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大垣大会で準優勝した筑陽学園、今年こそ福岡の壁を破れるか

2014.03.28

 本連載の著者である安藤隆人氏は、元銀行員という異色の経歴を持つサッカージャーナリスト。今では、高校サッカーを中心に日本列島、世界各国を放浪し精力的な取材を行っている。巷ではユース教授と呼ばれる。本連載では安藤氏の“アンダー世代”のコラムをお届けする。

文=安藤隆人

 日本高校選抜の優勝で幕を閉じた第22回全国高校サッカー選抜大垣大会。決勝で日本高校選抜の前に0-6の大敗を喫したものの、筑陽学園が見せたサッカーは非常に面白かった。

 筑陽学園と言えば、かつて選手権準優勝を果たしている福岡の名門で、主なOBは久保竜彦(元日本代表)、牟田雄祐(名古屋)、金森健志(福岡)などがいる。

 筑陽学園の特徴は何と言っても抜群の精度を誇るカウンター。屈強なCBを配置し、堅い守備と正確なロングフィードから、スピードとテクニックに優れたアタッカーが、素早くゴールまでの最短距離を結ぶサッカーは、観ていて非常に爽快だ。

 守備的なチームと見られがちだが、実際は違う。守っていても常に全員に攻撃の意識があり、いかに効率よくボールを運ぶかを考えている。ボールを奪った瞬間にアタッカーが絶妙なポジショニングを取り、正確なロングパスが届く。非常に精度の高いアタッキングサッカーだ。

 5年前のチームには牟田がおり、4年前のチームには、現在福岡大に所属しながら特別指定先の名古屋で、開幕からスタメン定着を果たしているDF大武峻がいた。さらに一昨年のチームはDF中島大貴(福岡大)と金森が攻守の要となり、昨年のチームはU-17日本代表のFW瓜生昂勢(福岡大)が軸となるなど、タレントを輩出。今年のチームは左のアタッカー・田邊泰周と、筑陽の伝統的なエースナンバー7番を背負うFW羽根幸四郎を中心に、破壊力抜群のサッカーを展開する。今大会ではグループリーグを1位通過すると、準決勝ではプレミアウェストに参戦する東山を3-1で一蹴。決勝では相手の層の厚さに屈したが、時折見せるカウンターの精度は高かった。

「ウチはうまい選手がいるわけではない。みんなでゴールに突き進むサッカーをする。サッカーの面白さはゴール。そこを目指さないと意味がない」

 青柳良久監督の言葉通り、筑陽学園のサッカーは『愚直なまでにゴールを目指すサッカー』。これをぶれることなく続け、今年も変わらぬ姿を見せている。だが、そんな彼らでもなかなか福岡の分厚い壁は破れない。

「県内で楽な試合は1つもない。でも、絶対はない。全国に対する意欲は満ち溢れている」(青柳監督)

 東福岡、東海大五、九州国際大学附属という並み居る強豪の壁を打ち破り、全国に自分たちのサッカーを披露せんと、並々ならぬモチベーションで新たなスタートを切った筑陽学園に注目だ。

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