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関わる人全てへ「感謝」と「恩返し」を胸に…前橋育英主将の鈴木徳真、決戦へ

2015.01.11

流経大柏戦で同点弾を決めた直後、ベンチへと走る鈴木徳真(中央奥、背番号14) [写真]=瀬藤尚美

 第93回全国高校サッカー選手権大会の決勝戦が12日に迫った。今大会の決勝は群馬県代表の前橋育英高校と石川県代表の星稜高校によって行われる。優勝すればともに大会初制覇だ。

 前橋育英は名将・山田耕介監督に率いられ、数多くの日本代表選手を輩出してきた名門校だが、選手権では計4度の準決勝進出を果たしながら、全て4強の壁を越えられなかった。しかし今大会では準決勝で流通経済大柏(千葉県代表)と対戦し、試合終了間際の劇的な同点弾からPK戦を制して、同校初となる決勝戦へと駒を進めた。

 その試合で貴重な同点弾を決めたのは世代別の日本代表としてもプレーする主将のMF鈴木徳真。中盤の底からゲームをコントロールする鈴木は準決勝後、仲間たちへの感謝や「恩返し」という言葉を何回も発した。

 鈴木はチームの良さを聞かれると、「チームワークが一番」と即答。「応援席もそうですし、仲間が一体感をもってできることがいいところ。決して個で打開できるチームではなくて、パスワークやハードワークすることで点が取れていることが多い」と答える。得点した場面でも「出られなかった仲間たちがいたんで、体が自然と動いちゃって。飛び込みたくなりました」と同僚の元へと駆け寄った理由を話している。

 チームメートのつながりの強さを強調する鈴木は、先輩たちが越えられなかった4強の壁を越えたことについても「その代には代の良さがあって、僕らには僕らの良さがあるので比べられないです」と回答。PK戦ではチームとして失敗がないことを聞かれた際も、「仲間が横にいてくれたことで安心して蹴られる」と同僚への強い信頼を口にする。

 PK戦での勝利後に大きな喜びを見せなかったことにも「嬉しくないとかではなく、素晴らしい対戦ができた、あんな形で試合を終えたのは今までなかったので、嬉しかったんですけど、ありがとうという気持ちが強くて」と流通経済大柏の選手たちへの感謝の言葉を発した鈴木。

 大会前に『ワールドサッカーキング2015年1月号付録 サッカーキング・フリー フォー・プレーヤーズ』内で行ったインタビューでも「今まで自分たちに関わってきてくれた人たちに恩返しをと思っています。仲間たちも強い思いがあって、ピッチの外から応援してくれる。試合に出られない選手の分も、僕らがピッチの上で躍動したいです」と語っていたが、準決勝後も「誰にとかはなく、前橋育英の関係者全員と仲間と自分たちを応援してくれている方々に恩返しがしたいです。一番は監督ですけど、その恩返しを『できたら』ではなく、『したい』です」と変わらぬ想いを明かしている。

 高校卒業後は筑波大学へ進学する鈴木。「自分が選んだ進路を正しいと思えるように日々努力していきたい」と話すと、前橋育英の現メンバーで臨む試合は決勝戦が最後となるが、「(前橋育英に来て)良かったと思えるように頑張ります。まだ終わっていないので」と力強く語っている。

「試合を決めるのは最後は気持ち」と鈴木徳真は、仲間や支えてくれた人、対戦相手への感謝の気持ちを強く持ち、3年間の集大成を見せるため、決勝戦に臨む。

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