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今夏の移籍市場で最も利益をあげたクラブ、最も赤字を出したクラブは?

今夏に移籍した選手たち [写真]=Getty Images

 欧州5大リーグの夏の移籍市場が8月31日に閉幕した。イギリス紙『フィナンシャル・タイムズ』によると、コロナ禍の影響もあって移籍金総額は30億ユーロ(約4000億円)に届かず、昨年から2億ユーロ(約260億円)以上減少。それでも、リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドなど、スター選手の移籍が頻発し、SNS上では「最もクレイジーな夏」との意見も挙がった。

 では、各クラブの移籍金収支はどのようになったのか。今回は移籍情報サイト『Transfermarkt』を使って、5大リーグ全98クラブの補強費と売却費の差額を算出。選手売買によって“最も利益をあげたクラブ”、“最も赤字を出したクラブ”のトップ5を紹介する。

※記事内の移籍金はすべて『Transfermarkt』の情報に基づく
※日本円は9月3日時点のレートで換算
[写真]=Getty Images

■最も利益をあげたクラブ

▼1位 インテル(イタリア)

ルカク(左上)、ハキミ(右上)ら放出、チャルハノール(左下)、ジェコ(右上)をフリーで獲得

収支:1億6105万ユーロ(約210億円)
支出:3600万ユーロ(約47億円)
収入:1億9705万ユーロ(約257億円)

 移籍金収支で大幅な黒字を記録したのは、昨季のセリエA王者であるインテルだった。FWロメル・ルカクを1億1150万ユーロ(約146億円)でチェルシーへ、DFアクラフ・ハキミは6000万ユーロ(約78億円)でパリ・サンジェルマンへ売却した。2人だけで1億7000万ユーロ(約222億円)近くの収入を得た一方、移籍金を支払って新たに獲得したのは、DFデンゼル・ダンフリースとDFジーニョ・ファンフースデン(注:獲得後、ジェノアへレンタル)の2人だけ。彼らの移籍金は3000万ユーロ(約39億円)に満たなかった。

 厳しい財政状況から主力の放出を余儀なくされたが、MFハカン・チャルハノールやFWエディン・ジェコをフリートランスファーで獲得し、チームの総年棒カットに成功するなど、全体的な仕事ぶりは現地で高く評価されている。

▼2位 ドルトムント(ドイツ)

サンチョ(左上)、デラネイ(右上)ら売却、マレン(左下)、コーベル(右下)ら獲得

収支:6275万ユーロ(約82億円)
支出:4500万ユーロ(約59億円)
収入:1億775万ユーロ(約141億円)

 有望な若手を安く買って、育てた後に高く売る――。そのエキスパートであるドルトムントは、今夏もFWジェイドン・サンチョを8500万ユーロ(約111億円)でマンチェスター・Uに売却した。同選手の獲得時に支払った移籍金が800万ユーロ(約10億円)弱だったことを考えると、単純計算で10倍近くの利益を得たことになる。

 PSVから獲得したFWドニエル・マレンには3000万ユーロ(約39億円)、シュトゥットガルトから獲得したGKグレゴール・コベルには1500万ユーロ(約20億円)の買値がついたが、サンチョの売却益で十分にまかなえる金額だ。またパリ・サンジェルマンから、10代の選手を2人フリーストランスファーで獲得。いずれも将来を嘱望される逸材で、ドルトムントの抜け目のなさが伺える。

▼3位 ウディネーゼ(イタリア)

デ・パウル(左)とムッソ(右)

収支:5350万ユーロ(約70億円)
支出:750万ユーロ(約10億円)
収入:6100万ユーロ(約80億円)

 今夏はMFロドリゴ・デ・パウルと守護神フアン・ムッソの2人のアルゼンチン人選手を売却。アトレティコ・マドリードへ移籍した前者には3500万ユーロ(約46億円)、アタランタへ移籍した後者には2000万ユーロ(約26億円)の値がついた。戦力ダウンは免れないが、ヴェローナの正GKだったマルコ・シルヴェストリを250万ユーロ(約3億円)で獲得。レンタル移籍もうまく活用し、最低限の支出にとどめた。

 「安く買って、高く売る」というより、「誰も知らない宝を掘り当てて売る」というのがウディネーゼの特徴で、その目利きぶりは一目置かれている。今季もどこからともなくブレイクを遂げる選手が現れるかもしれない。

▼4位 バルセロナ(スペイン)

グリーズマン(中央)は有償レンタルでアトレティコへ

収支:4930万ユーロ(約64億円)
支出:1450万ユーロ(約19億円)
収入:6380万ユーロ(約83億円)

 この8月に、約1700億円の負債を抱えていることが明らかになったバルセロナ。FWリオネル・メッシを“タダ”で手放したことからも分かるように、財政状況は火の車だ。象徴的だったのは、DFエメルソンの扱いだろう。今夏、1400万ユーロ(約18億円)を支払ってベティスから買い戻したものの、移籍期限最終日に2500万ユーロ(約33億円)でトッテナムへ“転売”。これで、移籍金を支払って獲得した選手はゼロとなった。

