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あえて戦術後回しの名門ミラン、ジュニア世代の魅力はむき出しの“個”

左がセレッソ大阪U-12の小学6年生、右はミランの5年生(に相当する年齢)[写真]=川端暁彦

 第2回大会となったジュニアサッカーワールドチャレンジに海外招待チームとして欧州から招かれたのはFCバルセロナと、欧州を代表する名門クラブ、ACミラン。初日から自然と注目を集める存在だった。

 初日の彼らについて言えば、正直に言って拍子抜けだった。チームとしての狙いはバラバラで戦術的な統一感もなければ、精神的な一体感も感じられない。身体的に図抜けた選手たちが数人いて、彼らの“個”に依存するだけの凡庸な内容に終始。東京ヴェルディジュニアを相手に主導権を奪われる形で1-4の惨敗を喫した。

 理由はもちろん長旅の疲れなどもあったのだろうが、まず明示しておかなければいけないのは彼らが一つ年下、つまりU-11のチームであるということだ。U-12のAチームは別大会に出場中で、今回のチームは基本的にU-11の選手たちが軸。それにU-12でベンチ入りできない選手たちなどを加えての編成だ。先発メンバーは1名を除いてU-11の選手たちで固められている。

 加えて、そのU-11の選手たちは「7人制」でプレーしてきた選手たち。11人制に移行する段階にあり、ルカ・モリン監督は「まだ11人制の練習をして1週間しか経っていない」と明かしてくれた。「戦術大国」として知られるイタリアの名門クラブだが、U-10まではあくまで個に特化したコンセプト。「11人制になってから組織としての動き、戦術的なものを教えていく」(モリン監督)のだという。

 2日目は、1日目の反省を踏まえて11人制の戦術的なコツを伝授したそうで、1日目よりも遥かに良い内容の試合を見せるようになっていた。夏の全日本少年サッカー大会を制したセレッソ大阪を2-1で破ると、アランチャジョカーレ香我美には8-0で圧勝。2勝1敗の戦績で決勝トーナメント進出も決めてみせた。

 むき出しの“個”は、それはそれで魅力的だ。黒人選手ならではの身体能力の高さを持つ前線のデュオ、オリバー・ママディ・コウロウマとアマヌエル・アサベサニの二人は、日本で言えば「小学5年生」に当たる年齢だが、6年生たちを遥かに上回るフィジカル面の強健さで図抜けた存在感を見せている。彼らが戦術的に洗練されてくるのだとしたら、それは確かに特別な選手になっていくのかもしれない。戦術的な部分をあえて後回しにする指導方針の狙いもまた、そこにあるのだろう。

 戦術大国のあえて戦術を教わっていない選手たち。赤と黒の伝統のユニフォームをまとった選手たちを観たときに、戦術的なモノを観たい人は拍子抜けしてしまうかもしれない。しかし、“育成”という意味で広く考えれば、ちょっと興味深いチームには違いない。

文=川端暁彦

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