2017.04.10

水戸がアジア戦略加速、ベトナム1部HAGLと提携&ユースチームが同国遠征で武者修行

調印式に出席した水戸の沼田邦郎社長とHAGLのドアン・グエン・ドゥック会長
1981年生まれ、愛知県出身、ベトナム・ホーチミン在住の翻訳家兼ライター。2005年にベトナムに渡り、5年間日本語教師として語学センターや大学で教壇に立った後、2011年にベトナム情報配信サイトの運営会社に就職して編集長を務め、2014年に退社。在職中の2013年にベトナムサッカーの専門サイト「ベトナムフットボールダイジェスト」を立ち上げ、現在も個人で運営を続ける。「アジアサッカー研究所」などでコラムを連載中。

 アジア戦略を推進する水戸ホーリーホックが4月2日、ベトナム1部ホアン・アイン・ザライ(HAGL)との間で業務提携を結んだ。水戸の沼田邦郎社長がHAGLの本拠地である中部高原地方ザライ省プレイク市まで赴いて調印式に参加。今回の業務提携は、選手移籍やアカデミーの人材交流を含めた交流のみならず、新たなビジネスモデルの構築や、茨城県のシティープロモーションの一環でもあり、水戸ホーリーホックの重要な成長戦略として位置付けられている。

 水戸は昨年、HAGLから“ベトナムのメッシ”の異名で知られる同国代表FWグエン・コンフォンを期限付き移籍で獲得。この移籍はベトナム国内でも話題となり、かつて“ベトナムの英雄”ことレ・コン・ビンが札幌に移籍したときと同様、ベトナムにおける水戸の知名度は大きく上昇。さらに、水戸は国民的アイドルであるグエン・コンフォンのブランド価値を活かし、国営ベトナム航空をはじめとする複数の新規スポンサー獲得にも成功した。また、ベトナム航空が茨城県に就航したチャーター便を利用し、茨城交通株式会社が企画した“ベトナム発グエン・コンフォン応援観戦ツアー”は、地域クラブの存在がインバウンドに結びついた事例として、「スポーツ文化ツーリズムアワード2016」に入選を果たしている。

 ベトナム進出のきっかけになった肝心のグエン・コンフォンは、水戸在籍中の昨シーズン中、怪我で出遅れたことや日本サッカーへの適応に苦しんで出場機会に恵まれず、試合勘不足を懸念するHAGL側の強い要望により、既にベトナムに帰国してしまった。しかし、水戸としては、せっかく築いたベトナムとの協力関係をここで途切れさせるわけにはいかない。そこで水戸は、3月末から4月初めにかけてユースチームのベトナム遠征を実施。現地でHAGLの下部組織およびトップチームのサブ組と計3試合のトレーニングマッチを行い、このタイミングでHAGLと正式な業務提携を締結した。

 今回の遠征で水戸ユース(U-18)は、HAGLの下部組織HAGLアーセナルJMGアカデミーの第3期生(U-17)と2試合、HAGLトップチームサブ組と1試合のトレーニングマッチを行った。結果は、HAGLアカデミーに2勝(4-1、4-2)、HAGLトップチームサブ組に1敗(0-2)。同アカデミーは、その名の通り、HAGLがイングランドのアーセナルおよびフランスのJMGアカデミーと協力して設立したもの。ここでは、幼少期からフランス人指導者による徹底した英才教育が施されており、これまでに、グエン・コンフォンや元横浜FCのグエン・トゥアン・アイン、韓国・江原FCのルオン・スアン・チュオンなど多くのベトナム代表選手を輩出しており、国内有数の強豪アカデミーとしての地位を確立している。

 日本でもトップチームの練習に参加する機会があり、プロのレベルや姿勢を体感することで急速に力をつけている水戸ユースだが、ユースチームとしての海外遠征はこれが初めて。東南アジアという全く異なる環境の中、同年代の海外チームとの対戦は大きな刺激になったことだろう。

文=宇佐美淳
協力=アジアサッカー研究所

宇佐美 淳(うさみ じゅん)
1981年生まれ、愛知県出身、ベトナム・ホーチミン在住の翻訳家兼ライター。2005年にベトナムに渡り、5年間日本語教師として語学センターや大学で教壇に立った後、2011年にベトナム情報配信サイトの運営会社に就職して編集長を務め、2014年に退社。在職中の2013年にベトナムサッカーの専門サイト「ベトナムフットボールダイジェスト」を立ち上げ、現在も個人で運営を続ける。

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