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2-0は本当に危険なスコアなの? プレミアの過去データをもとに検証

2018.07.05

ベルギーを相手に逆転負けを喫した日本代表 [写真]=Getty Images

 2018 FIFAワールドカップ ロシアでベスト16敗退に終わった日本代表。ベルギー代表との決勝トーナメントでは2点先行しながら、後半に3失点を喫し、2-3の逆転負けを喫した。

 その試合後、SNS上では「やはり2-0は危険なスコア」という声が続出した。サッカーファンの間ではお馴染みとなっている格言だが、果たして2-0というスコアは本当に危険なのか。今回は、データ会社『Opta』の情報をもとに検証してみた。

 モデルケースとなったのはプレミアリーグ。対象期間は、1992年のリーグ創設時から2016-17シーズンまで。この間、ゲーム途中に2点差がついたのは、計2766試合あったという。そして、最終結果は以下のようになったとされる。

■2点リードを奪ったチームの最終結果 (サンプル数:2766試合)
・勝利:2481試合(89.7パーセント)
・引き分け:212試合(7.7パーセント)
・敗戦:73試合(2.6パーセント)

 やや意外な結果かもしれない。2点リードを奪ったチームが勝利を手にする確率は、ほぼ9割に達する。2点差を逆転されるケースは、2.6パーセント。つまり、50試合戦ったとしても逆転される確率は1回程度ということになる。「頻発している」とは言い難い。

 なお、国際サッカー連盟(FIFA)によると、W杯で2点差を逆転されて敗れたチームは、日本で7番目になるという。決勝トーナメントでは、1970年メキシコ大会の準々決勝でイングランドが西ドイツ相手に2-3と敗れて以来、48年ぶりの出来事。非常に珍しいケースで、だからこそ世界中に与えたインパクトは大きかった。

 では、他の点差ではどんな結果が出ているのだろうか。「1点差」と「3点差」がついた試合の最終結果は以下のとおり。

■1点リードを奪ったチームの最終結果(サンプル数:5721試合)
・勝利:2987試合(52.2パーセント)
・引き分け:1747試合(30.5パーセント)
・敗戦:987試合(17.3パーセント)

■3点リードを奪ったチームの最終結果(サンプル数:1119試合)
・勝利:1099試合(98.2パーセント)
・引き分け:16試合(1.4パーセント)
・敗戦:4試合(0.4パーセント)

 やはりと言うべきか、1点リードはまったく“安パイ”ではない。1点のリード、つまり先制したとしても、そのまま逃げ切りに成功する確率は50パーセントを少し上回る程度。一方で、逆転負けを喫する確率は17.3パーセントと、5回に1回程度はスコアをひっくり返されている。2点リードから逆転負けを喫する確率(2.6パーセント)と比較すると、7倍程度の差がある。

 対照的に、3点のリードは“安全圏”と言える。3点差をつけてしまえば、98パーセント以上の確率で勝利を手にすることができているからだ。サッカーは点が入りにくいスポーツ、という特徴をよく表すデータかもしれない。

 さて、結論としては、2-0は巷で考えられているほど「危険なスコア」とは言えないのではないだろうか。「“ある程度”危険なスコア」ではあるかもしれないが、あえて身構えるほどではない。1点リードの方が逆転の確率が高いのは、前述のデータからも明らかになっている。当たり前と言えば当たり前のことだが、2点リードを追いつかれたり、逆転されたりした試合は、強烈な印象として記憶される。そのため、「2-0が危険なスコア」だと錯覚してしまっているのかもしれない。

 もちろん、今回はプレミアリーグのデータをもとに検証しただけであり、W杯となると話は違ってくる可能性もある。ただ、ベルギー戦の逆転負けを今後の教訓にする一方で、2-0というスコアをあまり脅威に感じる必要はないと言えるだろう。

記事中の表記に誤りがございましたので、訂正致しました(18日14時14分)

(記事/Footmedia)

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