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欧州4大リーグで最も内弁慶なチームは? ホームとアウェイの平均勝ち点を比較してみた

2020.02.27

“内弁慶”なクラブたち [写真]=Getty Images

 サッカー界には一つの通説が存在する。「ホームチームの方がアウェイチームよりも有利」だという通説だ。

 ホームで圧倒的な強さを見せるチームが、敵地に赴くと途端に弱くなる。あるいは本来の実力を発揮できない。Jリーグではあまり見られない光景だが、欧州サッカーでは珍しい話ではない。

 2016-17シーズンのプレミアリーグでも、ホームチームの勝率は49.2パーセントを記録したのに対して、アウェイチームの勝率は28.7%に過ぎなかった。そんな研究結果もある。シーズンによって数値に多少の変動はあるものの、アウェイチームの勝率がホームチームの勝率を上回るということはほぼありえない。

 熱戦が繰り広げられているチャンピオンズリーグ(CL)においても、「ホーム有利」は明らかだ。今シーズンの決勝トーナメント1回戦ファーストレグの結果は、ホームチームの4勝1分け3敗。勝率50パーセントを達成している。近年は見直しの動きがあるとはいえ、“アウェイゴールルール”が存在するのも、敵地で戦うチームにはハンデがあるという前提があるからだろう。

 では、ホームとアウェイの成績が好対照なチームはどこなのか。今シーズンの欧州4大リーグ(プレミアリーグ、リーガ・エスパニョーラ、ブンデスリーガ、セリエA)の全78チームを対象に、ホームとアウェイの1試合平均勝ち点を比較。その差が最も大きなチームトップ20を導き出した。

 まずは、結果からご覧いただこう。以下、括弧内の数字は「ホーム平均勝ち点/アウェイ平均勝ち点/平均勝ち点の差」である。以下の順位は、「平均勝ち点の差」に基づいてつけられている。

欧州4大リーグ ホーム&アウェイ勝ち点差ランキング

1位 マジョルカ(1.54/0.17/1.37)
2位 バルセロナ(2.85/1.50/1.35)
3位 グラナダ(2.08/0.85/1.24)
4位 レバンテ(1.92/0.69/1.22)
5位 バレンシア(2.08/0.92/1.16)
6位 フランクフルト(1.75/0.64/1.11)
7位 アラベス(1.69/0.67/1.03)
8位 トッテナム(2.00/1.00/1.00)
9位 エヴァートン(1.85/0.86/0.99)
10位 アスレティック・ビルバオ(1.75/0.77/0.98)
11位 ドルトムント(2.45/1.50/0.95)
12位 アトレティコ・マドリード(2.15/1.25/0.90)
13位 アウクスブルク(1.64/0.75/0.89)
14位 ベティス(1.62/0.75/0.87)
15位 エイバル(1.45/0.62/0.84)
16位 ユヴェントス(2.83/2.00/0.83)
17位 ボルシアMG(2.36/1.55/0.82)
18位 ウディネーゼ(1.50/0.69/0.81)
19位 ニューカッスル(1.54/0.79/0.75)
20位 アストン・ヴィラ(1.31/0.57/0.74)

 上記のとおり、1位に輝いたのは久保建英が所属するマジョルカだった。ホームとアウェイの平均勝ち点の差は「1.37」。今季はアウェイで勝利がなく、12試合でわずか2ポイント(0勝2分け10敗)しか稼いでいない。アウェイの平均勝ち点(0.17)は、レガネス(0.67)を下回る欧州4大リーグワースト記録になる。

 2位にランクインしたのはバルセロナだ。リーガ・エスパニョーラで首位を奪還した彼らだが、ホームとアウェイの成績は実に対照的。12勝1分けと無敗をキープするホームの平均勝ち点は「2.85」。ここまでホーム全勝のリヴァプール(平均3.00)に次ぐ成績を残しているが、アウェイの平均勝ち点は「1.50」と、欧州4大リーグでは20番目の成績になる。敵地でのゲームを苦手としていることは度々報じられているが、数字で見てみると改めて“内弁慶チーム”であることが分かるだろう。3月1日には敵地サンティアゴ・ベルナベウで、レアル・マドリードとの“エル・クラシコ”を控えているが、勝利をつかむことができるのか注目される。

