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ミランサポーターのアジトにまさかの潜入! クルヴァの住人から感じた百年の歴史

ミラノ市郊外にあるミランのサポーターが集う酒場に潜入

 3月17日に開催されたミランvsインテルによる“デルビー・ディ・ミラノ”を観戦する機会に恵まれ、試合前日には、ミランのサポーターが陣取る『クルヴァ・スッドゥ』(南側ゴール裏)を仕切るサポーターグループのアジトを訪問できる貴重なチャンスを得た。

 場所はミラノ市中心部の北、モンツァとの間にあるセスト・サン・ジョヴァンニ。住宅地に囲まれた倉庫が並ぶエリアにある酒場『AL CLAN』が、クルヴァに“住む”人たちの拠点だ。

サポーターが集う酒場『AL CLAN』

 訪問のチャンスを得られたのはミラノ・ダービーに合わせて、ミランのサプライヤーを務めるプーマ社が、世界各国のメディアを招待して、様々なアクティビティをセッティングしてくれたため。正直、個人でこのアジトを訪れるのは勇気がいる雰囲気だと、日中の太陽に照らされている中でもわかる。

 この日はメディアツアーの一環ということで、クルヴァの住人たちも歓迎ムード。酒場前の広場の壁には一面、自分たちのアイデンティティを主張するスプレー画が広がり、店の前の道路は、ビッグマッチ恒例となっているコレオグラフィや横断幕を仕込んだ形跡として、スプレー塗料が染みわたっている。

メディア向けとして横断幕を広げてくれた

 店外で出迎えてくれたサポーターたちの中には還暦を過ぎている人や10代前半の女の子もおり、それだけで脈々と受け継がれる伝統を感じたし、店内にはクルヴァの歴史を追体験できる写真が所せましと並び、チームを象徴する一人であるフランコ・バレージのイラストやユニフォームが飾られているなど、店はこじんまりとしているが、圧倒される雰囲気だ。

 その店内で「クルヴァ・スッドゥの代表者を務めている」という50年来のサポーターであるジャンカルロ・カペッリさんに短い時間ながら、話を聞くことができた。

クルヴァ・スッドゥを取り仕切るジャンカルロ・カペッリさん

 ご本人もすでに年配の方ではあるのだが、ミランを好きになったキッカケが「父親にスタジアムへ連れて行ってもらったこと」というところに歴史を感じる。そんな苦しい時代も黄金期も見続けてきた彼に、一番記憶に残る試合を聞いてみると、「マンチェスターでのチャンピオンズリーグ、ユヴェントスとの決勝戦だ」と、2003年5月の試合を悩みつつ答えてくれた。「最後に(PK戦で)ゴールを決めた時、ちょうどゴール裏にいた。そこでユヴェントスを倒したんだ。最高の気分だったね」と、笑顔で語る表情は、少年のそれと変わらない。

 歴史や熱さを感じる一方で、やはりクルヴァには“怖い”“暴力的”というイメージも付きまとう。実際、今回のダービーでも10回以上、爆音が鳴り響いたし、発煙筒も数多く焚かれた。だが、カペッリさんは「来れば魅了されることになる」と主張する。「スタジアムの中で話していると、歌いたくもなる。私ならみんなの前で1~2時間を歌い続けるね。人の内なるものを動かし、惹きつけるものなんだ」と熱く語り、このインタビュー中にも店内で太鼓の音ともにチャントが始まると、話を中断して合流し、大きな声を挙げていた。

ダービーの試合中、内容も相まって発煙筒を焚いたり爆音が鳴るなどした [写真]=Getty Images

 この感覚はなかなか共感できない部分もあるだろうが、かなり多くの人が同意見を持ってくれそうなこともある。それは、好きなクラブを追いかけていろいろな街、国へ行けるということ。「世界中を周り、どんなタイトルも手にできた。幸運なことに、東京にも何度も行くことができたよ。日本を訪れるたび、毎回楽しい時間を過ごせている。日本のティフォージの大きな愛情は忘れることはできない。日本のロッソネーリのみんな、そして日本の全てに、ありがとう」と、インタビューの最後には話してくれたように、一つのクラブに身も心も賭しているからこそ、得られる経験や感情があるのは、どんな分野においても熱心な気持ちを持つ人であれば共通であろう。

 歴史とは紡がれていくものと、改めて感じさせてくれた、濃厚な時間だった。

取材・文=小松春生

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