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ダンディー・U加入秒読みの川島永嗣…“どん底”クラブの救世主となるか!?

2015.11.05

ダンディー・Uへの加入が秒読みとなっている川島 [写真]=Getty Images

 スタンダール・リエージュ退団以降、無所属の状態が続いていた日本代表GK川島永嗣のスコットランド・プレミアリーグ参戦が秒読み段階に入った。

 11月2日、英国の各メディアが一斉に「ダンディー・ユナイテッドが川島と契約へ」と報道。翌3日にはミクス・パーテライネン監督が「すべて合意した」と発言し、外国人労働許可証の問題さえ解決されればすぐに契約することを明かした。

 ダンディー・Uは1909年に創設した歴史あるクラブ。1970年代から現在まで、1995-96シーズンの1年間を除いて常にトップリーグに在籍している古豪であり、欧州カップ戦の常連だった80年代にはリーグ優勝(1982-83)を成し遂げている。

 近年では2007-08から昨シーズンまで8年連続でリーグのトップ5を維持し、予備予選の壁に阻まれてはいるがヨーロッパリーグ出場権を獲得できる位置に付けている。12チームで争うスコットランド・プレミアリーグでは“中堅”といえる立場にいる。

 スコットランドで4番目の都市であるダンディーの街には、オレンジがチームカラーのユナイテッドの他にもブルーをまとうダンディーFCがいる。このライバルはともに今シーズンのトップリーグに在籍しているが、こちらは最近まで下部リーグにいたため、街の覇権は“オレンジ”の手にある。

 だが、今シーズンのダンディー・Uは大スランプだ。ここまで13試合で2勝2分け9敗の最下位に沈んでおり、川島が本拠地タナディス・パークのスタンドで目撃された13節ロス・カウンティー戦に1-0で勝つまで、4連敗&10試合未勝利と泥沼だった。とりわけ守備が目下の課題で、ここまで26失点はリーグ最多である。

 新天地としては“泥舟”にも見えるが、実はそこに大きなチャンスがある。実は、いまのダンディー・Uは監督交代直後で正GKが定まっていない状況なのだ。

 昨シーズンまで3年にわたって正GKを務めたポーランド人GKラドスラフ・チエルズニアクがこの夏に退団し、新シーズンは21歳のドイツ人GKルイス・ズウィックが開幕からゴールを守った。だが、9月末にジャッキー・マクナマラ監督が解任されると、新たにやってきた元フィンランド代表監督のパーテライネンは就任2試合目で最後尾をチェンジ。チャンスを得たポーランド人GKのミハル・シュロムニクはそのロス・カウンティー戦で完封勝利に貢献したが、彼もまだ22歳で実戦経験には乏しい。

 パーテライネン監督は「3人のGKで定位置を争わせたい」として川島の先発は確約しなかった。だが、「彼は豊富な経験を持つプロフェッショナルだ」とも評価しており、若い2人にはない武器を欲しているのは明らかだ。

 実際、リーグ内のGKを見渡しても、日本代表で71キャップ、2度のワールドカップ出場という川島に代表キャリアで勝るGKはひとりもいない。王者セルティックの守護神クレイグ・ゴードンでさえ、スコットランド代表キャップは「43」である。

 キツいスコットランド訛りに対応する必要はあるが、英語力も問題ない。スコットランドリーグでは“百戦錬磨”の部類に入る川島は、すぐにでも守備陣の新リーダーになれるはずだ。

 そうして国内で存在感を示せばチャンピオンズリーグ出場が見込めるセルティックが放っておかないだろうし、イングランド・プレミアリーグの各クラブも掘り出し物を見つけるために“お隣さん”のリーグには多くのスカウトを送りこんでいる。

 リーグ自体のレベルは決して高いとは言えないが、どん底のチームを救う活躍を見せればステップアップの道も拓けるのだ。

(記事/Footmedia)

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