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ショートパスをつなぐ青森山田とカウンターを狙う米子北 両校の守護神が魅せる

2014.01.02

第92回全国高校サッカー選手権大会 2回戦 米子北-青森山田
篠幸彦(フリーライター) 取材・文

14年1月2日(木)/14:10キックオフ/神奈川県・等々力陸上競技場/観客3700人/試合時間80分

青森山田 1 ( 0-0、1-1、PK5-4 ) 1  米子北

得点者
(青森山田)
李(後半33分)
(米子北)
森本(後半11分)

開始から青森山田が7山田武典、10石井光を中心にパスサッカーを展開し、主導権を握る。しかし、前半はお互い決定機を外すなど、0-0で折り返す。後半11分、米子北がセットプレーから先制。敗戦も見え始めてきた後半33分、青森山田は10石井の突破から9李相赫が同点弾。PK戦に入り、1田中が雄大1本を止めて青森山田が3回戦に進出した。

 序盤からショートパスをつないでゲームを作る青森山田に対し、粘りの守備でカウンターを狙う米子北という構図がはっきりとした入り方となった。

ゲームが落ち着かない前半5分、最初に決定機を迎えたのは米子北。右サイドをスルーパスで抜け出した4神田拓朗がサイドを深くえぐり、マイナス気味にクロス。そこへフリーで走り込んだ10定本佳樹がグラウンダーで流し込むも、U-18日本代表候補の青森山田1田中雄大が、逆を突かれながらも冷静にキャッチするビッグセーブでピンチを逃れた。

前半10分が回ったころから青森山田が落ち着いてボールを回し始め、ゲームを支配する。そして前半14分、お返しとばかりに15辛島昌幸が左サイド深くで粘ってクロスを入れる。ペナルティーエリア中央で待ち構えた14山下優人がボレーで合わすも、今度は米子北GK1北島拓海が弾いてCKへ逃れ、両校の守護神がセービングでチームを引き締める。

さらに前半19分、青森山田はショートコーナーから3八戸雄太がクロスをあげるとファーに走り込んだ4川口大翔がゴール前フリーでシュートするも枠を外し、前半でいちばんの決定機をものにすることができなかった。

その後も青森山田が7山田武典、10石井光を中心にパスを回して試合の主導権を握り続けたが、米子北の堅い守備陣に思うようにシュートチャンスが作れない。米子北は前半30分に守備の要であるCB5竹内修を負傷で交代するアクシデントに見舞われる。11小川暖にボールを集め、カウンターの起点を作るが青森山田の戻りの早い守備陣形を攻略し切れず、0-0で前半を折り返した。

後半も青森山田ペースで試合は進む。ただ、サイド深くまで進入できるが、中央の堅い米子北はシュートを許さなかった。そうして粘ること後半11分、カウンターから米子北4神田がバイタルエリアへカットインしてファーへシュートを放つと、青森山田1田中が2度目のビッグセーブでタッチライン外へはじく。しかし、このCKを米子北のキャプテン3森本大貴がニアで合わすと青森山田のDFに当たりながらゴールイン。「練習どおり。完璧でした」(米子北・城市監督)というセットプレーから、再三押し込まれていた米子北が先制する。

後半20分、まず同点に追いつきたい青森山田はCKの流れからペナルティーエリア内で混戦の中、泥臭くゴールへ押し込むがハンドの判定。同点弾とはならなかった。

青森山田はなおも猛攻を仕掛けるが、米子北の敷いたブロックディフェンスの中へなかなか侵入させてもらえない。しかし、後半33分、青森山田10石井がドリブルでペナルティー内へ突破し、マイナスのクロス。9李相赫が右足で合わせると1北島の脇の下を通り、ゴールへ吸い込まれた。ついに青森山田が同点に追いつく。「CBとSBの間が空き始めてきたのでやられるかなと思っていた」(米子北・城市監督)という守備のほころびを青森山田は逃さなかった。

この流れで一気に逆転したい青森山田の勢いはさらに増していき、36分、40分と決定機を作るが枠を捉えられず、勝負はPK戦に委ねられた。

両校がともに3本ずつ決め、米子北はエースの11小川がキッカーとして立った。「絶対にエースを止めるんだという強い気持ちを持ってピッチに立ちました」(青森山田・1田中)というように両手を大きく広げ、1田中がプレッシャーをかける。間をおいて助走に入り、11小川が蹴ったボールは弱く左への甘いコースに転がった。それを1田中が全身でがっちりとキャッチ。青森山田スタンドが大声援で沸いた。この1本が勝負を分け、5-4で青森山田が3回戦へ進出を決めた。

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