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4日間で地獄から天国へ インテル、格下相手の敗戦が王者撃破へのモチベーションに

2016.09.20

ユヴェントスとのダービーを制したインテル [写真]=Inter via Getty Images

 インテルがまさかの逆転勝ちで“イタリア・ダービー”を制した。

 試合直前までフランク・デ・ブール監督に不信感を持っていたインテリスタ。それが一転して、ユヴェントスから勝ち点3を挙げたことで「(ジョゼ・)モウリーニョ、(ロベルト・)マンチーニより素晴らしい監督だ」とまで名声が高まっている。「とにかく勝利あるのみ」というイタリア・セリエAのお国柄がはっきりと表れた。

 チャンピオンズリーグ・グループステージ第1節のセビージャ戦(0-0のドロー)に続く無様な結果に試合後、ユヴェントスのマッシミリアーノ・アッレグリ監督のナーバスさは異常なぐらいだった。サン・シーロの会見室に入ってきながらスラングを連発。マイクの前に座って、額に何本もの横じわを浮かせたピリピリムードでメディアからの質問に応じる姿は滑稽だった。よほど悔しかったのだろう。

 さて、インテルに話を戻そう。15日、ヨーロッパリーグ・グループステージ第1節で格下のハポエル・ベア・シェヴァに0-2と敗れた。日本代表DF長友佑都も左サイドバックでフル出場したが、FWマオール・ブザグロへのマークに苦しんでいた。DFアンドレア・ラノッキア、MFマルセロ・ブロゾヴィッチ、FWジョナタン・ビアビアニー、FWロドリゴ・パラシオら先発メンバーは明らかにリザーブ組。後半にMFアントニオ・カンドレーヴァ、FWマウロ・イカルディらを投入したが、ターンオーバーで臨んだ結果は明らかに失敗だった。

 しかし、これが災い転じて福となる。ユヴェントス戦の後、デ・ブール監督のコメントの中に何度も出てきた「モチベーション」につながったのだ。いつも前半になかなか点が取れず、同監督の理想とするサッカーが選手たちにまだ伝わっていないと言われてきたインテル。それが、ユヴェントスに先制されてもすぐに同点とし、気迫を見せた。指揮官も、「先制されても我を忘れなかった。今日のような試合をすれば毎試合の勝利につながる」と話した。

 インテルは「4-2-3-1」から徐々にMFジョアン・マリオとガリー・メデルがそれぞれエベル・バネガの横まで上がった。また中盤両サイドのカンドレーヴァとエデルもポジションを高めに取り、ワントップのイカルディを含む3トップのような形に。これでうまくプレスをかけていけた。MFイヴァン・ペリシッチはまだ90分フルでプレーできる状態ではないものの、途中出場させたデ・ブール監督の采配が当たって逆転につながった。選手たちもこの勝利で自信をつけたに違いない。

 ユヴェントスはこの日初めてMFミラレム・ピアニッチをレジスタとして使ったが、不安定さを隠し切れなかった。またアッレグリ監督はFWゴンサロ・イグアインをベンチスタートとしたが、同点になってからの投入で勝てると考えていたのだろうか、疑問が残る。

 一方、インテルで唯一引っかかるのが、負傷退場したDFダヴィデ・サントンの代わりに、長友ではなく19歳のセナ・ミアングが入った点だ。長友はこの日、全くアップすらしなかったが、コンディション的に問題があるのか、それとも…。答えは次の2、3試合ではっきり出るだろう。

文=赤星敬子

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