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東福岡が盤石の戦いで2回戦突破 1997年度の3冠世代との違いとは?

2014.01.02

[写真]=川端尭彦

 1月2日、全国高校サッカー選手権2回戦。浦和駒場スタジアムの第2試合は「西の横綱」東福岡が、同じ九州の佐賀東を3-0のスコアで押し切るゲームとなった。

「3年生があそこまで頑張ってくれるとは。本当に感動しました」。そんな言葉で試合を端的に形容したのは佐賀東・蒲原晶昭監督。熱く激しくぶつかり合い、何とかして止めてやろうという気迫に充ち満ちたゲームだった。最終的には3点差となったが、東福岡が自由を謳歌したような試合では決してない。ただ、それでも届かなかった。冒頭の言葉も、それだけ東福岡との間に力の差を感じていたからこそ出てきた実感だ。「いや、やっぱり東福岡さんは強かったですよ」。蒲原監督は選手たちがベストを尽くしてくれたという思いがあるからこそ、なおさら相手の強さも痛感していた。

 かつて東福岡は1997年度に高校年代のタイトルを総なめにするなど、圧倒的な強さを誇った。当時監督だった志波芳則総監督は「あの(3冠を取った)チームよりも基本的に、個人個人は“うまい”と思いますよ」と言う。「当時は“何かができない”という選手ばかりだった。右足しか蹴れないとか、左足しか蹴れないとか、スピードだけとかね。それを組み合わせるという感じだった」。つまり、現在のチームは総合力のある選手がそろったということなのだが、組み合わせるのは難しくなった面もある。「何かができない選手ばかりだから『すぐにサポートしてやろう!』とか、そういう意識は自然と強くなった」のに対し、意図的に何かを植え付けなければいけない難しさもある。「(現監督の)森重はそういうことをずっとやってくれていた」という成果を問う大会だ。

 現3年生は、地元開催の高校総体も見据えて力のある選手を集めた学年だ。この日もゴールを決めたFW木戸皓貴に注目が集まるが、ベンチメンバーを含めて選手個々の質は間違いなく高い。あとは「コミュニケーションを取り切れば」(志波総監督)、長く遠ざかっているあの国立のピッチ、そしてその先に待つ優勝旗も見えてくるだろう。

文=川端暁彦

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