 FWメンフィス・デパイ、FWセルヒオ・アグエロ、DFエリック・ガルシアらは、いずれもフリーで獲得。期限最終日に加入が発表されたFWルーク・デ・ヨングは1年間のレンタル契約となっている。

▼5位 レアル・マドリード(スペイン)

ウーデゴーア(左)とヴァラン(右)放出、カマヴィンガ(中央)獲得

収支:4700万ユーロ(約61億円)
支出:3100万ユーロ(約40億円)
収入:7800万ユーロ(約102億円)

 バルセロナのみならず、レアル・マドリードもトップ5にランクイン。ひと昔前なら考えられなかっただろう。期限最終日にMFエドゥアルド・カマヴィンガを3100万ユーロ(約40億円)で獲得したものの、DFラファエル・ヴァランを4000万ユーロ(約52億円)、MFマルティン・ウーデゴーアを3500万ユーロ(約46億円)で、それぞれプレミアリーグのクラブに売却した。

 すべてはFWキリアン・エンバペ獲得に向けたオペレーションと言われていたが、その本命も取り逃す結果に。現行契約は今季で満了となるため、来年夏にはタダで手に入れることが可能だが、パリ・サンジェルマンとの駆け引きはまだ続きそうだ。

■最も赤字を出したクラブ

▼1位 アーセナル(イングランド)

収支:-1億3470万ユーロ(約176億円)
支出:1億6560万ユーロ(約216億円)
収入:3090万ユーロ(約40億円)

 選手獲得に最もコストを費やしたのはアーセナルだった。DFベン・ホワイトの獲得に5850万ユーロ(約76億円)を費やしたほか、MFウーデゴーアを3500万ユーロ(約46億円)、GKアーロン・ラムズデールを2800万ユーロ(約37億円)、DF冨安健洋を1860万ユーロ(約24億円)で獲得。レンタル契約やフリートランスファーで獲得した選手は一人もいなかった。

 一方、選手の売却で移籍金を得たのも、ニューカッスルへの完全移籍が決まったMFジョー・ウィロック(2940万ユーロ)のみ。移籍金収支は大幅なマイナスとなった。

▼2位 マンチェスター・U(イングランド)

収支:-1億1090万ユーロ(約145億円)
支出:1億4000万ユーロ(約183億円)
収入:2910万ユーロ(約38億円)

 今夏の移籍市場で売却した選手は、リーズへの移籍が発表されたダニエル・ジェームズのみ。その移籍金は2910万ユーロ(約38億円)で、サンチョ(8500万ユーロ)、ヴァラン(4000万ユーロ)、クリスティアーノ・ロナウド(1500万ユーロ)の3選手の獲得に費やした金額を大きく下回った。なお、移籍金収支で1億ユーロ以上の赤字を計上するのは、4年ぶりのことになる。

▼3位 ローマ(イタリア)

左からパトリシオ、ショムドロフ、アブラハム、ビーニャ

収支:-9553万ユーロ(約125億円)
支出:9775万ユーロ(約128億円)
収入:222万ユーロ(約3億円)

 FWエディン・ジェコはインテル、FWペドロはラツィオへ、いずれもフリーで移籍。『Transfermarkt』によれば、今夏、選手売却で得た移籍金はゼロで、222万ユーロ(約3億円)とされる収入はすべて“レンタル料”として計上されている。

 一方、FWタミー・アブラハムの獲得に4000万ユーロ(約52億円)、FWエルドル・ショムロドフの獲得にも1750万ユーロ(約23億円)を費やした。移籍金収支でこれほどの赤字を出すのは、セリエA優勝を果たした2000-01シーズン以来のこと。スクデット獲得への強い意気込みが感じられる。

▼4位 マンチェスター・C(イングランド)

ジャック・グリーリッシュ

収支:-7870万ユーロ(約103億円)
支出:1億1750万ユーロ(約153億円)
収入:3880万ユーロ(約51億円)

 MFジャック・グリーリッシュの獲得に1億1750万ユーロ(約153億円)を費やし、プレミアリーグの最高記録を更新。一方、FWアグエロやDFエリック・ガルシアはフリーで手放すことになり、移籍金収支は今年も大幅なマイナスとなった。ただ、ブラジルの「新たな神童」と称されるFWカイキの獲得に成功するなど、将来を見据えた補強も着実に行っている。

▼5位 パリ・サンジェルマン(フランス)

左からハキミ、ワイナルドゥム、ドンナルンマ、ラモス、メッシ

収支:-7400万ユーロ(約97億円)
支出:8300万ユーロ(約108億円)
収入:900万ユーロ(約12億円)

 パリ・サンジェルマンも大きな赤字を出した。ただ今夏獲得したFWメッシ、MFジョルジニオ・ワイナルドゥム、DFセルヒオ・ラモス、GKジャンルイジ・ドンナルンマの4選手はフリートランスファーで獲得。移籍金を支払ったのは、完全移籍が成立したMFダニーロ・ペレイラ(1600万ユーロ)とDFハキミ(6000万ユーロ)の2選手だけだった。

 FWエンバペを売却していれば、移籍金収支は大幅な黒字になっただろう。しかし経営陣は、レアル・マドリードからのオファーを頑なに拒否した。欧州最強クラブを目指す彼らの本気度が伺える。

(記事/Footmedia)

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