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前橋育英の心臓部を支える尾ノ上幸生と大塚諒、各々の武器を活かし選手権初Vへ導く

2016.01.04

前橋育英のボランチを組む尾ノ上幸生と大塚諒[写真]=兼村竜介(左)、小林浩一(右)

 1年前の第93回全国高校サッカー選手権大会で準優勝した直後、新チームがスタートしたばかりという状況で迎えた県新人戦で前橋育英高校山田耕介監督はダブルボランチのゲームメイクについて指摘していた。攻撃が同サイドに偏り、空いた逆サイドを使うことができない。強風の中で行われた試合ではあったがサイドチェンジの精度も低く、「ボランチの連中、視野が狭いんですかね。一人、賢いヤツがいれば」と口にしていた。

 その試合でボランチを組んでいたのはMF尾ノ上幸生主将と2年生MF大塚諒。この2人は第69回国民体育大会で群馬県選抜を準優勝へ導いたボランチコンビだったが、当初はチームに影響力を与えることができなかった。先輩のダブルボランチはU-19日本代表の鈴木徳真(現筑波大学)と吉永大志(現日本大学)でともに選手権優秀選手に選出された実力派。その後継者候補だった2人は時間をかけて各々の武器で信頼を勝ちとり現在、1年前同様に2人で前橋育英の心臓部を支えている。

 大塚は走ることによってチームにいい流れをもたらすことができる存在だ。ピッチの至る所に現れ、この日もカウンターを受けそうなシーンでは165センチの小さな身体を相手の前に潜りこませてボールを奪還。山田監督も認める鋭い読みと動きの量で攻撃につなげ、50分の決勝点のシーンでは鋭いパスを通して起点になった。

 そして指揮官が「いいボールを蹴る」と評する尾ノ上はセットプレーのキッカーとしてこの日もFW馬場拓哉が決めた3点目をアシスト。「インターハイ(全国高等学校総合体育大会)の決勝で自分のキックがうまくいかず、それで負けてしまったのでよく練習して蹴れるようになりました」という右足の高精度キックが選手権予選決勝の先制点など多くの得点をもたらし、「うまくないんでそういうところでできなきゃダメ」と泥臭く身体を張るプレーがチームを引き締めている。

「最強のチャレンジャーになる」という合言葉の下、昨年の成績に一歩ずつ近づいている前橋育英。その心臓部を担う2人が今後も献身的に、泥臭くボールを追って白星を引き寄せる。

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