GKの世界最多ゴール数記録を持つロジェリオ・セーニ [写真]=Getty Images
30日に行われたブラジル国内のカップ戦、コパ・ド・ブラジルの試合中に、サンパウロに所属する元ブラジル代表GKロジェリオ・セニが、チームメートの元同代表FWアレシャンドレ・パトにPKを譲った。ブラジルのスポーツメディア『terra』がロジェリオ・セニのコメントを伝えている。
話題の場面はブラガンチーノ対サンパウロ戦の74分。相手のファウルによってPKを得たサンパウロは、守護神ロジェリオ・セニが相手側のペナルティエリアへと駆け寄ってきた。キーパーながら右足で精度の高いボールを蹴ることができるロジェリオ・セニは、長年サンパウロのフリーキッカーやPKキッカーを務めており、サンパウロでは守護神の同選手がPKを蹴ることが慣例となっている。
ところが、ボールを持ったロジェリオ・セニのもとにパトが近づいて何やら言葉を交わすと、ロジェリオ・セニはパトにボールを渡して自陣に戻っていった。ボールを譲り受けたパトは、このPKを決めてチームに勝利をもたらした。
試合後、このことについて質問が及ぶと、ロジェリオ・セニはパトにPKを譲った理由を次のように明かした。
「パトが『俺に蹴らせてほしい』と頼み込んできたんだ。表情が自信に満ちていてやる気を感じたから、彼の気持ちを感じてPKを譲った。私は自分の記録を伸ばすことにはそこまで固執していない。それよりも、最近ゴールを決めていなくて悩んでいるパトがゴールを決める方が、チームにとってはプラスになると思ったんだ」
今年限りでの現役引退を表明しているロジェリオ・セニは、これまで通算118ゴールを記録しており、GKの世界最多ゴール数記録を保持しているが、自身の記録更新よりも調子が上がらずに苦しんでいるパトに浮上のきっかけを与えることを優先したとのこと。24年間サンパウロ一筋の守護神による、チームメートへの思いやりが垣間見える一幕であった。
(記事/Cartao Amarelo)