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“柏ダービー”で流れた敗北の涙、レイソルU-18の気付き「練習から変えていく」(中山)

2014.04.28

二重三重の人垣が見守る中での熱戦となった。写真はレイソルMF中山雄太(右)と、流経MF伴恭輔【写真】=川端暁彦

文=川端暁彦

“柏ダービー”が実現するということで、柏レイソルの本拠地・日立台へと足を運んだ。

 高円宮杯U-18プレミアリーグ。今年からこの大会への参入を果たしている柏レイソルU-18が迎える相手は、前年度王者・流通経済大学付属柏高校。同じ“柏”の名を冠し、互いに意識しないと言えばウソになるチーム同士である。この試合、観客用のスタンドなど存在しない人工芝グラウンドには、見たこともないような人垣ができるほど。注目度の高さが一目で分かる、そんな光景だった。

  ただ、その空気感に対して試合前から不安感を覚えていた男もいた。レイソルの指揮官、下平隆宏監督である。「試合前、ホワイトボードを出して指示をしていても、どうもそのボードを見ていない選手がいる。そっち(集まった観衆)を見ている。気が散っているんです」。前節も多くの観衆を集めたゲームだったが、その開催場所は日立柏サッカー場。「ロッカールームでグッと締めて、ガッと出ていく」(下平監督)感覚とは異なる、グラウンドで行う青空ミーティングならではの光景が「フワフワした雰囲気」(同監督)を生み出してしまっていた。

  ゲームが始まると、レイソルの選手たちは始まった流経応援団の声援にも威圧される。主将のMF中山雄太が「チーム全体として応援に飲み込まれないようにしようと内面で思ってはいても、プレーにそれが出ていなかった」と肩を落としたような立ち上がり。「行けるだけ行ってみろ」と真っ向勝負を指示された流経の選手たちが猛然とプレスをかけると、レイソル側でミスが頻発し、いつものポゼッションプレーは影を潜めた。先制点も、まさにその形。ボールロストから右サイドをワンツーパスで崩され、最後はクロスに対するDFのハンドでPK。18分、これをDF小川諒也に決められて悪い流れのままに先行を許してしまった。

  それでも、前半終了間際から相手の圧力が弱まったこともあり、徐々にレイソルが主導権を挽回。さらにハーフタイムには「プレー云々じゃない。気持ちの面で負けているぞ!」と選手たちが発破を掛け合い、ようやく立て直した。MF手塚康平を中心とする持ち前のパスワークも戻ってきた後半は相手を圧倒。だが、結果としては「前半でそれができなかった」(中山)ことが最後まで響いた。堅く閉ざされた相手のゴール前をこじ開けることはできず、そのままのスコアでタイムアップの笛を聴くこととなった。

「主導権は握れていた」と下平監督が言うように、絶望するような内容ではない。それだけに、選手にとってはより悔しい展開、そして結末だったとも言えるだろう。中山は「相手の激しい対応に押されてしまっていた。流経の熱いプレー、見習わないといけない。僕らは練習からそういうプレーができていなかったから(対応できなかった)。練習から変えていく」と決意を語った。試合後、レイソルの選手の中には、悔しさの余りに泣き崩れる選手もいた。彼らにとって大きな気付きのある、意味のあるゲームとなる。そんな予感も残した “柏ダービー”だった。

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