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苦闘の2年目を送るフランクフルト乾貴士、雌伏の時を越えて――

2014.02.19

今シーズンはリーグ戦で12試合に出場している乾貴士 [写真]=Bongarts/Getty Images

本連載の著者である安藤隆人氏は、元銀行員という異色の経歴を持つサッカージャーナリスト。今では、高校サッカーを中心に日本列島、世界各国を放浪し精力的な取材を行っている。巷ではユース教授と呼ばれる。本連載では安藤氏の“アンダー世代”のコラムをお届けする。

文=安藤隆人

 フランクフルトで孤軍奮闘する乾貴士フランクフルト2年目のシーズンは、彼にとって非常に厳しいものになっている。

 思うように勝ち星を重ねられず、現在12位に沈むフランクフルトは、これまでの4-2-3-1の攻撃的な布陣から、4-4-2を試すなど、試行錯誤を重ねるが、思うように結果が出ない悪循環に飲み込まれている。その流れに巻き込まれるように、乾は出番を失い、ベンチから戦況を見つめることが多くなった。

「正直、最初はしんどかった。でも今は現状を受け入れながら、毎日毎日を大切にしながら、いつかはまたチャンスがもらえるという気持ちでやっている」

 苦悩の表情を浮かべながらそう語る彼は、今サッカー人生において重要な時期に差し掛かっている。

 乾と言えば、滋賀県立野洲高校出身。高2の時は『セクシーフットボール旋風』を巻き起こし、第84回選手権を制した。このとき、高い技術とパスセンスを持った彼は『セクシーフットボールの申し子』と呼ばれ、一躍脚光を浴びた。だが、卒業後、鳴り物入りで横浜F・マリノスに加入するも、思うように出番を得られない苦悩の日々を過ごし、当時J2のセレッソ大阪に移籍。ここで再び華を開かせたことで、彼は一気に今の地位まで駆け上がった。

 成長する選手は必ずそれ相応の苦悩が与えられる。今の乾はまさにその時だ。これまでもそういう時期があり、乗り越えてきたからこそ今がある。

「これまでもね、そういうことはあったから。ここを越えられれば、必ず先が見えてくると思う」

『逆境こそチャンス』。

 乾貴士はもう一度この言葉を噛みしめながら、リスタートを切ろうとしている。

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