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【コラム】CL復帰を目指すミラン、観客増加作戦で好調のチームを後押しできるか

2016.12.13

ミラノ・ダービーで満員になったサン・シーロ [写真]=Getty Images

 日本では代表戦のチケットがよく完売すると聞いている。しかし、一部のJクラブは観客数が低下しており、様々な工夫を凝らすのが課題となっているようだ。イタリアなどヨーロッパのサッカークラブも同じ悩みを抱えている。チャンピオンズリーグ(CL)のビッグマッチやダービーマッチなどの一部を除き、どのクラブもいかにチケットの売り上げ、特に年間シートを多く販売していくかが問題だ。

 日本代表МF本田圭佑が所属するミランも、悩みを抱えている。専用スタジアム構想は破たん。クラブの譲渡問題は長引き、サポーターの心は離れる一方だった。今シーズン開幕の受付から10月上旬の締め切りまでで、2016-17シーズンの年間シートの売り上げ数はたった1万2767枚。これは81-82シーズンにミランがセリエA昇格を果たしてからのワースト記録だった。80,018人のキャパシティーを持つサン・シーロ・スタジアムの平均観客数は3万5000人から4万人といったころだろうか。11月20日のミラノ・ダービーで7万7882人が入ったスタンドを見たのは、本当に久しぶりだった。

 そのミランは新たにシーズン後半戦のホーム全試合の指定席を売り出している。そしてクラブ関係者は売上倍増に猛プッシュをかけているようだ。何といっても強みは、上位争いをしているチームの調子のよさにある。12日に行われたローマ戦で敗れたものの、第16節終了時点で勝ち点は32。これまで10勝4敗2分、ホームでは6勝1敗1分と好調だ。昨シーズンの同じ時期は7位で、勝ち点で比べると7も上回っている。CL復帰の望みが実現する可能性も大きくなってきたこの折り返し地点で、再びミランの雄姿を見て応援しようというミラニスタの奮起に期待がかかる。

 ミランは12月31日までに申し込んだファンには前半戦最後のゲーム、来年1月7日のカリアリ戦を無料で招待。またインテル対ミラノのダービー・マッチにも優先招待し、来シーズンの年間指定席を優先的に販売するという特典をつけた。最も安い席で130ユーロ(約1万6120円)。また14歳以下と65歳以上には割引があり、バックスタンドの1階席が通常400ユーロ(約4万9600円)から250ユーロ(約3万1000円)に、同じ2階席も300ユーロ(約3万7200円)から180ユーロ(約2万2320円)にディスカウントされる。熱狂的なサポーターが陣取るゴール裏の1階席は200ユーロ(約2万4800円)が120ユーロ(約1万4400円)となり、より一層お得感が出てくる。

 クラブはこのシーズンシートを「クリスマスのプレゼントにいかが」とPRしている。確かに私の知人も「贈り物としてもらった」と年間シートを持っていたことがあった。空席の目立つガラガラのスタジアムでは、プレーする選手たちのモチベーションもダダ下がりというもの。チームの成績と観客増加作戦の相乗効果はいかに。

文=赤星敬子

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