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ロシア代表主将が沈黙破る「戦争は怖いが、ショックなのは人間の攻撃性と憎悪」

2022.03.03

ロシア代表FWジュバが沈黙を破る [写真]=Getty Images

 ゼニトに所属するロシア代表FWアルテム・ジュバが、ロシア-ウクライナ情勢に言及した。

 先月24日にロシアがウクライナへの侵攻を開始したことを受け、サッカー界でもロシアを締め出す動きが加速。各クラブがロシア企業とのスポンサー契約を次々に停止し、国際サッカー連盟(FIFA)とUEFA(欧州サッカー連盟)はロシア代表と同国のクラブチームを全ての大会で参加禁止にする制裁を発表していた。

 ロシア代表の多くの選手が沈黙を貫いてきたが、代表のキャプテンを務めるジュバは2日に自身の公式インスタグラム(artem.dzyuba)で情勢に言及。戦争への直接的な批判は避けた一方、ロシアサッカー界に対する制裁、ロシア国籍の選手に対する憎悪が度を越しているとして苦言を呈した。

「僕は最近までウクライナでの出来事についてコメントするのを控えていた。(プーチン政権が)怖いのではなく、僕は政治の専門家ではないからだ。これまでも、そしてこれからも、政治の領域に足を踏み入れるつもりはない。でも、僕も人間だから自分の意見がある」

「戦争は怖い。だが、僕がショックを受けるのは、日々大きくなっていく人間の攻撃性と憎悪だ。国籍による差別には反対だ。ロシア人であることを恥じる必要はない。僕はロシア人であることを誇りに思っている。そして、なぜ今、(ロシア人)アスリートが苦しまなければならないのか理解できない。なぜ、みんな政治とスポーツを分けろと叫ぶのに、ロシアのことになるとその原理を忘れてしまうんだ?」

「繰り返しになるが、戦争は恐ろしいものだ。緊張した状況に置かれると、人間はその本性を表す。時にネガティブな方向でね。地位や職業に関わらず、すべてのロシア人に対して怒りがぶつけられている。何千人もの人々が、侮辱や脅迫の言葉を書いているんだ! ロシアから多大な恩恵を受けている人たちから、このような言葉を聞くのは、とても不思議なことだ。このようなことは、より多くのネガティブな感情を生み出すだけだ。戦争は終わるが、人間関係は残る。そして、巻き返すことはできない。そのことを忘れないでほしい」

 ロシアの選手とは対照的に、ウクライナの選手たちは積極的に公式SNSで意見を発信している。エヴァートンに所属するウクライナ代表DFヴィタリー・ミコレンコは、「お前がクソッタレのサッカーチームメイトと一緒に沈黙を守っている間、平和な市民がウクライナで殺されている」とジュバを名指しで批判。ウェストハムの同国代表FWアンドリー・ヤルモレンコも、「なぜ全員、何も言わずにクソみたいに座っているんだ? 僕の国では、彼らは人々を殺し、僕たちの妻子たちを殺している。だが、お前たちは何も言わないし、コメントも出さない」と、ロシア代表の選手たちを批判していた。

 ジュバはそんな批判の声に対し、投稿の最後で次のように言い返している。

「追伸。イギリスの豪邸でダラダラと過ごしながら意地悪なことを言う一部の同業者たちへ。そんなことで腹を立てることはない。みんなに平和と善意を」

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