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タイサッカーの未来を担う11人のキーマン

2018.10.26

文=本多辰成 Text by Tatsunari HONDA
写真=アフロ、ゲッティイメージズ Photo by AFLO, Getty Images

確かな実績を持ちタイ代表の成長に尽力

Milovan Rajevac
ミロヴァン・ライェヴァツ(タイ代表監督)

2017年4月にタイ代表の監督に就任したミロヴァン・ライェヴァツ [写真]=ゲッティ イメージズ

急成長を遂げるタイ代表を率いるセルビア出身の新指揮官。南アフリカワールドカップではガーナ代表を率いてベスト8進出を果たした実績を持つ。ロシアワールドカップのアジア予選でタイの敗退が決定した直後のタイミングである2017年4月に新監督に就任し、新戦力を加えながら成長期にあるチームをさらに進化させようと尽力する。出場枠が48カ国に拡大される2026年大会で悲願のワールドカップ初出場を狙うタイ代表を、次のステージに導くことができるか。

医療や体調管理でタイ代表をサポート

Yohei Shiraki
白木庸平(タイ代表トレーナー)

A代表からアンダー世代まで、女子も含めてタイ代表のすべてのカテゴリーを担当する日本人トレーナー。2012年から5シーズンにわたってタイリーグの強豪であるチョンブリーFCでトレーナーを務めており、そこでの実績が評価されて昨年5月にナショナルチームのトレーナーとしてタイサッカー協会と契約を結んだ。本格的なスポーツ医療がまだ浸透していないタイにおいて、コンディショニングの面から代表チームの躍進を支える。

元警察庁長官の経歴を持つタイサッカー界の長

Somyot Poompanmoung
ソムヨット・プンパンムアン(タイサッカー協会会長)

タイサッカー界において、重要な舵取り役を担うソムヨット・プンパンムアン会長 [写真]=アフロ

2016年2月にタイサッカー協会の新会長に就任した、現在のタイサッカー界のトップ(写真右)。元タイ警察庁長官という経歴の持ち主で、贈収賄などに関与した疑いでFIFA(国際サッカー連盟)から資格停止処分を受けたウォラウィ・マクディ前会長の後任を決める選挙では圧倒的な支持を受けた。毎年のように大きなトピックがあり、さまざまな形で成長と変化を続けている現在のタイサッカー界において、重要な舵取り役を担っている。

日本勢も苦しめたフランス育ちの右サイドバック

Tristan Do
トリスタン・ドー(ムアントン・U)

前監督体制下のタイ代表では、不動の右サイドバックとして貢献したトリスタン・ドー [写真]=ゲッティ イメージズ

ベトナムにルーツを持つタイ人の父とフランス人の母の間に生まれた、フランス育ちの右サイドバック。ロシアワールドカップアジア最終予選を戦ったキャティサック前監督体制下のタイ代表では、不動の右サイドバックとしてチームの躍進に貢献。確かな技術とフィジカル、豊富な運動力で攻守に質の高さを見せるプレーは、AFCチャンピオンズリーグでJリーグ勢も苦しめた。実力は折り紙付きで、「次にJリーグへやって来るタイ人選手」の有力候補の一人だ。

代表監督の信頼厚い遅咲きのDF

Pansa Hemviboon
パンサー・ヘーミブーン(ブリーラム・U)

190センチの長身センターバック、パンサー・ヘーミブーン [写真]=ゲッティ イメージズ

ライェヴァツ新監督就任後にタイ代表に定着した190センチの長身センターバック。20代前半まではそれほど脚光を浴びる存在ではなかったが、27歳になる昨シーズンにブリーラム・ユナイテッド移籍を機に才能を開花させた。やや遅咲きのDFをライェヴァツ監督は初陣からスタメンで起用し続けており、現在のタイ代表では完全にセンターバックの核となっている。守備面に欠点を持つタイ代表だけに、さらなる成長のカギを握る存在と言える。

再起を図る長身の点取り屋

Siroch Chatthong
シロー・チャットーン(プラチュワップFC)