 続く3位から5位までも、スペインのチームが並ぶ。5位のバレンシアは今季ここまでホームで無敗(7勝6分け)。公式戦でも、今季本拠地で敗れたのはCLグループステージ第2節のアヤックス戦(0-3)の1試合だけだ。19日に行われたCL決勝トーナメント1回戦ファーストレグでは、敵地でアタランタに1-4の大敗を喫したが、ホームで迎えるセカンドレグに奇跡を起こす可能性もゼロではない。

 なおトップ5をスペイン勢が占めたが、上位20チームの顔ぶれを見ても、最多9チームがスペイン勢だった。それだけ、リーガ・エスパニョーラはホームとアウェイのパフォーマンス差が顕著なリーグだと言える。

 上位20チームを国別に分類すると、1位がスペイン勢で9チーム。2位がドイツ勢で5チーム(最多勝ち点差はフランクフルトの1.11)、3位がイングランド勢(最多勝ち点差はトッテナムで1.00)で4チームだった。最下位のイタリア勢に至っては、上位20チーム中わずか2チーム(最多勝ち点差はユヴェントスの0.83)にすぎなかった。

 では、セリエAではホームとアウェイに有利不利がないのかと言えば、そうでもない。今回の調査で、同リーグでは別の現象が起きていることが分かった。

 実は、ホームよりもアウェイで好成績をあげるチームが多いのが、今季のセリエAの特徴なのだ。アウェイの平均勝ち点がホームのそれを上回ったのは、全20チーム中9チーム。ほぼ半数のチームがアウェイを得意としている(=ホームを苦手としている)ことがデータで示されている。

 該当のチームは以下のとおり。(※括弧内の数字は「ホーム平均勝ち点/アウェイ平均勝ち点/平均勝ち点の差」)

ナポリ(1.17/1.69/0.53)
アタランタ(1.67/2.08/0.42)
ブレシア(0.46/0.83/0.37)
インテル(2.08/2.42/0.33)
フィオレンティーナ(1.08/1.25/0.17)
レッチェ(0.92/1.08/0.16)
ローマ(1.62/1.75/0.13)
ボローニャ(1.31/1.42/0.11)
ミラン(1.42/1.46/0.04)

 もちろん、ミランのようにホームとアウェイの平均勝ち点差がほとんどないチームもある。ただ、ホームで思うように勝ち点を伸ばせていないチームが多いのも事実だ。

 なお、イングランドとスペインは全20チーム中2チーム(10%)、ドイツは全18チーム中7チーム(約39%)が、ホームよりもアウェイの平均勝ち点が高かった。ブンデスリーガもセリエAと似たような状況にあり、大迫勇也の所属するブレーメンは、ホームの平均勝ち点が「0.45」、アウェイの平均勝ち点が「1.00」で、その差は「0.55」。欧州4大リーグの中で、最も“外弁慶”なチームだった。

 セリエAでは、3月1日にユヴェントスインテルによる大一番が行われる。ユヴェントスは今季ホームの平均勝ち点(2.83)がリーグトップ、対するインテルは今季アウェイの平均勝ち点(2.42)がリーグトップであり、“ホーム最強チーム”と“アウェイ最強チーム”の激突となる。

 しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、無観客試合となることが決定。ホームチームにも、アウェイチームにも大きな影響を及ぼす観客がいないことで、両者のパフォーマンスには多少の変化が生じるだろう。普段と異なる環境でどれだけのプレーを見せられるか。優勝を占う一戦では、真の実力が試されそうだ。

(記事/Footmedia)

By Footmedia

「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

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