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「頭突き」「踏みつけ」「神の手?」 ~W杯で起きた忘れられない10の事件簿~

2018.06.14

ワールドカップでは多くの“事件”が起こってきた [写真]=Getty Images

 14日、いよいよ「2018 FIFAワールドカップ ロシア」が開幕する。ここまで多くのスタープレーヤーやビッグマッチが特集されてきたが、合わせて注目してほしいのが、ピッチ内で起こる“事件”だ。乱闘や疑惑の判定など、これまでも多くの事件が起こってきたが、ワールドカップが国と国のプライドを懸けた勝負ならではと言えるだろう。そこで、ロシアW杯開幕目前の今、試合結果以上に大きな話題となった10の事件簿をおさらいしよう。

写真=ゲッティイメージズ

■若き貴公子の過ち…母国から受けた“戦犯扱い”


シメオネに足をかけて転ばせたベッカムが退場処分に


1998年フランスW杯、当時23歳のデイヴィッド・ベッカムはワールドカップ初出場を果たした。イングランド代表は決勝トーナメント1回戦でアルゼンチン代表と対戦。47分、ディエゴ・シメオネからタックルを受け倒されたベッカムは、倒された状態のままシメオネの足を軽く蹴って転倒させてしまう。それを見ていた主審は、ベッカムにレッドカードを提示。さらにイングランド代表はPK戦の末、敗退してしまった。その後、イギリスメディアが「10 heroic lions one stupid boy(10人のライオンと1人の愚かな若者)」とベッカムを揶揄し、敗退の“戦犯”として非難を浴びた。

■不名誉なW杯記録! 計16枚のイエローカードが飛び交った大乱戦


デコ、ファン・ブロンクホルストなど4人が退場処分に


2006年ドイツW杯、決勝トーナメント1回戦でポルトガル代表とオランダ代表が対戦。大会屈指の好カードとして注目を集めた一戦は思わぬ“乱戦”となってしまう。オランダ代表のマルク・ファン・ボメルが開始早々の2分にイエローカードを提示されると、試合は大荒れの展開に。ポルトガル代表はコスチーニャ、デコ、オランダ代表はハリド・ブラルーズ、ジオバンニ・ファン・ブロンクホルストの計4人が退場。90分までに提示された16枚のイエローカードはワールドカップ史上最多記録となった。試合は23分にマニシェが決めた先制点を守り切り、ポルトガル代表がベスト8進出を果たした。

■ルーニーが相手DFを踏みつけ、C・ロナウドとの不仲騒動が勃発!


抗議に入ったC・ロナウドとルーニーが言い争う場面も


2006年ドイツW杯準々決勝、イングランド代表vsポルトガル代表の一戦。試合開始から拮抗した試合展開が続くとスコアレスで後半へ。迎えた62分、ウェイン・ルーニーがリカルド・カルヴァーリョとのボールの競り合いで倒れ、立ち上がる瞬間にカルヴァーリョの下腹部を踏みつけてしまう。このプレーに対して当時、マンチェスター・ユナイテッドでチームメイトだったクリスティアーノ・ロナウドが審判へ猛抗議。するとルーニーがロナウドを突き飛ばし一発レッドで退場処分を受けた。試合は延長戦でも決着がつかずPK戦へ。最後はロナウドが決めてポルトガル代表が準決勝へ進出した。大会後はルーニーとロナウドの“不仲説”が噂され騒動となった。

■現役ラストマッチはまさかの結末 ジダンは優勝杯を背に退場



ジダンはマテラッツィに頭突きを見舞い一発退場で現役を退いた


2006年ドイツW杯。イタリアとフランスの顔合わせとなった決勝戦は、同時にジネディーヌ・ジダンにとって現役最後の試合だった。7分、フランスはPKを獲得すると、これをジダンが決めてフランスが先制する。対するイタリアは19分のコーナーキックからマルコ・マテラッツィがヘディングでゴールを奪い同点に追いつく。その後は両チームとも堅い守備でゴールを許さず、試合は膠着状態のまま延長戦にもつれこんだ。延長後半5分、ゴール前でのプレーでジダンとマテラッツィが言葉を交わすと、ジダンがマテラッツィに近付き、無言のまま胸元へ頭突きを見舞った。試合は一時中断されると、主審はジダンにレッドカードを提示。稀代の名手のラストゲームは退場とともに幕を閉じた。試合はPK戦の末、イタリア代表が勝利。4度目の栄冠を手にした。

