2018.02.05

「自分を冷静に見つめ直せた」…ケガを乗り越え南野拓実はロシアを目指す

南野拓実はロシアW杯を目指し戦い続けている
サッカー総合情報サイト

 オーストリアに渡り約3年、新たなプレースタイルを確立し、得点力に磨きがかかった。フィジカルも強化した。海外でプレーする日本人の中では誰よりも多くタイトルを獲得した。しかし、目に見える結果を残し続けても南野拓実に一切の慢心はない。「もっと結果を」――、日本代表への復帰を期して今以上を求めた。強い決意を胸に挑んだ新シーズン、南野を待っていたのは大きな試練だった。ロシアW杯まで約5カ月。憧れとリベンジを胸に南野は自分と向き合っている。
(編集部注:本インタビューは2017年12月実施)

インタビュー・文=加藤聡
写真=小林浩一、ゲッティイメージズ
取材協力=アディダスジャパン

長期離脱時の代表メンバー発表は「めっちゃ意識した」

昨年8月に右膝靭帯を部分断裂。3日後には日本代表が発表された

「満足していない」――、昨年夏、南野は自身の現状について不満を口にしていた。2016-17シーズン、リーグ戦で11得点を記録し、前シーズンから2年連続2桁得点でシーズンを終えた。ザルツブルクは4年連続で2冠を達成し、南野は2014年の加入以降、3年連続でタイトル獲得を果たした。本来ならば充実のシーズンオフを過ごせる状況だ。しかし、南野は歯がゆい思いとともに帰国した。得点数や出場試合数(2016-17シーズンはリーグ戦21試合に出場)に満足できなかったからだという。そして、その歯がゆさは今シーズンも拭い切れていない。

「今シーズンは立ち上がりからスタメンで試合に出て、ヨーロッパリーグやチャンピオンズリーグの予選も経験して、順調だったんですけど、膝のケガで1カ月ちょっとくらい離脱することになって……。ショックというか、難しい時期は過ごしましたね。今はしっかり復帰して試合にも出ているし、でも、結果というところでは……。大事な試合でもっと残せたら良かったかなと思います」

 今シーズンは公式戦で6得点(リーグ戦4得点)をマークするも、ここ一番の勝負強さが足りなかったという。加えて8月21日のリーグ戦で右膝靭帯を部分断裂し、約6週間の離脱を余儀なくされた。南野のキャリアの中で最長の戦線離脱だった。そして、何の因果か、ケガをした3日後の8月24日は、ロシアW杯アジア最終予選に挑む日本代表のメンバー発表が行われる日だった。

「(代表メンバー発表は)めっちゃ意識してましたね。ケガがなければ選ばれたかは分からないですけど、やっぱり選ばれたかったですし……」

 メンバー発表から1週間後の8月31日、日本代表はホームでオーストリアを破り、6大会連続のW杯出場を決めた。

試練の連続だったアンダー世代を経て…「だからこそ、代表への思いは強い」

アンダー世代の悔しい経験が日本代表へ思いを強くしている [写真]=Getty Images

 はたから見れば順風満帆なキャリアと言えるだろう。南野は高校生でJリーグデビューすると、18歳でJリーグベストヤングプレーヤー賞を受賞。各年代の日本代表として国際舞台を経験し、海外リーグ移籍も果たした。

 しかし、“日本代表”にフォーカスすると悔しい思いの連続だったという。エースとして期待されたU-17ワールドカップでは、全5試合中1得点にとどまった。2014年に開催されたAFC U-19選手権、勝てばU-20ワールドカップ出場が決まる準々決勝(対北朝鮮)のPK戦では、ラストキッカーを務めた南野の失敗により世界への切符を逃した。リベンジを期して臨んだリオ五輪アジア予選では、無得点に終わり、スタメンを外されることもあった。

「U-17のW杯でも結果を出すことはできませんでしたし、U-20のW杯も出場できませんでしたからね。悔しい思いはありますね。だからこそ、A代表への思いは強いです。『そこで早くプレーしたい』と」

 南野は2015年10月の初選出以降、日本代表から遠ざかっている。加えて、アンダー世代で苦い経験を積んだからこそ、日本代表、ロシアW杯への思いは誰よりも強い。しかし、クラブで結果を残し続けても代表に呼ばれない――、満足できな現状を払拭するには、日の丸を背負ってプレーするしかないのだ。

 今シーズンは良い形でスタートできたことも相まって、ケガによる長期離脱と代表不選出にショックを感じずにはいられなかった。それでも、南野は気持ちを切り替え、この試練をポジティブに捉えようとしている。

「ケガをしてすぐはショックでしたけど、意外と早く切り替えることができました。『このケガがあったから自分は成長できた』と言えるように頑張ろうって。だから、リハビリの期間を有意義に過ごせましたし、復帰したときにどういうプレーをするかというイメージもしながら、その時その時で集中することができました」

 自分を冷静に見つめ直し、復帰に備えた。すると復帰2試合目にアシストを記録、続く試合では2ゴールをマークするなど、すぐに結果に結びついた。

「海外で一人暮らしをして、1人で過ごす時間も長いし、ケガをすると余計にそういう時間が多くなるので。夜に眠れないときもあったんですけど、そういう時間も含めて、自分を見つめ直す良い機会だったなぁと思います」

新たなプレースタイルを武器に結果を残し“代表定着”へ

トップリーグでのプレー、代表定着のためにさらなる進化を目指す

 ヨーロッパでプレーする上で、フィジカルの強化は欠かせない。特に、ボールを奪われたら即プレッシングする“ゲーゲンプレス”をチームスタイルとするザルツブルクでは、攻守両面においてハードワークが求められる。さらに、南野はトップ下を務めるため、相手DFとの肉弾戦は日常茶飯事だ。

「トップ下でプレーするには縦への推進力だったり、背負ってボールをしっかり収めるプレーが求められます。まだまだ成長していきたいポイントなんですけど、ヨーロッパでプレーして良くなっているかと思います」

 セレッソ大阪ではサイドからドリブルで持ち込むスタイルを主としていた。しかし、ザルツブルクでは、相手DFを背負いボールを受けるシーンが多い。そのまま強引に前を向いて突破を試みたり、受けたパスをワンタッチでサイドへ展開してゴール前に走り込む。こうしたプレースタイルの変化も、近年の得点力アップに大きく貢献している。

「セレッソにいたときよりドリブルはしなくなりました。その上で、『どうやってゴールに向かっていくか?』というところで、ワンタッチで正確につないで、ゴール前で勝負するというのはトップ下として絶対求められる。そこは今の自分の持ち味だと思います」

 オーストリアに渡って約3年、激しいコンタクトを重ねた23歳の肉体は、より厚みが増した印象だ。全ては日本代表復帰、そして、ロシアW杯出場のために……。言葉も文化も異なる国で技術もメンタルも確かな成長を遂げている。ただし、目標はあくまでも“代表定着”だ。

「『海外でプレーしたい』という気持ちが強くて移籍したし、今後のサッカー人生も海外のトップリーグでプレーしたいと考えています。そこで活躍して中心選手になれれば、自ずと代表に呼ばれるようになると思います。目の前の目標はロシアW杯で、もう少し長い目で見ればトップリーグでプレーして代表に呼ばれ続ける選手になりたいです」

 3月の国際Aマッチウィークを終えると、5月にはロシアW杯のメンバーが発表される。残り少ないチャンスをモノにして代表へ――、南野拓実の一挙手一投足に期待が膨らむ。

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