2016.08.20

【セリエA開幕展望】ユヴェントス 目標は前人未到の6連覇&念願の欧州制覇 史上稀に見る大補強が結実するか

サッカーキング編集部

 昨シーズンのセリエAでも圧倒的な強さで5連覇を果たしたユヴェントス。2シーズン連続でコッパイタリアとの国内2冠を達成し、イタリアでは敵なしの状況が続いている。新シーズンにおける最大の目標は、21シーズンぶりのチャンピオンズリーグ制覇であり、リーグ戦ではいかに主力選手を休ませながらスクデットを目指すかが重要になる。

ユヴェントス

今季最大の目標は1995-96シーズン以来のCL優勝 [写真]=Getty Images

■ポグバの穴が埋まれば戦力UP

 大きく戦力が入れ替わった昨夏に続き、今夏も顔ぶれに変化があった。10番を背負っていたポール・ポグバが、史上最高額の移籍金1億500万ユーロ(約119億円)を残してマンチェスター・Uへ復帰。替わりにナポリからゴンサロ・イグアインを9000万ユーロ(約102億円)で、ローマからミラレム・ピアニッチを3200万ユーロ(約38億3000万円)で引き抜き、戦力補強とライバルの“弱体化”を同時に成功させた。近年は堅実経営で知られるユヴェントスがこれほどの額を投入して選手を獲得することは稀で、いかに新シーズンの成功にかけているかがわかる。

ユヴェントス

スタメンの顔ぶれも入れ替わった [写真]=Getty Images

 また、高齢化が進むセンターバックには、セリエAでの実績十分なメディ・ベナティアを補強。レンタル契約満了で退団したフアン・クアドラード(チェルシー)の代役にはベテランのダニエウ・アウヴェスをフリーで獲得し、若手アタッカーのマルコ・ピアツァもチームに加わった。各ポジションに即戦力が加わり、最終ラインと両サイドの層の厚さは世界屈指とも言える。開幕には間に合わなかったが、ポグバが抜けた中盤にも実力者を加えることができれば、昨シーズンよりも戦力アップは望めそうだ。

■圧倒的な存在感を放つD・アウヴェス

 新戦力の目玉は何と言ってもイグアインだ。昨シーズンはリーグ戦35試合で36ゴールを挙げ、セリエA最多得点記録を66年ぶりに塗り替えた。ポグバ(マンチェスター・U)、ギャレス・ベイル、クリスティアーノ・ロナウド(ともにレアル・マドリード)に次ぐ、史上4番目に高額な移籍金で加入したストライカーにかかる期待は並大抵ではない。懸念されるビッグマッチでの勝負強ささえ克服できれば、クラブの目標到達に大きく貢献することは間違いないだろう。

ゴンサロ・イグアイン

コンディション面を不安視されているイグアイン(右) [写真]=Getty Images

 同じくピアニッチにも大きな期待がかかる。インサイドハーフやトップ下での起用が予想されていたが、マッシミリアーノ・アッレグリ監督はアンカーに適正を見出した。正確無比なFKや1本で局面を打開するロングパスといった特徴から、アンドレア・ピルロ(ニューヨーク・シティ)と比較する声も上がっており、早くもチームの中心的存在になりつつある。また、左ひざを負傷して離脱が続くクラウディオ・マルキージオが復帰した場合は、マルキージオをアンカーに置き、ピアニッチをインサイドハーフで起用することも可能で、チームの戦術に幅を与えてくれる人材と言えそうだ。

 早くも圧倒的な存在感を放っているのはD・アウヴェス。バルセロナで数々のタイトルを獲得してきた33歳のベテランサイドバックは、デビュー戦となったウェストハムとのプレシーズンマッチでも2得点に絡んでみせた。マリオ・マンジュキッチやイグアインといったターゲットを擁するユヴェントスにとって、正確なクロスは強力な武器になる。また、エースのパウロ・ディバラとの相性も抜群で、バルセロナでリオネル・メッシと見せていたようなパスワークを披露している。

ダニエウ・アウヴェス

D・アウヴェスは早くも存在感を放っている [写真]=Getty Images

■チームの顔は若きエース、ディバラ

“背番号10”が抜けた今、パウロ・ディバラがチームの顔となる。“La Joya(宝石)”の愛称で知られる22歳の若きエースは、昨シーズンの中盤戦から完全に攻撃の中心となり、19ゴール9アシストを記録してセリエA優勝に貢献した。中盤の低い位置まで下りてきて組み立てに参加しつつ、ゴール前では精度の高い左足で得点を量産。さらに前線からの守備にも奔走する。それだけにディバラへかかる負担は人一倍大きい。新加入選手が組み立て、ゴール、守備の面で負担を減らすことができれば、ユヴェントスの宝石はさらなる輝きを見せてくれるかもしれない。

