキッカーを務めることとなった。

 仙頭といえば、京都橘高校の3年時に第91回全国高校サッカー選手権大会で決勝に進出。決勝戦を含め、大会で5ゴールを記録して得点王に輝き、瞬く間に全国区に名を知らしめた。しかし、PK戦となった決勝の鵬翔高校戦。1人目のキッカーを担った仙頭が失敗し、3-5で敗れて涙を飲んでいる。

 あれから月日が経ち、仙頭は東洋大で4年目のシーズンを迎えた。しかし、「PKに対してのトラウマはある」といまだに苦手意識は消えていない。「大学に入っても結構外しているし、本当はあまり蹴りたくないけど、蹴らせてもらえているのは、古川(毅)監督が信頼してくれているからだと思う。これからも蹴ることで自信をつけていくしかない」。これまでも前向きに取り組んできたものの、第9節の青山学院大学戦でもPKを失敗。そのせいか、仙頭がペナルティーマークにボールを置くと、会場には妙な緊張感が漂った。

 京都橘高時代、ともに国立競技場のピッチに立っている2年生DF倉本光太郎は、その時の心境について、「後ろから見ていて、啓矢君は外しそうな雰囲気だったので(笑)、『ホンマに頼むで』と思っていた」と明かす。仙頭自身も「緊張した」と吐露したが、「逆にこれを外したら、もう本当にPKはダメなんだなと開き直って、とにかく無心で思いきり蹴った」。力強く放ったキックはゴールネットを揺らし、「気持ちで入れることができて良かった」と安堵の表情を見せた。

 幼い頃からの夢であるプロ入りに向けて勝負を懸ける今季、仙頭は「中学生以来」の背番号10を背負っている。「本当は7番が好き。ラッキーセブンだし、高校の時にも7番で活躍できたので」と、昨季までつけていた“背番号7”への愛着もあるが、現在は“背番号10”の重みをしっかりと受け止め、特別な想いを抱いてプレーしている。

「やっぱり10番はチームの中で特別なもの。責任感も問われるし、結果で応えていきたい」

 ここまで6得点を記録し、得点ランキング2位につけている。だが、個人の結果にこだわるからには、PKへの苦手意識も克服し、さらに結果を積み重ねていく必要がある。「ゴールに直結するプレーができる選手にならないといけないし、まだまだ足りない」。チームの1部昇格、そして自身のプロ入りという2つの大きな目標を掲げるエースは、さらなる活躍でチームを勝利に導くことを誓った。

文=平柳麻衣

By 平柳麻衣

静岡を拠点に活動するフリーライター。清水エスパルスを中心に、高校・大学サッカーまで幅広く取材。

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