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【取材記事】「やらなければならないことは、やれる力がある人間がやる」本田圭佑が“新時代”のために投じる一石とは

オンライン会見に対応した本田圭佑 [提供]=©NowDo株式会社

 本田圭佑がもはや一サッカー選手にとどまらない存在であることは周知の事実だろう。クラブ経営、指導者、会社経営……。今年1月には、東京に新たなクラブ『One Tokyo』を設立したことも記憶に新しい。そんな本田が経営するNowDo株式会社が、中高生を対象とした「新しいスクール」を作ることを表明した。

 スクール事業説明の場として、本田による記者会見がオンラインで開催された。そこで語られた言葉は、欧州や南米など世界各地で活動してきた彼だからこそ感じた「教育」への想いが込められていた。

取材・文=生駒 奨


◆本田が本当に教えたいこと…「常識人を量産する教育は時代遅れ」

 本田はスクール事業狙いや目的について、「今は個性を持った人たちが活躍する時代」と語り、最前線の知見を子供たちに伝えることの重要性を力説した。

「これまでの学校教育は、社会に出てから育てやすい人材を作ることに重きをおいていた。常識を理解できる人をたくさん雇って、マニュアルやノウハウを教えればビジネスが回る社会でしたから。でも今は、もうそんな時代じゃないんです。リアルな社会で戦う術を、中高生のうちから学ばなければならない。学校教育では触れられないことを、今まさに最前線で活躍している人から学べるようにすることが狙いです」

 このような想いのもと、本田のスクールではスポーツをはじめとした各分野で最前線を走る人材を講師として招く予定だという。

◆本田は既存の学校教育をどう考えるのか? 「“学歴”という概念は…」

[提供]=©NowDo株式会社


 新たな教育の在り方の必要性を訴えた本田。これまでも、自身のTwitter等で「本当に学校なんか行かないとあかんかな? 好きなら行けばいいと思うけど」、「学校の宿題は嫌ならやらんでいいと思う」といった投稿をし、物議を醸してきた。しかし、本田自身は既存の学校教育を完全に否定するつもりはないという。

「“学歴”という概念は、努力に対する正当な評価なので、人に対する評価軸としてあっていい。だから、既存の学校やそこで働く教師の皆さんは、子供たちにいい学歴を付けさせるための教育を続けていただければいいと思います。僕自身、集団のなかでのふるまい方など、学校教育で学んだことが今に生きている部分はある」

「ただ、既存の学校教育がアプローチできていない部分にこそ本質がある、と僕は感じている。自分の欲をコントロールし、社会のなかで自己実現する術を最前線の人材から学ぶこと。これが僕のスクールの意義です。モラルを学ぶ部分では、既存の学校のほうが優れているので、そこは託しつつ、詰め込み式や全員一律の教育では学べないことを僕のスクールが担っていければ」

◆「ダイエットと同じ」…本田が感じる教育の課題とは

 さらに本田は、昨今の重大な社会問題の一つとして議論されている教育格差についても言及した。この問題も、スクール事業を始めるきっかけの一つであり、課題でもあるという。

「僕はよくダイエットの話に例えます。すでに十分にスリムで健康な人のほうがダイエットに興味があって、医学的に見て本当に痩せなければならないくらい肥満状態の人は健康食品やダイエット用品に全く興味がない、という場合が多々あります。それと同じで、本当に質の高い教育が必要な子供たちは、教育への意識が低く、『学び』に対してなかなか興味を持ってくれないのです。そういった子供たちに、いかにスクールの存在を届けるか。興味を持ってもらうか。そこが大きな課題です。まずは親にアプローチするなど、大人世代と協力しながら取り組んでいきたい」

◆やれる力がある人が、やらなければならないことをやる…本田圭佑がたどり着いた境地

[提供]=©NowDo株式会社


 競技ファーストが叫ばれるプロスポーツ界のなかで、本田ほどの行動力を持つアスリートは稀有な存在だと言える。そのことについて、本田はこのように持論を語る。

「僕はサッカーに育ててもらったと思っている。そのなかで、『サッカーに集中しろ』なんて言われることも多いですが、僕は逆だと思う。選手として得た影響力をどう使うか、それが試されているんです。どんなアスリートでも、競技に打ち込むなかで壁にぶつかり、それを乗り越えた経験がある。そんな貴重な経験を、今結果が出ていないからといって発信するのをやめてしまうのはもったいない」

「教育でも、『部活は掛け持ちせず一つのことに打ち込め』、『早いうちから進路を定めて、志望校に合格するための勉強を頑張れ』といった“定説”があります。こうした教育環境で息苦しさを感じている子供たちも多い。脈々と続いてきた根深い問題だと思うので、当然僕のスクールだけで教育界の問題すべてを解決できるとは思っていません。でも、やらなければならないことは、やれるバイタリティを持つ人間が先陣を切ってやっていかなければならない。新しいことをやろうとすると、足を引っ張ろうとする人が必ずいます。それでも、僕は突き進むだけです」

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