マンUには”4冠”達成の可能性も？…今季の欧州5大リーグで”3冠”以上を狙えるクラブ

　今シーズンの欧州5大リーグで3冠以上を狙えるクラブはどれくらいあるのだろうか？
 
　先日、マンチェスター・UがEFLカップ（カラバオカップ）決勝でニューカッスルを2－0で下し、2016－17シーズン以来となる6年ぶりのタイトルを獲得。今シーズン、夢の”4冠”達成に向けて一歩前進した。
 
　6年前に、ジョゼ・モウリーニョ監督の元でEFLカップとヨーロッパリーグ（EL）の2冠を達成したマンチェスター・U。その後は不振に陥った時期もあるが、昨夏クラブにやってきたエリック・テン・ハフ監督の元でチームの再建に成功。ニューカッスルとのEFLカップ決勝では、復活劇の象徴ともされるイングランド代表FWマーカス・ラッシュフォードがネットを揺らして見事に栄冠を手にした。
 
　今シーズンのマンチェスター・Uは、序盤戦こそつまずいたがシーズン中盤からは素晴らしい安定感を発揮しており、全ての大会で着実に結果を残している。プレミアリーグでは首位アーセナルに少し水をあけられているが、それでも優勝の可能性は消えていない。そのため彼らはEFLカップのタイトルに加え、プレミアリーグ、FAカップ、ヨーロッパリーグの”4冠”達成の可能性を残しているのだ。
 
　無論、複数のタイトルを狙えるクラブはマンチェスター・Uだけではない。それでは、欧州5大リーグで”3冠以上”の可能性を残しているクラブを見てみよう（リーグ戦、カップ戦、リーグカップ、CL、EL、ECLに限定。UEFAスーパーカップやクラブワールドカップは除く）。

[写真]=Getty Images
 

■プレミアリーグ：マンチェスター・U、マンチェスター・C

　昨シーズン、プレミアリーグではリヴァプールが”4冠”に近づいて話題になった。しかし、彼らはEFLカップとFAカップでは頂点に立ったものの、プレミアリーグでは「1」ポイント差でマンチェスター・Cに栄冠を譲った。そしてチャンピオンズリーグ（CL）決勝でもレアル・マドリードの前に涙を呑み、結局”2冠”でシーズンを終えたのだ。
 
　今シーズンのイングランドでは、冒頭で説明した通り、マンチェスター・Uが4冠を目指している。EFLカップを制し、FAカップでもベスト8入り。プレミアリーグでは首位アーセナルと「11」ポイント差の3位だが、まだまだ巻き返すことも可能だろう。そしてELでは、決勝トーナメント・プレーオフでバルセロナを退けて16強に進出しており、4つのタイトルの可能性が残されている。
 
　”4冠”への期待について、テン・ハフ監督は「それはファンが楽しむ話題であって、我々は次の試合に専念するだけ」と言及を避けたが、優先順位を付けることなく全ての大会で勝ち続けることを約束した。「アヤックス時代、欧州カップ戦から敗退した後にチームのパフォーマンスレベルが下がった経験がある。勝ち上がることがエネルギーになるんだ」と、過密日程が続くことさえも前向きにとらえている。もしリーグ戦でアーセナルに追いつくことができるならば、イングランド勢としては史上初となる主要大会「4冠」も期待できる。
 
　プレミアリーグで首位を走るアーセナルはELでもベスト16に勝ち上がっているが、既に国内カップ戦で敗退しているため、彼らは最大でも”2冠”
止まり。そのため、イングランド勢でマンチェスター・U以外に”3冠”以上の可能性が残されているのは、マンチェスター・Cだけだ。
 
　マンチェスター・Cはプレミアリーグで2位に付けるほか、CLではベスト16でライプツィヒと対戦中。FAカップでも8強に駒を進めており、国内”3冠”を達成した2018－19シーズン以来となる”3冠”を目指せる位置に着けている。

 

■ラ・リーガ：レアル・マドリード

 
　スペインはリーグカップが存在しないため、そもそも目指せるのは”3冠”まで。現在ラ・リーガで首位を走るバルセロナは、コパ・デル・レイでも勝ち上がっており、準決勝ではレアル・マドリードとホーム＆アウェイで対戦する。だがバルセロナは、ELでは既にマンチェスター・Uに屈し、敗退が決定。今シーズンは最大でも”2冠”止まりだ。
 
