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選手権準優勝の星稜が5試合で26得点と猛威を振るう、急激に増す選手層

2014.05.01

【写真】=安藤隆人

 本連載の著者である安藤隆人氏は、元銀行員という異色の経歴を持つサッカージャーナリスト。今では、高校サッカーを中心に日本列島、世界各国を放浪し精力的な取材を行っている。巷ではユース教授と呼ばれる。本連載では安藤氏の“アンダー世代”のコラムをお届けする。

文=安藤隆人

 今、北信越で猛威を振るっているチームがある。昨年度の選手権準優勝の星稜だ。

 昨年のメンバーのうち、DF原田亘、MF鈴木大誠、平田健人、前川優太、FW森山泰希という主軸と、主軸ではなかったがFW長谷川朔太郎、太田賢生ら選手権を経験した選手が多く残り、今年のチームも力があるとして評判が高かった。

 戦力的には高円宮杯プレミアリーグでも十分に通用する今年のチーム。しかし、昨年はプリンスリーグ北信越を制するも、プレミアリーグ参入決定戦で京都橘に1-5で敗れ、昇格が叶わなかったことで、今年もプリンス北信越で戦うことに。

 開幕から力の差を容赦なく見せつけた。開幕戦(新潟工戦)を5-1で快勝すると、富山第一セカンドに7-0、第三節の丸岡戦では、森山と太田、MF藤島樹騎也の3人がハットトリックを達成し、9-1の圧勝。第4節は創造学園を相手に4-0、第5節には同じ石川県の遊学館を相手に、1-1のドロー。連勝は4でストップしたが、ここまで4勝1分けの無敗で、26得点3失点と、圧倒的な力を見せつけている。

 私も取材した第4節の創造学園戦で、総合力が明らかに高まっていることを感じた。この試合では、ダブルボランチが杉原啓太と前川で、前川がトップ下の位置まで上がって、積極的にゲームを作り、アシストを記録するなどの活躍を見せた。

 だが、試合後河崎護監督に話を聞くと、「前川はもっと前に仕掛けてほしい。普段はレギュラーではないんだよ」という答えが返ってきた。

 さらにこの日、ベンチスタートだった平田に関しても、「杉原が良くてね。彼はもっとよくなるよ。アンカーも出来るし、左利きでクサビの入れ方もうまい。利いているよね。もちろん平田も強さとユーティリティー差を兼ね揃えているけど、もっと頑張ってくれないと」

 前川は昨年度の選手権で正確なボールコントロールとパスでゲームを作る活躍を見せた。平田も選手権準決勝で京都橘のエース小屋松知哉(名古屋)を封じ込んだ。当然、この2人は今年の主軸となるはずだった。しかし、星稜の層の厚さがそうはさせなかった。確かに創造学園戦の杉原は非常に効果的な働きを見せていたし、前川の位置には、この試合ではU-16日本代表のヨーロッパ遠征のため不在だったMF阿部雅志がいる。

 FWの争いも激しい。森山の相棒を長谷川と大田で争っている。長谷川が怪我で離脱している今、大田が猛アピールを見せている。さらに期待の1年生レフティー・MF窪田翔ら、頼もしい新戦力も台頭してきており、チーム内競争は激化の一途をたどっている。

「今年は絶対に優勝したい。インターハイ、選手権、プレミア昇格を狙っている」(キャプテン・鈴木)

 星稜は本気だ。夏以降に始まる全国の舞台に向けて、チーム内で刺激し合いながら、着々と力を蓄えている。

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