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辛くもグループ首位通過…スペイン、地元メディアは一様に「VARに感謝」

2018.06.26

グループ首位での決勝T進出を決めたスペイン代表 [写真]=Getty Images

 2018 FIFA ワールドカップ ロシアで2大会ぶりの優勝を目指すスペイン代表が、辛くもグループ首位で決勝トーナメントに進出した。25日に行われたグループBの第3節、モロッコ代表と2-2で引き分けたスペインは、イラン代表と1-1で引き分けたポルトガル代表と勝ち点や得失点差で並んだものの、総得点で上回って首位通過を決めた。

 この試合、2度に渡ってモロッコにリードを許しながら、何とかドローに持ち込んだスペイン。後半アディショナルタイムにFWイアゴ・アスパスが挙げた同点弾は、オフサイドの判定がVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)により覆って認められたものという、薄氷を踏む思いで手にした勝ち点1だった。

 一方、同時間帯に行われたグループBのもう1試合では、一時は流されていたポルトガル代表DFセドリック・ソアレスのペナルティーエリア内のハンドがVARにより認められ、PKをFWカリム・アンサリファルドが決めたイランがドローに持ち込んだ。

 グループステージを首位で突破したスペイン代表だが、両試合における判定の妙が大きく左右する形で得た結果とあり、母国のメディアは一様に“VARに助けられた”との見解を示している。とりわけ2大スポーツ紙は、『アス』が「VARに感謝」との見出しを掲げれば、『マルカ』も「VARでベスト16入り」と題打つなど、今大会から採用されたテクノロジーのお陰との厳しい論調を見せている。

 当然ながら、国民の代表チームへの信用も大きく落ちており、開催国のロシア代表と対戦する決勝トーナメント1回戦に向けては、多くの人々が不安を感じていることは間違いない。事実、『マルカ』が行ったアンケートの「スペインはベスト8に進出できるか?」との質問で、「イエス」と回答したのはわずか51パーセントにとどまっている。

 チームの1点目を挙げて「マン・オブ・ザ・マッチ」に輝いたMFイスコが、「これ以上ゴールをプレゼントし続けてはならない」と述べた通り、単純なミスから失点を重ねている守備面の修正はもちろん必要なスペインだが、高いボールポゼッション率をチャンスに繋げられない攻撃面の問題も見逃せない。実際、上記アンケートの「あなたが監督ならツートップのシステムでプレーするか?」との質問には、64パーセントの人々が「イエス」と回答するなど、FWジエゴ・コスタのワントップからの変更を求める声が多い。

 何はともあれ、開幕前日の指揮官交代という大騒動を乗り越え、決勝トーナメントに駒を進めたスペイン。しかし、フェルナンド・イエロ監督に突き付けられた課題は多い。決勝トーナメントではメンバーの入れ替えやシステムの変更は行われるのか。個々の選手の能力は高いだけに、新指揮官の判断が成功と失敗の分かれ目になりそうだ。

文=北村敦

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