　そのため、スペイン勢で”3冠”の可能性を残しているのは世界王者レアル・マドリードだけとなる。リーグ戦では首位バルセロナと「7」ポイント差の2位。コパ・デル・レイでも宿敵とのエル・クラシコに勝利すれば決勝に駒を進める。CLでは、敵地で行われたリヴァプールとのラウンド16ファーストレグを5－2で制しており、準々決勝進出に王手をかけている。

 

■ブンデスリーガ：バイエルン、ドルトムント、ウニオン・ベルリン、ライプツィヒ、フライブルク、フランクフルト

 
　今シーズン、欧州で最も熾烈な優勝争いが繰り広げられているブンデスリーガは、”3冠”の可能性を残すクラブも多い。というのも、リーグ戦の上位6チームが全て国内＆欧州カップ戦で順当に勝ち上がっているのである！
 
　勝ち点「46」で首位に並ぶバイエルンとドルトムントは、CLでも16強に勝ち上がっており、それぞれパリ・サンジェルマン（PSG）とチェルシーと対戦中だ。彼らはDFBポカールでも順当にベスト8に駒を進めている。一方、ブンデスリーガで4位のライプツィヒ、そして鎌田大地と長谷部誠を擁する6位フランクフルトも、CLでベスト16、DFBポカールでベスト8に進出しており十分に”3冠”を狙える位置に付けている。
 
　また、現在リーグ戦3位のウニオン・ベルリンと5位フライブルクは、DFBポカールで準々決勝に進出しているほか、ELでもベスト16まで勝ち上がっている。そのため1～6位まで全6チームが”3冠”を目指せるという信じられない状況にある！
 

■セリエA：インテル

 
　今シーズンのセリエAは完全なる“一強”状態。ナポリが2位以下に「18」ポイント差をつけて首位を独走しており、現実的にリーグ優勝を目指せるのは彼らだけだ。そのナポリはCLでも自慢の破壊力を発揮しており、ラウンドファーストレグではフランクフルト戦では敵地でフランクフルトを2－0で撃破。8強進出に向けて視界良好となっている。しかし彼らはコッパ・イタリアのベスト16でクレモネーゼにPK戦で敗れており、既に”3冠”の夢が消えているのだ。

 
　”3冠”を目指せるのはコッパ・イタリアで勝ち上がっており、さらに欧州カップ戦でも生き残っているチームになる。その条件を満たすのはインテル、ユヴェントス、フィオレンティーナの3チームのみ。リーグ戦で2位に着けるインテルは、CLのラウンド16（ポルト戦）とコッパ・イタリアの準決勝（ユヴェントス戦）に駒を進めている。ユヴェントスはコッパ・イタリア準決勝に加え、ELもベスト16に進出しているが、リーグ戦では勝ち点剥奪の影響もあって首位ナポリに「30」ポイント差を付けられており、優勝の可能性ははほぼないに等しい。
 
　フィオレンティーナもコッパ・イタリア準決勝（クレモネーゼ戦）に加え、ヨーロッパカンファレンスリーグ（ECL）で16強（スィヴァススポル戦）に進出しているが、セリエAでは首位ナポリに「38」ポイント差を付けられているため”3冠”は極めて困難な状況だ。
 

■リーグ・アン：該当なし

 
　フランスは2020年にリーグカップが廃止になるまで”4冠”を目指すことができた。過去にはPSGが4度も国内”3冠”を達成しているが、今では国内のタイトルは”2冠”まで。そんなフランスでは、リーグ戦で首位を走るPSGに注目が集まるが、彼らはCLのベスト16に進出しているものの、フランス杯では姿を消しており、既に”3冠”の夢が断たれている。
 
　他のフランス勢に目を向けると、PSG以外に欧州カップ戦で勝ち残っているのはECLで16強に進んでいるニースだけ。そのニースも、フランス杯では3部クラブに屈して敗退しているため、今シーズンのフランスの全クラブは既に”3冠”の可能性が消滅している…

（記事／Footmedia）