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【コラム】冬の大型移籍は実現せず…セリエA上位クラブのメルカートを振り返る

2017.02.07

1月に移籍が決まったデウロフェウ(左上)、ガリャルディーニ(右上)、グルニエ(左下)、カルダーラ(右下) [写真]=Getty Images

 1月31日で冬のメルカートが締め切られた。ミランの日本代表MF本田圭佑とインテルの同DF長友佑都は結果的に、それぞれのクラブに残留することとなった。しかし出場機会のほとんどない本田は、今年6月末でクラブとの契約が切れるため、夏のメルカート(移籍市場)解禁を待たずにすでに次の移籍先を探し始めていることだろう。それでは、セリエA上位の各クラブのメルカートの成果はどんなものだったか、クラブ別に見てみたい。

 首位のユヴェントスはベネズエラ代表MFトマス・リンコンの獲得とフランス代表DFパトリス・エヴラ(マルセイユ)の退団があったものの、大きな補強もなく余裕のあるメルカート作戦となった。ベルギー代表MFアクセル・ヴィツェル(天津権健)の獲得はまたもや早い時期に見送られたものの、将来性のある2人の若手をチームに迎え入れた。アタランタから22歳のDFマッティア・カルダーラを移籍金1500万ユーロ(約18億7500万円)で、アスコリから19歳のFWリッカルド・オルソリーニを移籍金は600万ユーロ(約7億5000万円)で獲得した。ただ、もちろん両選手は即戦力というわけではなく、レンタルの形で移籍元クラブに残留。今シーズンはこれまで安定した内容でピッチに出ていた選手たちが中心となる。今夏、クラブが獲得リストに挙げているのはイタリア代表MFマルコ・ヴェラッティ(パリ・サンジェルマン)や同DFマッティア・デ・シリオ(ミラン)、そしてレアル・マドリードで苦戦している元ユヴェントスのスペイン代表FWアルバロ・モラタだ。

 暫定2位のナポリは負傷離脱していたポーランド代表FWアルカディウシュ・ミリクの代役としてイタリア代表FWレオナルド・パヴォレッティを獲得。また、ブラジル期待の新星である18歳のFWレアンドリーニョもチームに加わった。一方、出場機会の少なかったイタリア代表FWマノロ・ガッビアディーニを1700万ユーロ(約21億2500万円)でサウサンプトンへ放出。夏の移籍市場では課題であるサイドバックの選手の獲得に動いていくものとみられる。また、3位のローマはリヨンからフランス代表MFクレマン・グルニエを即戦力として獲得。4位ラツィオは補強せずに余剰戦力の放出するにとどまった。

 5日のイタリア・ダービーで首位ユヴェントスに敗れたものの、ステファノ・ピオリ監督の下で順位をじわじわと上げてきている5位インテルは、メルカート解禁早々にアタランタからイタリア代表MFロベルト・ガリャルディーニを迎え入れた。移籍早々、4-2-3-1のボランチの一角でほぼレギュラーの座を勝ち取り、チームになじんでいる。2018年までのレンタルだが完全買い取りのオプション付きということで、順調にいけばそのままネッラズーロのユニフォームを着てプレーすることだろう。またFWステヴァン・ヨヴェティッチ(セビージャ)、DFアンドレア・ラノッキア(ハル)、MFフェリペ・メロ(パルメイラス)らをレンタルで放出して”整理整頓”に成功した。

 リーグ戦3連敗と苦しんでいるミランは、イタリア代表MFジャコモ・ボナヴェントゥーラがケガで離脱したこともあり、新加入のスペイン人FWジェラール・デウロフェウが3トップの左ウイングのレギュラーとなりそうだ。ただどの程度のプレーを見せるかはまだ未知数といったところか。負傷者が続出しているサイドバックには、元ユヴェントスのDFマルティン・カセレスを迎え入れようとしていたが、給与面の折り合いがつかずに交渉決裂。不安を残す形で冬の補強を終えた。

 冬のメルカートは大型移籍が少ないことが恒例だが、今冬は各クラブともに目立った大型補強をせずに終えた。新天地を求めた選手たちにはそうした評価を覆すような活躍を期待したい。

文=赤星敬子

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