184センチの長身FW、シロー・チャットーン [写真]=ゲッティ イメージズ

184センチの長身でがっちりとした体格を持つ、タイでは比較的珍しいタイプのFW。2016年のAFFスズキカップ(東南アジア選手権)決勝で2ゴールを決め、タイの連覇を引き寄せたことで新星として一躍脚光を浴びた。だが、2017年にムアントン・ユナイテッドに移籍すると、不慣れなサイドアタッカーとして起用されたこともあり、輝きを失ってしまった。まだ25歳と若く、ライェヴァツ監督も招集し続けているだけに復活を期待したい。

タイのパスサッカーに欠かせない司令塔

Sarach Yooyen
サーラット・ユーイェン(ムアントン・U)

優れたパスセンスで中盤を支えるサーラット・ユーイェン [写真]=ゲッティ イメージズ

タイのパスサッカーに欠かせないボランチ。168センチと小柄ながら、優れたパスセンスでタイ代表とムアントン・ユナイテッドの中盤を支える。昨シーズンは大きなケガでほぼ1年を棒に振ってしまったが、今シーズンは復活を遂げてライェヴァツ新体制の代表チームにも返り咲いている。チャナティップが日本で旋風を起こす以前から「Jリーグで通用するタイ人」と言えば必ず名前が挙がっていた選手だけに、実際に日本でプレーする姿も見てみたい。

欧州移籍を果たしたタイ史上最高のGK

Kawin Thamsatchanan
カウィン・タマサチャナン(OHルーヴェン)

ベルギー2部のOHルーヴェンに所属するカウィン・タマサチャナン [写真]=ゲッティ イメージズ

タイ史上最高のGKとの呼び声も高いタイ代表の守護神。今シーズン、ベルギー2部のOHルーヴェンへの移籍を果たし、現在のタイ代表で唯一の「欧州組」となった。OHルーヴェンは、レスター・シティのオーナーとしても知られるタイ最大の免税店『キングパワー』の会長ヴィチャイ・スリヴァッタナプラバが一昨年に買収したクラブ。カウィンにはJリーグ移籍のうわさもあったが、タイ人がオーナーを務める欧州クラブを新天地に選んだ。

タイ人のJ初得点を記録FC東京で経験を積む

Jakkit
ジャキット(FC東京)

FC東京U-23に在籍するジャキット [写真]=ゲッティ イメージズ

クラブ間の提携を背景に昨年7月、タイリーグのバンコク・ユナイテッドからFC東京に期限付き移籍。J3を戦うFC東京U-23では右サイドバックや右のウイングバックとして常時試合に出場している。昨シーズンのJ3第34節、セレッソ大阪U-23戦ではタイ人選手としてJリーグ初ゴールをマーク。昨年は20歳ながらU-23タイ代表にも招集されており、若くして海外に挑戦した経験は今後タイ代表でも生かされることになるだろう。

最年少記録を更新した期待のストライカー

Suphanat Mueanta
スパナット・ムアンター(ブリーラム・U)

タイリーグ連覇を達成したブリーラム・ユナイテッドで今シーズン、リーグ最年少記録となる15歳8カ月23日でデビューを飾ったタイ期待の若きストライカー。5月26日のエアフォース・セントラルFC戦では2ゴールを決め、リーグ最年少得点記録も塗り替えた(15歳9カ月22日)。すでに飛び級でU-19タイ代表にも招集されているが、10番を背負うU-16タイ代表では今年9月に行われたU-16アジア選手権の日本戦でもゴールを決めた。

輝きを放つタイの“神童”

Worachit Kanitsribampen
ウォラチット・カニッシーバンペーン(チョンブリーFC)

可能性を秘めたタイの至宝、ウォラチット・カニッシーバンペーン [写真]=ゲッティ イメージズ

17歳でリオデジャネイロ五輪予選のメンバー入りを果たすなど、早くから“神童”と騒がれてきたMF。Jリーグ入りもうわさされながら実現せずにいるが、21歳となった今シーズンはチョンブリーFCの主力として第31節終了時点で10ゴールをマークする活躍。確かな足元の技術をベースに人も使えて自らゴールも奪える華麗なプレーは、トップリーグでも輝きを放つようになった。チャナティップに続く可能性を秘めたタイの至宝であることは間違いない。

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