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東京Vユースから青森山田へ移った小坂悠登、一年間のブランクで得たもの

2014.03.24

 本連載の著者である安藤隆人氏は、元銀行員という異色の経歴を持つサッカージャーナリスト。今では、高校サッカーを中心に日本列島、世界各国を放浪し精力的な取材を行っている。巷ではユース教授と呼ばれる。本連載では安藤氏の“アンダー世代”のコラムをお届けする。

文=安藤隆人

 横浜FMユースの優勝で幕を閉じたサニックス杯。注目選手コラム第二弾は、青森山田の小坂悠登をピックアップしよう。

 小坂は東京Vユースでプレーをしていたが、昨年夏に青森山田高校に転校し、新たなるスタートを切った。高体連のルールで、転校してきた選手は一定期間、公式戦で起用できないことから、高円宮杯プレミアリーグ、選手権予選、選手権本大会、新人戦には出場できず、黙々と練習に打ち込む日々を過ごした。そして、このサニックス杯でついに青森山田でのデビューを飾ったのだった。

 小坂は高校1年生の時、東京VユースU-16チームとして、スウェーデンの有名なユース大会である『Gothia Cup』に参加していた。私もチームに帯同し、2週間スウェーデンで共に過ごしていた。このときのメンバーとは、ほぼチームスタッフに近い状態で、常に行動を共にし、コミュニケーションを深めたとあって、今でも当時の思い出を語り合う仲になった。

 私が3月上旬に青森山田高校へ取材に行った際、「安藤さん、久しぶりです!」とわざわざ監督室にまで挨拶に来てくれた。正直、彼が青森山田に来たのを知らなかったため、驚いたが、東京都は全く違う極寒の雪国で楽しそうにプレーする彼の姿と、変わらぬ笑顔を見てホッとした。また、この環境でどれだけ伸びるのかを楽しみに感じた。

 そして、今大会の初戦・四日市中央工戦で、3バックの中央でスタメン出場を果たした小坂は、落ち着いたラインコントロールと高い対人能力を駆使し、名門校の最終ラインを束ね、3-0の完封勝利に導いた。2日目も安定したプレーを見せ、 3戦全勝でグループ1位突破に貢献。精神的にもフィジカル的にも逞しさを増し、非常に伸び伸びとプレーしていた。

「やっぱり試合は楽しいですね。この仲間と一緒にもっといい試合が出来るように頑張っていきたい」

そこにはサッカーの楽しさを噛みしめる一人の高校生がいた。半年以上の実戦ブランクはあれど、その分メンタルは鍛えられた。青森山田の一員として正真正銘のスタートを、九州の地で切った小坂は、来月から古巣・東京Vユースも参戦する高円宮杯プレミアリーグに挑み、リスタートの1年が幕を開ける。

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