2017.11.09

【コラム】「新たな学びをもたらす」日本戦…チッチ・セレソンは“結果”を追い求める

コウチーニョ(左)やガブリエル・ジェズス(右)はチッチ監督のもとで実力を発揮し始めた [写真]=Getty Images
サッカーキング編集部

 2016年6月、“結果至上主義”を貫く指揮官の就任でセレソンは生まれ変わった。

 アデノール・レオナルド・バッチことチッチ監督に率いられたブラジル代表は、2018 FIFAワールドカップ ロシア・南米予選で破竹の9連勝を達成。世界最速でロシア行きの切符を獲得するだけにとどまらず、約7年ぶりにFIFAランキングで首位返り咲きを果たした。一時はワールドカップ出場圏外の6位に沈み、ブラジル国内で「もしかしたら出られないかもしれない……」と嘆かれていた頃が嘘のようだ。チッチ監督就任以降の南米予選の成績は10勝2分け無敗。30得点3失点と、その手腕は見事としか言いようがない。

チッチ監督率いるセレソンは再び息を吹き返した [写真]=Getty Images

 ブラジルには『Futebol Arte(芸術サッカー)』という言葉がある。ブラジル代表は勝って当たり前。加えて、試合内容も求められる。それが“選ばれし者”セレソンの宿命だった。その一方で『Futebol Resultado(結果重視のサッカー)』という言葉もある。シュートを100本打たれようが、相手のボールポゼッションが99パーセントだろうが、勝利こそ正義という考え方だ。

 その『Futebol Resultado(結果重視のサッカー)』を、まさしく体現しているのが今のブラジル代表である。正直なところ、試合を観ていてそこまで面白いとは思わないが、シンプルに強い。チッチ監督は就任からネイマール(パリ・サンジェルマン/フランス)やミランダ(インテル/イタリア)らスタメン11名を固定し、ハードワークと堅守速攻を徹底させた。南米予選4試合を残した時点でワールドカップ出場を決めていたが、それでもスタメンを変えないどころか、新たな選手を試すことすらほぼしない。傍から見れば完成度は相当高いように見えるが、チッチ監督は11月のメンバー発表記者会見で「まだまだ理想とはかけ離れている。現実を見て仕事をしなければいけない」と、まるで就任当初のような言葉を残した。続けて「私の監督就任から約1年3カ月。まだ15試合しかこなしていない。クラブチームに例えるなら、まだ2カ月未満だ」と現状に全く満足していないことを明かしている。

チッチ監督

就任から1年弱でセレソンを立て直した [写真]=Getty Images

 そのブラジル代表は11月10日に日本代表と対戦する。ブラジル国内では「理想的な相手ではない」と一部批判するメディアもあったが、ワールドカップ前にアジアの国と相まみえることは「新たな学びをもたらす(ブラジル代表コーディネーター エドゥ・ガスパール氏)」ことを確信しているようだ。日本戦、さらに14日にのイングランド代表戦に向けて、今回はいつもより2人多い25名を招集。相変わらずサプライズはなかったが、ドウグラス・コスタ(ユヴェントス/イタリア)やジュリアーノ(フェネルバフチェ/トルコ)ら好調を維持する選手が復帰を果たした。チッチ監督は会見で「何人かテストする」と明言。しかしながら、「スタメンを7、8人を入れ替えることはしない」ともコメントしており、日本との一戦でもある程度のベストメンバーで臨むことが予想される。

 マルセロ(レアル・マドリード/スペイン)は、今回の合宿地であるフランス到着時に「我々のワールドカップはすでに始まっている」と語った。それはセレソンが再び世界の頂点を目指す戦いであり、ロシア行きを懸けた個人の戦いでもある。手堅い采配を振るチッチ監督が「テストする」と言った以上、対戦相手が日本であろうがアルゼンチン代表であろうがドイツ代表であろうが、下手なプレーなどできるはずがない。後ろを見ればダヴィド・ルイス(チェルシー/イングランド)、ファビーニョ(モナコ/フランス)、ルーカス・リマ(サントス/ブラジル)ルアン(グレミオ/ブラジル)と、名前を挙げればキリがないほどセレソンに値する選手たちが控えている。来年、ロシアの地でカナリアイエローのユニフォームを纏うことができるのは23名。サッカーの国と称されるブラジルにおいてワールドカップメンバーに選出されることは、プロサッカー選手として最大級の名誉であろう。11月10日の日本戦は、明確な“結果”が求められる新たな戦いの始まりなのだ。

文=三島大輔

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