パウロ・ディバラ

ディバラは欠くことのできないエース [写真]=Getty Images

 攻撃の中心がディバラなら、守備の中心はキャプテンのジャンルイジ・ブッフォンとレオナルド・ボヌッチだろう。来年1月に39歳の誕生日を迎える大ベテランは、CLやユーロ2016といった大舞台でも改めて衰えがないことを示した。いや、正確に言えば身体的な衰えを的確なポジショニングと判断力でカバーし、ほとんど衰えを感じさせなかった。また、世界トップクラスのDFに成長したボヌッチは、今やディフェンスリーダーとしてアンドレア・バルザーリ、ジョルジョ・キエッリーニの“BBC”トリオを統率している。また、正確なロングフィードで決定機を生み出し、攻守両面での活躍が目立つ。欧州屈指の強固なディフェンス陣は新シーズンも変わらず、チーム最大の武器になるだろう。

■不安材料は陰の司令塔、マルキージオの不在

クラウディオ・マルキージオ

早急な復帰が待たれるマルキージオ [写真]=Getty Images

 チームとしての懸念点を挙げるとすれば、一番はマルキージオの不在だろう。昨シーズンから本格的にアンカーへコンバートされたマルキージオは、たちどころにこのポジションへの適応を見せ、組み立ての面で欠かせない選手となった。しかし、4月に左ひざ前十字じん帯を断裂して長期離脱を強いられ、復帰は12月頃までずれこむと予想される。昨シーズンもマルキージオが万全な状態ではなかったシーズン序盤は攻撃が単調になり、10試合で3勝3分け4敗と苦しんだ。新シーズンはピアニッチがアンカーに入ることになるが、ビルドアップの場面で気の利いたボールの受け方をできなければ、攻撃の停滞を招く可能性もある。

ミラレム・ピアニッチ

ピアニッチがビルドアップをどこまでスムースにできるかが重要 [写真]=Getty Images

 ポグバの穴埋めも課題の一つだ。必要不可欠な存在ではなかったものの、中盤からの強力な推進力でチームを1ランク、2ランク上に押し上げていたフランス代表MFが抜けたことで、こう着した試合展開を崩せる存在がいなくなっている。指揮官はドリブラーのピアツァを中盤で起用する案を用意しているようだが、ビッグクラブでのプレー経験がない21歳に慣れないポジションで大きな期待を寄せるのはリスクが高い。チームとして他の選択肢を増やすほかはないだろう。

マルコ・ピアツァ

ピアツァの突破力には指揮官も期待を寄せる [写真]=Getty Images

 また、昨シーズンも続出したケガ人の問題も大きい。前述のマルキージオ以外にも、サミ・ケディラやジョルジョ・キエッリーニらが離脱を繰り返し、ベストメンバーを組めない試合が多かった。もっとも、今夏からウディネーゼやサッスオーロなどでスポーツドクターを務めたクラウディオ・リゴ氏が医療班のトップに就任し、メディカルセンターを一新。クラブは状況改善に動いている。チーム作りには戦力アップだけでなく離脱者の減少も欠かせないため、リゴ氏が手腕を発揮することが期待されている。

■最終目標は念願の欧州制覇

 新シーズンの目標はCL優勝と前人未到のセリエA6連覇。ポグバやアルバロ・モラタ(レアル・マドリード)らが退団したとはいえ、全体的な選手層は厚みを増している。セリエAの対抗馬は、ナポリ、インテル、ローマといったところになるが、他のクラブに比べてシーズンを通した戦い方はユヴェントスの方が一枚も二枚も上手だろう。主力に負傷者が続出するようなことがなければ、大きく崩れることは考えにくい。

ユヴェントス

国内では圧倒的な強さを見せるユヴェントス [写真]=Getty Images

 CLについては運も重要であり、昨シーズンのグループステージ(※編集部注:ユヴェントスは最終節のセビージャ戦で敗れて2位通過だった)のように勝つべき試合を落とすようでは、戦い抜くことは難しい。まずは1位で決勝トーナメントに進むことが優先課題になるはずだ。

マッシミリアーノ・アッレグリ

アッレグリ監督の手腕に期待がかかる [写真]=Getty Images

 アッレグリ監督は一つのコンペティションを優先するようなタイプの監督ではない。そして、それぞれを制するための策を考えられる人物だ。新戦力の融合をスムースに進めることができれば、クラブ史上初の“トレブル”も単なる机上の夢では終わらないかもしれない。

文=清水遼

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