■神の手再び? 身を挺した失点阻止でベスト4進出をアシスト


スアレスは退場となるも、ギャンのPKは失敗。ウルグアイが準決勝へ駒を進めた


2010年南アフリカW杯準々決勝、ウルグアイ代表とガーナ代表が対戦した。両チームが1点ずつを奪い、1-1で試合は延長戦へ突入。勝ち越しゴールが生まれないまま迎えた終了間際の120分、ガーナのシュートがウルグアイゴールに飛ぶと、ルイス・スアレス意図的に手で防ぎゴールを死守。当然、主審から退場を命じられ、ガーナにPKが与えられた。「これでガーナが勝ち越しか?」と思われたが、このPKをアサモア・ギャンがまさかの失敗。そして、同点のまま試合終了。その後はウルグアイがPK戦を制し準決勝進出を決めた。試合後、スアレスはハンドしたシーンについて、「神の手だ!」とアピール。これに対し“元祖・神の手”ディエゴ・マラドーナは「あれは“彼の手”だ」と一蹴した。

■一発退場を免れた飛び蹴りに批判殺到


危険な飛び蹴りに対し提示されたのはイエローカードだった


2010年南アフリカW杯、スペイン代表とオランダ代表の顔合わせとなった決勝戦。問題のシーンは28分に起こる。浮き球のルーズボールをシャビ・アロンソがヘディングでつなごうとすると、ナイジェル・デ・ヨングはキックで阻止を図る。すると、高く上げたデ・ヨングの左足裏がシャビ・アロンソの胸を直撃し、飛び蹴りを見舞う形に。このプレーに対し、審判がデ・ヨングに提示したのはイエローカードだった。デ・ヨングの極めて危険な行為、そして、レッドカードを提示しなかった審判には、試合後に批判が殺到した。試合は、両チーム猛攻を仕掛けながらもスコアレスで延長戦に突入。116分にアンドレス・イニエスタの決勝ゴールでスペイン代表がワールドカップ初優勝を手にした。

■ランパードのW杯初ゴールは幻に…ロシアW杯ではVARを導入


映像で振り返ると確かにゴールラインを割っているのだが…


2010年南アフリカW杯決勝トーナメント1回戦、ドイツ代表vsイングランド代表。1点のビハインドを背負ったイングランドは猛攻を仕掛けると、フランク・ランパードが混戦からループシュートを放つ。これがキーパーの頭上を超すと、ボールはクロスバーに当たって跳ね返りゴールラインを割ったかに思われた。しかし、審判の判定はノーゴール。スタッフとしてベンチ入りしたベッカムらが猛抗議したが、判定が覆ることはなかった。この“幻のゴール”が発端となり、ブラジルW杯ではゴールラインテクノロジーを導入。さらに、ロシアW杯からはVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)も導入される。

■処分は4カ月間の活動禁止! 前代未聞の噛みつき事件


噛まれたキエッリーニは左肩を出して猛抗議


2014年ブラジルW杯で前代未聞の事件が起こる。ウルグアイ代表とイタリア代表が対戦したグループステージ第3節、ウルグアイ代表のエース、ルイス・スアレスはジョルジョ・キエッリーニとの競り合いの中、同選手の左肩に噛みついた。この行為に対して国際サッカー連盟(FIFA)は、スアレスに4カ月間のサッカー関連活動の禁止を言い渡し、スアレスにとって2度目のワールドカップは幕を閉じた。

■カナリア軍団のエース、腰椎骨折の大ケガで大会を去る


タックルを受けたネイマールは起き上がれず大会を後にした


2014年ブラジルW杯、ブラジル代表とコロンビア代表が対戦した準々決勝で事件は起こる。ブラジルの1点リードで迎えた88分、ネイマールがボールを受けた瞬間、コロンビア代表DFスニガが後ろからタックル。スニガの膝がネイマールの腰にヒットすると、ネイマールは起き上がれずピッチに倒れ込んだ。そのまま担架で運ばれ試合を後に。後日、腰椎骨折が発表され、残り試合への出場も不可能となった。また、当たり所が数センチずれていたら、車椅子生活になりかねない大ケガとなっていた可能性もあったという。スニガに対しては世界中から批判が殺到。ブラジルのマフィアが殺害予告したとの報道も出るほどだった。

■悲しみに包まれた王国 歴史的大惨敗を喫した「ミネイロンの惨劇」


試合終了のホイッスルと同時にブラジル代表の選手たちは肩を落とした


2014年ブラジルW杯。開催国のブラジルは準決勝に進出し、ドイツ代表と対戦した。サッカー王国ブラジルにとって優勝が義務付けられた自国開催。しかし、準々決勝のコロンビア戦でエースのネイマールが負傷。さらに、キャプテンのチアゴ・シウヴァが累積警告のため出場停止となった。攻守の要を失ったブラジルは前半に5失点を喫すると、後半にも2点を奪われ、計7失点を献上。攻撃陣は終了間際の1得点に留まり、1-7の大敗を喫した。この試合はミネイロン・スタジアムで開催されたことから、「ミネイロンの惨劇」と呼ばれている。

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