2014.04.19

メッシは出て行け? サイクルの終焉迎えたバルセロナを襲うネガティブキャンペーン

メッシ
国王杯決勝戦後のメッシ(右)とネイマール(左) [写真]=Getty Images
フリーライター&フォトグラファー。スペインで活動中。

文=座間健司

 バルセロナがレアル・マドリードと戦うコパ・デル・レイ(国王杯)決勝前の今や、すっかりご意見番となってしまったヨハン・クライフ氏のこんなコメントが掲載された。

「バルセロナにとって最もいいのはジョゼップ・グアルディオラが戻ってくることだ。彼は素晴らしい監督で彼よりも優れた監督はいない」

 また、“フライング・ダッチマン”(クライフ氏の愛称)はこうも語っている。

「ジョアン・ラポルタが会長に戻ってくれば、私はグアルディオラと契約することがベストだと彼に伝える。ラポルタは賢いから必ずそうするはずだ」

 このコメントはバルセロナ寄りの地元紙『ムンド・デポルティーボ』に掲載された。

 バルセロナは政治のようだ。クライフ氏はバルセロナの監督後任候補の適任者の名前を挙げて、アルゼンチン人指揮官の解任を間接的に支持するだけでなく、会長もラポルタが復職すべきだと公言した。

 たしかにクライフはサンドロ・ロセイ前会長の仲間たちが続ける現フロント体制との関係が良くない。しかし、トップチームが危機的な状況に陥っている時に、メディアを介してコメントをすることで現フロントに打撃を与え、今後行われるであろう会長選のためにソシオの浮動票を少しでもラポルタに動かそうとしている。まるで政治の世界だ。

 ソシオのクラブへの不満はそろそろ沸点を迎えるはずだ。レアル・マドリードを破り、国王杯を制することができれば、少しはトーンダウンしていたかもしれなかった。だが、今シーズンで獲得タイトルがスペイン・スーパーカップだけのチームには残りシーズン、バルセロナ寄りのメディアからも大きな批判を浴びせられることになるだろう。

 特にこの1週間で大きな批判の対象となっているのがリオネル・メッシだ。バルセロナの絶対的なエースはどうやらソシオにも怠慢に映るようだ。チャンピオンズリーグの準決勝セカンドレグ・アトレティコ・マドリード戦ではメッシの走った距離をメディアが大々的に報じた。GKのホセ・マヌエル・ピントよりもわずかに1.5キロ多い6.8キロだった。対戦相手でこのゲームで決勝点を決めたコケの総距離の約半分しか走っていない。一連の報道はメッシが「走らない怠慢な選手」と伝えている。運動量が少なかったゆえにメッシは試合から消えていた。

 だが。メッシは昨シーズン呆れるほどゴールを決めている時も今と変わらないほどの運動量、走行距離だった。データはいいように報道される。ゴールを決めるなど結果が出ている時は「無駄に走らないのは賢い選手だから。ポジショニングがいいんだ」と言われ、チームが重要なゲームで負けると同じ数字は「怠け者」として伝えられる。

 このように今シーズンの残りはどんな数字も結果も全てネガティブに報じられるだろう。大エースがゆえにしょうがないことだが、メッシへの批判はさらに高まるに違いない。一方、不思議なことにネイマールへの批判は少ない。結局獲得にレアル・マドリードのギャレス・ベイルと同じ費用がかかったブラジル人だが、その金額に見合う活躍はしていない。だが、彼への批評は小さい。これは「メッシは出ていけ、ネイマールは残せ」という地元メディアの意思表示なのだろうか。来シーズンに向けて、地元メディアの一大ネガティブキャンペーンが始まる。

 バルセロナは1週間で3連敗を喫したことで全てのタイトルをほぼ失ってしまった。今や唯一の可能性となってしまったリーガも首都のチームが取りこぼさなければ、バルセロナには転がってこない。

 メッシの脱税、ネイマールの移籍金訴訟問題、カンテラの未成年選手国際移籍の違反。ピッチ外でもこれだけの騒音があり、なおかつトップチームは無冠がほぼ決まりつつある。またシーズン後には主将のカルラス・プジョルの退団も決定している。国王杯決勝、ベイルの一撃が2007-08シーズンのグアルディオラの監督就任から始まったバルセロナの輝かしいサイクルにピリオドを打った。

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