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筑波大VS桐蔭横浜大、ルーキーが大活躍の『1年生FW劇場』

2014.05.06

【写真】=安藤隆人

 本連載の著者である安藤隆人氏は、元銀行員という異色の経歴を持つサッカージャーナリスト。今では、高校サッカーを中心に日本列島、世界各国を放浪し精力的な取材を行っている。巷ではユース教授と呼ばれる。本連載では安藤氏の“アンダー世代”のコラムをお届けする。

文=安藤隆人

 2日、関東大学サッカーリーグ1部・前期の第6節、筑波大VS桐蔭横浜大の一戦は、昨年までユースの現場で取材していた選手たちが、激しくぶつかり合い、存在感を大きく発揮するという、非常に興味深い試合となった。

 この試合、両チーム合わせて7人もの1年生が出場。両チーム共にツートップが1年生で、大きく躍動した。先に見せたのが、筑波大の北川柊斗(元名古屋U18)と中野誠也(元磐田ユース)のツートップだった。12分、MF中野嘉大、吉田直矢と繋いだボールを、右サイドの裏に飛び出した中野誠が豪快に左隅へシュートを突き刺し、先制に成功する。だが、そこから今度は桐蔭横浜大の石川大地(元水戸啓明)、鈴木国友(元相洋)のツートップが躍動し始める。

 15分、鈴木が石川とのワンツーでチャンスを作ると、18分にはMF山﨑将の右からのクロスを、中央で石川が鮮やかなボレーで合わせ、すかさず同点に追いつく。

 これで勢いづくと、24分にはスルーパスに抜け出した石川が、飛び出してきたGKを交わし、中央へセンタリング。これをMF山根視来がヘッドで押し込んで、逆転に成功。さらに28分には中央で鈴木が粘ってボールキープし、山﨑のゴールをアシストし3点目が入る。前半はまさに『1年生FW劇場』だった。

 桐蔭横浜大が3-1とリードして迎えた後半、攻めるしかない筑波大は、一気に攻勢に転ずると、試合は筑波大のワンサイドゲームと化していった。

 北川が2列目に下がり、ドリブルとパスでリズムを作る。前半途中に1年生のDF浅岡大貴(元JFAアカデミー)に代わって投入された1年生のDF野口航(元大津)が、左サイドバックの位置から積極的なオーバーラップを見せ、攻撃に厚みを持たせる。さらに川崎入団が内定しているCB車屋紳太郎もアタッキングサードに頻繁に顔を出し、桐蔭横浜大を圧倒する。

 しかし、ここで筑波大の前に大きく立ちはだかったのが、桐蔭横浜大の1年生守護神・田中雄大(元青森山田)だった。抜群のポジショニングとセービング、的確なコーチングで守備を締めると、81分に右クロスを味方DFと交錯しながらも、身体を伸ばしてがっちりキャッチ。86分には野口のシュートをファインセーブで掻き出し、それで与えた右CKも冷静にパンチングでクリア。最後までゴールラインを割らせることなく、チームに今季初勝利をもたらした。

 躍動した両チームのルーキーたち。田中、北川はU-18日本代表に、野口はU-17日本代表に選出された経験があり、中野誠は3年前の山口国体の得点王、石川は昨年度の選手権で水戸啓明を選手権ベスト16に導き、優秀選手にも選ばれた。浅岡も高円宮杯プレミアリーグで活躍し、鈴木は神奈川では知る人ぞ知る存在だった。高校、ユースなどで磨かれたタレントが、今度は大学サッカーを盛り上げる。彼らがこの4年間でどう磨かれていくのか非常に楽しみだ。

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